犬ぞり案内人 山崎哲秀 ー北極圏をテツがゆくー

グリーンランド北西部地方に古来から住む、エスキモー民族から伝承を受けた犬ぞりを操り、“アバンナット北極プロジェクト”に取り組む、山崎 哲秀のブログです。 このブログでは、北極遠征中や日本滞在中の活動の様子を紹介します。 アバンナットプロジェクトの詳細は、山崎哲秀のホームページhttp://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/ をご覧下さい。山崎哲秀の連絡先は、同ホームページに記載しています。

2007年10月

Qhlodc1q オットー達のグループがまたセイウチを7頭獲って、早朝に村に戻ってきた。今季は当たり年のようだ。

Eyn4awhj 連日、代わるがわるとガキンチョたちのプラット(訪問)を受けて賑やかである。

※写真はカーリガッとアピ

Gxoghrb8 気象観測と海氷目視観測は、日課となっている。他に現地の人達からの自然の聞き取り調査や積雪があった時にはサンプリングがあり、海氷上を歩けるようになったら、さらに海氷観測の項目が増える。

※写真は気象観測(風速測定)風景と海氷目視観測風景

Jbzkgjjh 昨夜はルッキ(ルーク)が何度首輪を着けてもうまく首を抜いてしまい、繋ぎとめるのを繰り返した。結局、胴バンドを着けて落ち着いたのだが、寝不足だ。
今日も犬の世話や各観測をしたり、犬橇訓練に備えて犬達の足りない胴バンド作りをしたり、なんだかんだとあっという間に一日が終わった。
PM3時過ぎ、おそらく今年最後になるであろう太陽が、南のケケッタハー島の上に40分弱顔を出した。辺りをオレンジ色に染めながら、島の上を転がるように移動して沈んでいった。太陽が戻って来るのは、来年の2月中旬だ。

※写真は今年最後の太陽

Ikeeg401 沖合いの海の表面がシャーベット状になってきた。シオラパルク村の沿岸も打ち寄せる波に凍り付いてきている。暖かかった去年の今頃はまだ、砂浜が広がっていたように思う。
北の海が凍結したのか、近年なかなかこの時期に南下してこなかったというセイウチが、例年の群れをなす場所にいるようで、今日も猟師たちが10頭ほどのセイウチを狩って村に帰ってきた。いい兆候か?この冬は冷え込んでくれるのか?動物の本能と習性を信じたいところだ。いい方向に進むことを考えてないと、5ヶ月に渡る準備もイヤになるしなあ。

Kewer2zd 昨夜は、久々に穏やかな天気のいい夜を迎えて、深夜に外に出てみるとオーロラが。ここではあまり鮮やかなオーロラは見かけないが、時々夜空を流れる時がある。






Vlbyagni 風が弱まり、水面が落ち着いたのを見計らい、狩りに出かけた猟師の人たちがセイウチを3頭獲って帰ってきた。

Arltzu_h 10月14日(日)〜10月19日(金)
シオラパルク村に来て1週間が過ぎた。連日天候が悪く、16日からはアバンナット(北から吹く冬のブリザード)が地吹雪を舞い上げて吹き続き、19日の夕方にようやくおさまった。17日は定期ヘリコプターが村までやって来たにもかかわらず強風のため、へリポートに下りることができずに引き返して行った。12日に村に入れたのはラッキーだった。まだ気温はマイナス10℃前後といったところだが、ひと風ごとに冷え込んでいくのだろう。
預かってもらっていた犬達は引き取り、またチーム作りが始まった。海氷上を走れるまで海が凍るのは、もう少しかかるだろうが、装備などの準備も少しずつ始めている。
そして気象観測を始め、積雪サンプリングなどといった、研究者の方達から戴いた観測課題も進めている。海氷観測がもう少しすれば加わるだろう。
今年最後の太陽がもうすぐ姿を消してしまう。この季節はなんとなく寂しい。
村の猟師たちは、連日の悪天で狩に出れず「仕事にならない」と嘆いている。
19日午後を回り、ようやく天気が落ち付いた。

Rq5g2kkl 10月9日(火)〜10月13日(土)
10月9日、予定通りグリーンランド入りした。この日は西海岸中部のイルリサットにて1泊。去年と殆ど同じ日に入ったが、今年のイルリサットは雪景色で、路面も凍結していた。
そして翌日、定期便のDash7にて北部のカナックの街へ到着した。カナックはグリーンランド北部、アバンナッソア地区の中心の街だ。現在の人口は700〜800人と聞いている。カナックでは大島さんの娘さん、トク夫妻の家に泊めてもらった。
そして12日の定期ヘリコプター便で、目的地であるシオラパルク村に入った。シオラパルクにかれこれ30年以上住んでいる大島さんを始め、村の人たちと5ヶ月ぶりの再会を果たした。前回同様に、イラングアの小さい空家を借りることになっていて、さっそく生活の準備を始めた。
13日、マッハングア(ヒロシ)に預かってもらっていたデポ荷物を借家に運びいれ、取り合えず直ぐに使用する装備を出した。そしてこの日の夕方、まずはケットゥットゥに預かってもらっていた犬たちを引き取った。ケットゥットゥには7頭、預かってもらっていたが、この夏ジステンバーが流行して、村の多くの犬たちが死んでしまったそうで、カヨという雄犬1頭がやられてしまった。ケットゥットゥも例外ではなく、自分の犬は7頭やられてしまったそうだ。面倒を見てくれたことに感謝している。
さっそく前回と同じ場所に連れてきて、繋ぎとめた。他の犬たちは預かってもらっている友人が村に不在で、戻り次第に順次引き取ることになっている。
いざ、またチームを作るが、この温暖傾向に海氷が果たしてこの冬は安定して凍りついてくれるのか不安でならない。犬橇の旅はもはや時代遅れなのだろうか?信じて準備をするしかない。
※写真は雪に覆われたシオラパルク村

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10月6日(土)〜10月8日(月)
現地時間の5日PM10時を回り、コペンハーゲンに到着した。急ぎ足で入国を済ませて、街の宿泊先へと向かった。
週末を挟んで6日から8日の3日間は、日本大使館へグリーンランド滞在の資料を持って行ったり、毛皮店などを回り、装備等の買い物をしたりした。何よりも気持ちが落ち着いたのは、日本での慌ただしさを逃れて、のんびりとランニングが出来たことだ。そして爆睡した。
大阪の夏が暑すぎたせいか、コペンハーゲンの秋は肌寒い。滞在中は連日天気がよかった。
さて、明日はグリーンランド入りだ。

Nm6aq9f9 いよいよ今日10月5日、日本を出発した。第一次アバンナットプロジェクトの2シーズン目が始まる。
来年の3月が犬橇旅行のスタートなのに「どうしてこんなに早くグリーンランドに行くの?」と、よく聞かれる。簡単に言えば、北極に冬が来るこの地点から、現地での準備を始めないと自信が無いからだ。いきなりスタート出来るほど器用ではないし、冒険家でもない。
日本滞在中に、なるべくあちこちと行脚して、お世話になっている方々や、知人友人の方達のところへ挨拶に回りたかったのだけど、密かに日本出国をしてしまった。スミマセン。決して無理することなく、温暖傾向である現在の北極をこの眼で見て、取り組んできます。

※写真は成田空港第一ターミナル16番ゲートにて搭乗を待つ。

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