犬ぞり案内人 山崎哲秀 ー北極圏をテツがゆくー

グリーンランド北西部地方に古来から住む、エスキモー民族から伝承を受けた犬ぞりを操り、“アバンナット北極プロジェクト”に取り組む、山崎 哲秀のブログです。 このブログでは、北極遠征中や日本滞在中の活動の様子を紹介します。 アバンナットプロジェクトの詳細は、山崎哲秀のホームページhttp://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/ をご覧下さい。山崎哲秀の連絡先は、同ホームページに記載しています。

2007年11月

Xwplbyef 25日から26日にかけて、強烈なブリザードとなり、シオラパルク前の海氷は流れてしまい海が広がった。とにかく今季は強風の吹く日が多く、海氷が厚くなる前に流れてしまう繰り返しだ。隣り町のカナックとそのまた隣りのケケッタヌー村間では、すでに犬橇での往来が始まっているというのに。まあ、また新たに海氷観測が出来るということでOKとしよう。

気分転換に、新しい橇作りに取りかかることにした。設計図を引き直す作業をしてから、板に寸法どりを始めた。

※写真はフィヨルドの最奥部に少しだけ海氷を残して開いた海と橇の設計図

Uvkjghmn 極夜の月は太陽になる。

Flnifz12 今日はもりだくさんの一日。朝5時頃気象観測。そのあと雪が止んできたので、村から1kmほど西に離れたいつもの地点まで、積雪サンプリングに歩いて出かける。11時半頃に裏の丘に登り、海氷目視観測をして、そのすぐあとに5頭の犬達を連れ出して、定着氷沿いに橇を走らせた。まだ数時間ほどしか走らせることができないけど、気分スッキリ。
夕方にシオラパルク前の海氷に乗り、海氷厚測定を行ったあと、犬達に餌を与えた。

※写真は薄明るくなった、午後の綺麗な南の空。

グリーンランドを覆うくらいの大きな低気圧が南西から北上してきたと思ったら、なんと今朝の気温は−2.3℃。17日は−30℃以下だったのに、この気温差は「う〜ん」と唸るしかない。
昨日はブリザードで、波のうねりも加わって海氷は壊れてしまった。

※写真は18日朝6時の気圧配置とシオラパルク沿岸の壊れた海氷。
 (天気図はDMI-Vejret i Greenland
    http://www.dmi.dk/dmi/index/gronland.htmより)

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Kc1p3l8r 久々の快晴。AM5時頃外の様子を見てみると、うっすらとオーロラが流れてた。

沿岸の定着氷で犬橇訓練を続けているが、昨日からグッと気温が下がったので、そろそろ海氷上に犬橇を出そうかと考えていて、偵察を兼ね海氷上を歩きに行ってきた。フィヨルドを少し奥に入った沖合いで厚さを測ったりなど、海氷観測をした。少し前に風で流されなかったところから奥の氷は、トウ(金属の突き棒)で力を入れて突いてもしっかりとしている。気温が−31.2℃を計測した。

※写真は観測風景。右奥はシオラパルク村。

Hklivgax 今日も天気がスッキリせず、一日中細かい雪が降り続いている。雪が降ったり止んだりで、この数日気温も高めだ。今の時期は、そうでなくてもお昼頃に薄明るい時間帯があるだけなのに、雲で空が覆われると、殆ど終日真っ暗だ。
4日ほど前から村の前の海氷に乗り、海氷の厚さを測り始めた。今日は17cmまで厚さが出た。最初から風に流されていないフィヨルド奥の海氷は30cmは厚さがでているのではないだろうか。これで気温が一度グッと冷え込んでくれたら締まってくれると思う。焦ることはないので、もう少し待つことにしよう。そのうち海氷上を犬橇で走れるだろう。
村の猟師も海氷に厚みが出てきて、数日前からアザラシの網猟を始めたようだ。カガヤが「昨日アザラシが一頭網にかかった」と言っていた。
明日は雪が止んで視界が良ければ、沿岸の定着氷でも走らそう。新月も過ぎて、だいぶ干潮も落ち着くことだし。

Imw06w6e 昨日の定期ヘリコプター便で別送の装備等が届いた。北見工業大学、土木開発工学科よりご厚意で貸し出して頂いた、海氷厚測定用に使用するアイスドリルも届き、さっそく沿岸の海氷で使用テストをしてみた。OKだ。
今週は犬橇訓練も何日かでき、慌ただしかったけどいい1週間だった。

夜中じゅう、やや強い北風が吹いて薄い海氷が動いて開水部ができた。午後を回り、海岸沿いの凍結部の偵察に行く。犬橇訓練用にルート整備をしたり、流されずに残っている海氷上に乗り、海氷厚の測定をしたりして過した。夜の気象観測で、この冬初めてのマイナス20℃台(−20.4℃)を記録した。

※写真はルート整備、海氷厚測定、コーヒーを飲んで休憩、強風で開いた海氷

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大好物のキビヤックを食べた。皮下脂肪がついたままのアザラシの毛皮の中に、夏の間に産卵にくるアッパリアスという水鳥を何百羽と詰め込み、ケルン状に積み上げた石の下にしばらく寝かせておくと発酵して、素晴しい珍味となる。
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6gdj4sch 今日から犬橇訓練を開始した。もう薄明るくなるのは4時間もないのだけれど、見計らって犬橇を出した。海にはまだ、犬橇で走れるほどの海氷は張っていないのだが、海岸は打ち寄せる波が凍りつき、通行できる場所もある。走行訓練とまではいかなくても、犬橇に慣れていく位のことは出来る。どんどん凍り付いてくる沿岸を連日偵察して歩いていたのだけど、昨日見てそろそろ少しくらいなら大丈夫だろうと判断し踏み切った。今日は4頭のベテラン犬、キナリ、ウキダガヤ、シルバー、シロを連れ出し、2時間弱ほど海岸沿いで訓練してみた。こちらの人達にしてみれば、また笑いのネタが増えたところだろうが、もう気にしない。俺は生活をするためにここに来たのでなく、遠征が目的でここに来たのだ。そしてなるべくこちらの人達の生活に、邪魔にならないようにと思っている。陸地を走行できる場所もあるのだけれど、ウサギやキツネの罠があちこちと仕掛けてあるので、荒らすわけにはいかない。取り合えず海氷が凍るまでは沿岸で訓練を進めて行くことにする。ちなみに昨シーズンは11月14日か15日が最初の犬橇訓練だったと記憶している。

去年よりは間違いなく今のところは冷え込んでいるのだが、強風の吹く日が多く、張り始めた海氷が流されてしまう繰り返しだ。これも近年の温暖傾向と何か関係あるのだろうか?

※写真は走行訓練にて。海はまだ薄氷だ。

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