犬ぞり案内人 山崎哲秀 ー北極圏をテツがゆくー

グリーンランド北西部地方に古来から住む、エスキモー民族から伝承を受けた犬ぞりを操り、“アバンナット北極プロジェクト”に取り組む、山崎 哲秀のブログです。 このブログでは、北極遠征中や日本滞在中の活動の様子を紹介します。 アバンナットプロジェクトの詳細は、山崎哲秀のホームページhttp://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/ をご覧下さい。山崎哲秀の連絡先は、同ホームページに記載しています。

2008年03月

山崎有佐です。

お初にお目にかかる皆さん、こんにちわ。

それから、昨年よりテツの遠征を応援して下さっている皆さま、大変ご無沙汰しております。今シーズンは、私自身、仕事で手一杯で余裕がなく、「北極街道をテツが行く」を秋に一度発刊した限りとなっています。いつも心待ちにしていただいていた皆様には申し訳ありませんが、続編は今しばらくお待ち下さい。

10月に日本を出発して以来、半年近い準備期間を経て、ようやくテツの遠征がスタートしました。海氷がしっかりと張ってテツと犬たちが安全にソリを走らせることができるよう願っています。

この先のブログは、テツに代わって、私からテツの様子を報告します。衛星携帯電話により交信しています。バッテリーの消耗を防ぐため簡潔ですが、その日の位置と無事の確認を行っています。

以下の報告時間はすべて日本時間です。現地時間は日本から-12時間です。

08/03/30 10:30 
N77 59' 46.7" W71 47' 49.5"
標高400mの氷河上にいる。

08/03/31 11:06 
N78 25' 49.3" W71 03' 33.9""
昨日の氷河を越えた。

では、今後ともどうぞよろしくお願いします。

天気が良ければ、明日29日にシオラパルク村をスタートします。カナダ側までは、こちらのエスキモー猟師の友人2人にサポートをお願いしています。グリーンランドとカナダを隔てるスミス海峡の海氷状態が悪い場合は、無理はせずに引き返すことも前提です。

※写真は橇に積込み作業をする風景

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イースター連休明けの25日以降の出発となってしまいますが、最終調整中です。
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エアーグリーンランドがチャーター機料を最終的に約500万円に吊り上げてきた。これでは自己負担としてはお手上げだ。カナダ側はこれの4〜5分の1の見積りに関わらず、グリーンランドからの営業権はエアーグリーンランドにあり、エアーグリーンランドの許可がなければカナダのチャーター機社は営業できないとのことで、昨年12月からエアーグリーンランドの許可をもらうべくやり取りをしていたにも関わらず、土壇場になってこれだ。今更になって最初の倍以上の見積もりを言ってくるとは、もっと早く言ってくれれば、とっくに見切りをつけていたものを。
このあとの行程としては、こちらのエスキモー猟師の犬橇2台をチャーターし、シオラパルク村から犬橇で数日かかる、グリーンランドとカナダを隔てるスミス海峡に向かう。運が良ければスミス海峡を渡れるかもしれないが、その辺りを狩猟場としている、プロ中のプロである彼らが渡れないのなら、この冬も渡れないのだ。その場合の活動オプションは考えてある。
犬橇チャーターはこのケースで最高級の安全対策であるが、渡れるかどうかの不安を抱いているよりも、チャーター機でカナダ側に移動して、そこをスタート地点としたかった。グリーンランドとカナダのチャーター機事情の違いが、いまひとつ(いや二つも三つも)腑に落ちないが、いた仕方がない。今日さっそく信頼しているアグチンギアに、犬橇でのサポートをお願いした。もう1台は、彼が気心知れた仲間を誰でも、という話をした。スミス海峡をカナダ側に渡してくれた時のオプション報酬を合わせて提示し、納得してもらった。このあと犬橇でのシオラパルク村からのスタートは、25日以降となってしまう。気持ちはもう切り替わったので、それに向けて最終準備を進めていく。
午後から犬橇を走らせ、気持ちを落ち着けた。

※写真は昨日の犬橇トレーニングにて。別の犬橇が先方を行く。

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犬橇トレーニングも追い込みで、気合が入っている。
今日は−30℃以下に冷え込んだ。

※写真上:8日、Meehan氷河で登行トレーニングにて。写真下:10日、インナンミウ岬にて。

昨夜から久しぶりに、わずかながら雪がちらついた。
定期ヘリコプター便で、ようやく14頭の犬たちの予防接種証明書が届いた。カナダ渡航の際に持参しなければならない。
グリーンランドとカナダを隔てるスミス海峡の海氷が、どうやら凍結しておらず怪しい。冒険をスタンスにしているなら、渡れるか分からないスミス海峡に挑んでみてもいいのだが、目的が違う。チャーター機でスミス海峡のカナダ側に空路移動し、そこをスタート地点にするべく調整中だ。チャーター機社との折り合いがまだついておらず気が気じゃなく落ち着かない。20〜25日の間で段取りを進めている最中だ。心配をよそに、スタートの準備を進めている。
まずは、昨シーズン立てなかったスタート地点に立ちたい。

※写真上:行動中の食糧を1食分ごとに袋分けする作業。写真下:グリーンランド当局から届いた犬たちの予防接種証明書。各ワンコに1枚、計14枚が届いた。

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犬橇旅行スタート予定を20日頃に定めてバタバタとしている毎日。たまには息抜きも必要と、犬橇でピクニックに出かける。村から5〜6kmほど離れたところに、エスキモーの旧住居跡があるので、シオラパルクに訪れている日下君を誘い出かけてきた。最初に犬たちのトレーニングで、その場所の裏山に橇を曳いて登らせたあと、降りてきて住居跡あたりを散策。コーヒーを飲んで一休みしてから村に戻ってきた。

※写真のように(ちょっと分かりづらいかな)石を積み上げ、土やコケなどで隙間を埋めベースを作り、動物の骨なんかの骨組みに、アザラシの毛皮を何枚も使いテント状に家を作って生活したとのことだ。

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6qyrbxot 動物園では可愛い白熊も、自然界では人間にとって脅威だ。最近は保護の影響?もあってか、人里近くに現れては人間を食べてしまったという話も時々聞かされる。犬橇旅行中は白熊から身を守らなければならない。対策の一つはキャンプ時にテントの周りを囲むように犬たちを繋ぎとめること。もうひとつはライフルを持参することだ。1丁にするか2丁にするかずっと悩んでいたのだが、1丁では故障したらそれで終わりなので、中古の30−06型を地元の人から安く買い受けた。なるべく橇に積み込む荷物は減らしたいのだけど、背に腹は変えられない。これはあくまでも予備。
今日は朝起きてライフルの手入れ、そのあと犬橇トレーニングに出かけた。

27日に北見工大の学生さん、日下君が隣町のカナックへ到着した。雪氷を学んでおり、今回はシオラパルクに1ヶ月ほど滞在し、観測課題を実施するとのことだ。犬橇で迎えに行く約束をしていたので、27日の朝からカナックへと犬橇を走らせた。そして今日、日下君を乗せてシオラパルクに戻ってきた。
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