2011年2月19日(土) 地吹雪 -34.7℃
日本南極地域観測隊・昭和基地の池ちゃんよりメールが届く。南極観測船「しらせ」が日本への帰途につき、いよいよ第52次越冬隊、30人の隊員による越冬生活がスタートしたとのこと。池ちゃんとは第46次隊で越冬を共にした仲だ。池ちゃん、長い越冬生活がスタートしたけど、頑張って!!北極からのエールです。(南極観測隊のホームページ ⇒ http://www.nipr.ac.jp/jare/ )
グリーンランド北西部地方に古来から住む、エスキモー民族から伝承を受けた犬ぞりを操り、“アバンナット北極プロジェクト”に取り組む、山崎 哲秀のブログです。 このブログでは、北極遠征中や日本滞在中の活動の様子を紹介します。 アバンナットプロジェクトの詳細は、山崎哲秀のホームページhttp://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/ をご覧下さい。山崎哲秀の連絡先は、同ホームページに記載しています。
2011年2月19日(土) 地吹雪 -34.7℃
日本南極地域観測隊・昭和基地の池ちゃんよりメールが届く。南極観測船「しらせ」が日本への帰途につき、いよいよ第52次越冬隊、30人の隊員による越冬生活がスタートしたとのこと。池ちゃんとは第46次隊で越冬を共にした仲だ。池ちゃん、長い越冬生活がスタートしたけど、頑張って!!北極からのエールです。(南極観測隊のホームページ ⇒ http://www.nipr.ac.jp/jare/ )
2011年2月17日(木) 曇りのち雪 -31.4℃
昨夜はブリザードが吹き荒れたが、朝早くには風が弱まり曇り空となった。AM9時頃に犬ぞりを出す。今日は全頭(14頭)での走行。来週の犬ぞり旅行出発までの最後のトレーニングだ。3ヶ月かかって、なんとかチームをまとめ上げることができた。トレーニングに合わせて、海氷のデータも収集。昨日の測定ポイントでは氷厚は2mを超えていたけど、今日の地点は130cm弱。 スノーモービルで数日前に西側方面へ狩りに出た人の話によると、乱氷も多く、海氷が動いて海が開いてる場所もあったりと、南側に抜ける海氷の状態は見た範囲ではあまりよくないとのこと。不安が募るけど、いいルートが見つかればいいなあ。 写真:犬ぞり最終トレーニングにて。作業をしている間、寝て待つ犬たち。「お~い、お前たち。いよいよ犬ぞり旅行だぞ~!」
2011年2月14日(月) 晴れ -37.3℃
犬ぞり旅行一週間前になった。緊張感が高まるなあ。今日は天気が良く、犬ぞりを出したいのも山々だったけど、犬ぞり旅行出発前にやっておかないといけないことがあり、時間を費やした。
その一つに、ライフルの所持申請。白熊対策に、2丁のライフルを常に持ち運んでいて、11月にレゾリュート入りした際にも申請したのだが、滞在期間中を通しての許可はいつももらえず、2ヶ月あるいは3ヶ月といった期間で許可が下りる。今日はその更新。午前中に町の警察に出頭し(悪いことは何もしてませんよ)、要項を記入した申請用紙を提出。レゾリュートがあるヌナブット州の州都、イカルイットの本部と事務手続きをしている間、30分ほど待って証明書を受け取る。今回は2ヶ月の所持許可が下りた。申請料に25ドル支払い。
あともう一つは、日本へ送り返す装備の一部を郵便局から小包で2つほど送った。物資輸送費は、郵便小包が一番経済的だ。ダメもとで、さらに経済的な「船便は無いか?」と局のおじさんに聞くと、「海に氷が張っていて、船が通れないからない」と言われた。残念!あればラッキーだったんだけど(笑)。まだ今週中に日本へ送る荷物や、犬ぞり旅行先を予定しているケンブリッジベイへ送る装備も送る段取りをしないといけない。
写真:ライフル所持の許可証。
2011年2月13 日(日) 雪のち曇り -27.6℃
レゾリュートも太陽が昇る季節になると、ぞくぞくと遠征隊が集まってくる。先日、同じ宿舎にやってきたのは、イタリアのMICHELE(ミケール)だ。彼とはこの3シーズン連続で顔を合わせていて、2シーズン前はレゾリュート周辺でトレーニング。昨シーズンは北極点単独無補給徒歩行にチャレンジしたが、52日目に足の凍傷がひどくリタイヤし、今シーズンは再挑戦するとのこと。他にも北極点を狙う冒険家は今季3人?ほどいるらしく、今回は4人(4チーム?)で飛行機をチャーターして(チャーター料をシェアして)、スタート地点となるエルズミア島北側にあるカナダ最北端のワードハント島へ、2月25日前後頃に移動するとのこと。装備を色々見せてもらったが、無補給というだけあって、まずは軽量化。すべてが最新と思えるコンパクトかつ軽量の機材や装備を持っている。スポンサーも凄いんだろうな。無事に目標を達成出来きますようにエールを送りたい。 今日のワンコは「ボタン」。犬たちの近況報告、3巡目の最後です。ボタンは若犬4匹衆の中でも、黙々とマイペースでソリを引っ張り続けるので、見ていても安心で手が掛からないなあ。他の犬たちに喧嘩を吹っかけることもないし・・。 写真上:北極点単独無補給徒歩行に再挑戦するMICHELE。2台のソリに130~150kgの荷物を積んで行くとのこと。最新の高価な装備満載で凄いです。 写真中:かたや僕の装備は、こだわりは負けないつもりだけど、エスキモーの人たちの装備を基本に、古いのかも(笑)。それぞれの志向、方向性があるからよしとしよう(笑)。 写真下:今日の「ボタン」。もうすぐ犬ぞり旅行スタートですよ。君たちにとっては新しい世界を見ることになるね。
2011年2月12日(土) 雪、吹雪き -33.8℃
昨日は天気が良かったので、犬ぞりを出した。一昨日に亡くなったシルバーを送り出すのがメインの目的で、レゾリュートの湾を少し出たところにある、小さな氷山の風下側に吹き溜まっている雪をスコップで掘り、埋めてやり送り出してきた。陸地の地面はカチカチに凍りついていて、手で掘ることはできない。夏に海氷が溶けると共に、海に帰ってくれるだろう。僕のほうはまた、気持ちを切り替えていかないといけない。場所を移動して海氷観測データをとってから、町へと戻った。
今日12日は天気が崩れ、雪から吹雪へと変わった。21日を天気が良ければ犬ぞり旅行出発日と定めて、カウントダウンで最終準備を整えている。時間の合間をみて、エスキモーの犬ぞり標準装備である「トウ」という道具を手入れした。先が尖がった鉄棒で、海氷上の乱氷や氷山氷など砕くときに、すごく重宝する道具だ。
写真上:昨日、シルバーを海氷上で送り出してきた。
写真下:左側の写真は「トウ」の手入れ。ヤスリで磨き、先端を尖らせる作業をしている様子。右側は以前グリーンランドにて、生活用水にする氷山氷を割っている様子と、ソリに積込んで村に持ち帰る様子。
2011年2月10日(木) 地吹雪のち晴れ -34.6℃
今日は一つ報告です。我がドックチームのベテラン犬「シルバー」が、今朝亡くなりました。朝7時の見回りでは大丈夫でしたが、9時頃に犬ぞりを出す時に行くと、息を引き取っていました。まだ凍りついておらず、その少し前に亡くなったと思われました。4年前、グリーンランド・シオラパルク村のイラングアから譲り受けた時は全盛期で、3歳か4歳ということでしたので(はっきり覚えていないとのことで、実際はもう少し歳をとっていたかもしれません)、今ではソリ曳き犬としては、超ベテランでした。昨シーズンの犬ぞり旅行で、後半に他の犬たちのペースについて来れなくなりつつあったので危惧していて、今シーズンの犬ぞり旅行に果たして連れて行くべきか、引退させてやるべきか、他の犬たちとトレーニングをしながら、ずっと踏ん切りがつかずの状態でした。いつも老犬が亡くなっていくパターンは殆ど同じです。今日は少し気持ちが沈んでいる一日です。明日はもう一日天気が良さそうなので、沖合いの氷山のそばで送り出してやりたいと思います。シルバー、4年間ありがとう。本当にお疲れ様でした。
また、犬たちのサポーターとして応援してくださっている皆様、申しわけありませんでした。
写真:2007年3月の「シルバー」。グリーンラド、シオラパルク村にて。
2011年2月8日(火) 吹雪のち地吹雪 -41.8℃
またまたこの冬の最低気温を更新。自分で測定した中では、マイナス41.8℃。風がそこそこ強く、マイナス40℃あたりまで気温が下がると、風体感警報が発令されるみたいだ。夕方からは目が覚めるような強烈な地吹雪となった。視程ほとんどなし。
今日のワンコは「ゴードン」。この冬デビューの若犬4匹衆の中では、一番喧嘩好きみたいで、この2ヶ月ほどで顔に傷が数箇所。早くもハクがついてきている。まだまだ先輩犬たちには押さえつけられているけど、数年後は強くなりそう。最近、ハーネス(胴バンド)をよく噛み切るので、ワイヤー入りの養成ハーネスでしつけ中。
写真上:正午過ぎ、風雪の向うに霞む太陽。一日一日高くなる。
写真下:今日の「ゴードン」。やんちゃですねえ、ゴディ君!
2011年2月6日(日) 晴れのち雪 -35.5℃
11月5日に太陽が顔を消して以来、3ヶ月ぶりに姿を現した。この頃は、夏の間に日焼けした人々の顔も、すっかり真っ白となり、どちらかというと太陽の光を浴びていないから、青白くさえみえるのだが、また太陽が高くなるにつれて、生気が戻ってくる。今日は、沈みがちになっている気分から、開放される日でもあると思う。町の人たちの表情も明るい。 風も弱く視程も良く、ルート偵察にはもってこいの犬ぞり日和。今日から全15頭の犬たちで、犬ぞりトレーニングの最終調整に入った。チームワークも思った以上にいい仕上がり具合だ。天気が良ければやはり動きやすい。西側に抜けるルートも確認できた。犬ぞり旅行出発前の残り2週間は、天気のいい時に15頭の犬たちとトレーニングに加えて、1月にはさっぱりはかどらなかった、海氷データも収集しよう。 写真上:太陽が戻った!思わず「ヤッター!」と声が出る。犬たちは何を騒いでいるのか?とキョトンとしてたけど・・。 写真下:15頭の犬たちの走行。
2011年2月5日(土) 吹雪 -32.7℃
またまた吹雪で天気が荒れている。なんだか天気の悪い話題ばかりだけど、ホントなんですよ。
昨日の定期便で、日本からの装備別送品の最終便が届いた。その中になんと!コーラが入っていた。こんなのあるんやねえ。少し前にブログで、レゾリュートの缶コーラ1本5ドル!(約450円)で、禁コしてると書いたら、カミサンのアリサが哀れんでくれたのか、粉末コーラを探して、荷物に忍ばせてくれたみたいだ。一粉末袋数十円。これやったら、心おきなく飲めるで~。さっそくコップに粉末を入れて水を注ぐと、炭酸がシュワシュワっとあがり、軽くかき混ぜて飲んでみた。「コーラや!コーラ!」。
写真上:届いた荷物の一部。コーラ粉末、プラスティック箱や犬用の曳き綱にするトラロープなど。インスタントコーヒーも、町のCO-OPで1ヶ月経っても入荷しないので、犬ぞり旅行用に日本から送ってもらった。
写真下:コーラ粉末を手に、御満悦の山崎。
2011年2月4日(金) 晴れ(低い地吹雪) -41.1℃
スカッと上空は晴れ。それでも風が強めで、低い地吹雪が地と氷の上を這う一日。12頭の犬たちを引き連れて、犬ぞりを出した。それにしても寒いなあ・・と町に戻ってから気温を測ってみるとマイナス41.1℃。おまけに風体感警報?(Wind chill warning in effect.)が出たらしい。この警報は今季2回目だ。ルート偵察というより耐寒訓練になってしまった。犬ぞり旅行に向けて、いい自信にはなるけどさ。この前の警報の時になった、頬と鼻の凍傷が治りかけたと思ったら、また同じところが凍傷。気をつけてるんだけどなあ。お~さぶ・・。
今日はもしかしたら、太陽が戻ってきたかもしれない。南の空の水平線に、雲がかかって分からず。そのうち拝むことができるだろう。
今日のワンコは「ウキヨ」。ウキヨは餌をあげてもあげても太ってくれず、ヒョロヒョロしていて、長期の犬ぞり旅行は大丈夫かなあ?少し心配。みんなに内緒でボーナス餌を食べてるのは君だけですよ。頼むよ~。
写真上:太陽に染まる南の空。雲が無ければ、もしかしたら太陽見れたかもしれない。
写真下:今日の「ウキヨ」。君は兄弟のキャヨットと比べて、凄く懐いてくれるねえ。
2011年2月2日(水) 雪 -23.6℃
あっという間に2月。今日は視程のない雪が降り続いている。犬ぞり旅行前の装備点検の一つ、テントの手入れをする。昨シーズン、ポールを通す箇所の布地が少し破れてしまったので、修理をしておくことに。当て布をして、丈夫なワックス糸で縫い付け、補修しておく。
今日のワンコは「キャヨット」。シーズン初めは人間から逃げまとって、1ヶ月以上も捕まえることができず、立派な野良犬をしていたけれど、今はすっかり、立派なソリ曳き犬に大変身。バランスの良さそうな曳き方をしているね。
写真上:テントの修理風景。
写真下:今日の「キャヨット」。すごく懐く、まではいかないが、様子を見に行ったらちょこちょこっと近寄って来て、鼻でタッチして(そのあとそそクサっとすぐ離れるけど)くれるようになった。
2011年1月30日(日) 地吹雪のち吹雪 -30.3℃
こう天気の悪い日が多いと、屋内作業ばかり進んでしまって、犬たちのトレーニングが遅れがちになるなあ。だいぶ明るい時間帯が増えてきたから、海氷の観測データ収集も合わせて、もう少しあちこちと偵察にも行きたいんだけどなあ・・。
今日のワンコは「シン」。吹雪く中、何とか一緒に写真を撮ろうとするけれど、三脚が風で倒れたりとか、なかなかうまくいかず。まだ2歳と若いからか、遊んでもらいたい盛りで、最初は喜んでたけど、最後はソッポ向かれた。
写真上:今日の「シン」。名前を呼ばれて大喜び。
写真下:シンの顔が写らず、何度も撮り直してたら、最後はあっち向いて「もうええわ。ええかげんにしなさい。」
2011年1月27日(木) 晴れのち低い地吹雪 -41.3℃
お昼前から北からの風が強まりだして、低い地吹雪。気温も、もうひと下がりした。夜に測ってみるとマイナス41.3℃。この冬一番の冷え込み。今はまだ、逃げ込める暖かい建物があるからいいけどなあ・・。犬ぞり旅行中は、お手柔らかに(笑)。こんな気温の中、ずっと外にいる犬たちには頭が下がります。 今日のワンコは「アミッアミッ」。手も掛からないし、よくソリも引っ張るし、問題ないなあ。兄弟のアミッバルよりも少しだけ人懐っこいし。 写真上:丸まって、寒さをやり過ごす犬たち。 写真下:今日の「アミッアミッ」。寝ているところを一緒にパチリ。寒いところ、起こしてゴメンよ!
2011年1月26日(水) 晴れ -37.7℃
珍しく3日続けてそれなりのいい天気が続いた。レゾリュートから南側のバロー海峡の海氷は、双眼鏡で覗き込むと、かなりひどい乱氷だな。今シーズンはレゾリュートから南西方面にある、マクリントック海峡を南下したいと思っているが、そこに抜ける海氷の状態はいいのだろうか?心配だ。 南の空の雲に、太陽が反射するような明るさになってきた。太陽が近いぞ~! 今日のワンコは「アミッバル」。最近の走行中には、キャヨットを天敵にしてるみたいで、悪さばかりしてる。お~い、そのうちカミナリ落とすぞ~。 写真上:今日の犬ぞりトレーニングにて。 写真下:今日の「アミッバル」。いつも2回ほど撫でられたら、ササッと離れて行ってしまう。一緒に写真撮るのは大変。
2011年1月25日(火) 晴れ(低い地吹雪) -39.2℃
たまには町の話題を。 しめて「5ドル!」。ハンバーガーのセット価格ではないです。な、なんと缶コーラ1本が・・!北極圏の物価が高いのは今さら驚きはしないけど、この冬レゾリュートのCO-OPで販売されているコーラは、なぜか昨シーズンの倍の値段。空輸費がかかるとはいえ、さすがに1本450円のコーラには手が出ません。円高にしてもさ。北極にいる時は禁酒にしてるけど、せめてコーラくらいは・・。ハイ、禁コもします。 今日のワンコは「アプ」。ウヤー同様に小柄で、すぐに太ってくれるけど、今日は走行中に、君はゲロしてたね。俺は見てたよ、アプ君。食べ過ぎですな。 写真上:なんて高貴なコーラさん。眺めるだけにしておきます。 写真下:今日の「アプ」。お腹を撫でられるのが好きなアプです。
2011年1月24日(月) 晴れ(低い地吹雪) -37.5℃
今日から犬ぞりトレーニングもステップアップ。12月下旬から7~8頭の犬たちをグループにしてトレーニングを続けていたが、11~12頭での走行に入る。予定通りに進んでいるといったところ。今シーズン最初の10頭以上の走行にしては上出来だった。このあたりからが準備期間中の最後の仕上げにかかる感じだ。毎シーズン顔ぶれは、新たに加わる犬たち以外は同じとはいえ、10頭を越えると統率をとるのも大変になるし、犬たちに使う体力もさらに必要になる。犬ぞり旅行スタートまでに、最終的に15頭のチームにまとめあげる。気になるのは、メス犬のコウが、2月中に発情期を迎えるのでは、ということ。 冷え込んでいる上に風が強めで、外にいるたった数時間の間で、頬と鼻がお決まりの凍傷になった。太陽が戻るまであと10日! 写真:今日は11頭の犬たちと出かけた。
2011年1月23日(日) 吹雪のち地吹雪 -36.4℃
数日前から、冬らしく冷え込んでいる。おまけに風が強いから、犬たちの様子を見に行くと、露出している鼻に風が当たり、寒さでひん曲がりそうなくらいシクシクと痛む。犬たちも、普段は様子を見に行くと飛びついてくるのだが、寒さをやり過ごすようにクルまっておとなしく寝ている。が、餌となれば別の話。大騒ぎで大歓迎される中、餌をあげた。冷え込みが続いているので、脂肪補給でラードも一緒に与えた。
明日は天気が回復しそう。予防接種のあと中3日空いて、調子もよさそうなので、ひと走りさせたいところ。
今日のワンコ紹介は「ウヤー」。体が小さいせいか、他の犬たちと同じ量の餌をあげてると、効率よく太ってくれる。
写真:今日の「ウヤー」。ウヤーの意味はエスキモー語で「石」。寒さに石のように丸まって寝ていたところを、強引に一緒に撮影(笑)。
2011年1月22日(土) 吹雪(ブリザード) -38.5℃ 「エスキモー」という呼称は差別語?とはいうけれど、グリーンランドからカナダ北極圏、アラスカにかけて、それぞれ地域差があるようで、決して「エスキモー」という呼び方が差別語とは思えない。今日は「エスキモー」の呼称について個人的に感じることを少し書いてみよう。 僕が思うのは、人それぞれが、どういう気持ちで彼らに接しているかに尽きる気がする。例えば僕の場合は、極寒の自然の中を何千年と生き抜いてきたエスキモーの人たちに対して、リスペクトの念を持っている。それもかなり強く。北極に足を踏み入れた最初の時から、なんの違和感もなく、すぐに狩猟も生肉を食べる文化も受け入れることができたし、また通い続けているうちに、彼らの文化である犬ぞり技術を身につけたい、と伝承してもらった。彼らは厳しい自然の中で生き抜いているからか、「感覚」というものにはすごく敏感だ。当然、外から来た人間たちがどういう気持ちで彼らに接しているか、どういう目で見ているか、そして「エスキモー」と呼ぶかも、すぐに感じ取ると思う。文化を受け入れることが出来ず、民族を見下したり軽蔑した気持ちがあれば、彼らは「エスキモー」と呼ばれることに反感を感じるはずだ。カナダ北極圏ではそれがかなり強いということだが、そういった外の世界と関わってきた、社会的背景もかなり影響があるんじゃないかな。リスペクトの気持ちや同じ人間だという気持ちがあれば「エスキモー」と呼んでも、彼らは反感を持たないと思う。普通に僕はそう呼んでいる。外の世界との隔たりに、全然ひけ目を感じる必要もないし、生活が近代化されたとはいえ、彼らは誇り高き血をひく「エスキモー」なのだから。 写真:エスキモーの仲間達と(2008年)。
2011年1月20日(木) 雪 -31.5℃
前回の狂犬病の予防接種から一週間が経ったので、天気もしばらく悪い予報だし、再び予防接種をしておくことに。今日のは「5種混合」ってヤツです。これも毎年していて、義務の狂犬病接種とは違い、イエローナイフの動物病院からワクチンを取り寄せ、自主的にやっている。こんな寒い北極でも、ジステンバーなどの伝染病が猛威を振るうことがある。 そういえば、知人ご夫妻のベビチャンも、偶然にも2回とも同じ時期に予防接種を受けた模様。(ブログ ⇒ http://845.cocolog-nifty.com/blog/ )。真似したわけじゃないですよ(笑)。 今日のワンコは「カヌッルンニ」。変わらず、悩みもないように元気一杯。なんか悩みある? 写真:餌を食べたあと、御満悦の「カヌッルンニ」。目が三日月になってるよ。
2011年1月19日(水) 雪時々曇り -32.4℃
犬ぞりトレーニングって、いったい何をやってるの?と想像がつかない皆さんもいると思うので、今日はそのことについて少し書いてみますね。 チームワークを作るのも一つの理由だけど、それとは別にもっと大きな意味がある。もともとエスキモー犬というのは雪や氷が溶ける夏の間は、ただ繋がれて餌を食べているだけの生活。なのでシーズンが始まっていきなりハードにソリを引っ張らせても、体がついこない。エスキモーの人たちは、海の氷が凍り始める11月頃からの、太陽が昇らない極夜の季節は無理をせず、近場で狩りをして、それがうまい具合に犬たちのトレーニングにもなっている。生活に基づいているわけだ。そして極夜も終盤を迎え、日に日に明るくなるに従って、狩場の範囲を広げて長距離を走らせるようになる、という感じ。僕の場合はそういう流れを「トレーニング」と称して、犬たちが長距離を走っても体力が続くように、今の極夜の季節に、犬たちの調整をしている段階です。レーサー犬ではないので、脚が速くても全然ありがたくなくて、空荷のソリをただ引っ張ってるだけではトレーニングにならない。僕のソリは頑丈で、空荷の時の重さは150kgくらい。犬ぞり旅行に出ると多い時でさらにソリの上に600kg、700kgという荷物を積まないといけない。エスキモーの人たちはそれが時には1000kgを超えるような、獲物の肉にあたる。脚は速くなくてもいいから、荷物を積んだ重量のあるソリを、ゆっくりでいいからコンスタントに引っ張ってくれるほうがありがたいのだ。僕の普段のトレーニングでは、ソリのランナーに鎖や太いロープをかけて、ブレーキ(負荷)をかけながらのトレーニングを続けている。片方のランナーにブレーキをかけたり、両方のランナーにブレーキをかけたり、時には片方のランナーに2本ずつくらいブレーキをかけたり・・。(ちなみにこのブレーキは、氷河の坂を下る時にソリが滑り落ちてこないので、安全面でかなり有効です。エスキモーの人たちに教わった、氷河下降方法)。 今日のワンコは「リク」。走る意気込みはいつも凄いんだけど、先頭をきって走るタイプじゃないなあ、君は。 写真上:ランナーに太いロープを巻き、ブレーキをかけて走行している様子。 写真下:今日の「リク」。いつもは飛びついて来るけど、走行後でお疲れ?
2011年1月16日(日) 地吹雪のち晴れ -29.7℃
14日から吹き荒れ続けたが、今日の午後にようやく終息。気温もマイナス30℃くらいまで冷え込んだ。犬たちは予防接種後だったから、ちょうどいい休みだったと思う。明日は天気が良さそうで、犬ぞりを出せそうだ。 同じ毎日の報告ばかりになるので、たまには昔の写真を紹介してみよう。北極に足を踏み入れた頃は、グリーンランド北西部で、自ら橇を引っ張って散策してました。「記録」と呼べるようなものは、なんにもないけれど、それはそれで楽しかった。そんな時代もありました。まだ20歳代の頃の話です。 写真上:グリーンランド北西部にて、内陸氷帽へ。手作りの木製ゾリを2台引いて。 写真下:氷河を上る。
2011年1月12日(水)(その2) 雪 -23.2℃
天気がスッキリしないので、犬ぞりは休みにして、毎年恒例の狂犬病予防接種を15頭の犬たちにしてやることに。いつ打とうかタイミングを見ていた。町のヘルスセンターでワクチンをもらい(狂犬病は無料)、自分で打ってやらないといけない。北極圏の田舎町、ここには獣医はいない。毎年やってると手馴れたもので、犬の首筋にさっと打つのだが、1回だけミスショット。手応えがないなと思ったら、皮膚の上の長い毛の中に・・。 建物の中に一頭一頭連れてくるわけにはいかず、外でするのだけど、もたもたしてたら寒い外気に、注射針の中でワクチンが凍結してしまう。一度に懐の中に3~4本くらいの注射を準備し、何回かに分け、凍らせないようにしながら無事終了。 そうそう、昨日からワンコ近況報告の3順目に入ってます。3順目は犬と僕が一緒に写っている写真で紹介したいと思います。 ということで、昨日のキナリに続いて、今日のワンコは「シルバー」。よく食べてよく寝るマイペースなシルバーだけど、今日は予防接種の雰囲気を一緒に撮ってみました。えらい怖がってる??俺がいじめてるみたいだ(笑)。 写真上:狂犬病のワクチンと注射器。 写真下:今日の「シルバー」。注射に凄い尻込み。実際に打ったあとで、雰囲気を写真に撮り直しただけなんですが・・。