山崎哲秀 ー北極圏をテツがゆくー

北極圏の犬ぞり遠征をライフワークにしている山崎 哲秀のブログです。北極圏を犬ぞりで遠征し環境調査を行うアバンナットプロジェクトに取り組んでいます。このブログでは、遠征前は日本での準備や生活の様子、遠征中は、北極圏の様子を紹介します。 アバンナットプロジェクトの詳細は、山崎哲秀のホームページhttp://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/ をご覧下さい。山崎哲秀の連絡先は、同ホームページに記載しています。

2008年04月

R43qs5oy 4月13日、昨夜から地吹雪となっていたが、夕方近くになって風が止み、南の内陸方面の視界がきれた。「シオラパルクへ帰ろう」ということで、アグチンギアとピーターと共にPM5時頃、アウンアットを出発する。すでに1日中明るいのだ。雄大なInglefield Landの台地を越えて行く旅路だ。

4月14日、台地を犬橇で走り続けて、日付けが変わったAM12時過ぎに、氷帽との境に到着し、テントを張ることに。やや風が強く低い地吹雪だ。

AM9時頃目が覚める。腹ごしらえをしたあとAM11時頃出発。最初は氷河を登る急勾配。犬達を叱咤しながら、なだらかな斜面まで橇を引っ張り上げる。汗だくだ。地吹雪の中、アグチンギアとピーターと共に、ひたすら内陸氷帽を走り続ける。氷帽を越えて、海氷に下りたのがPM10時半頃。この時点ですでに70km以上は走っていたが、彼らはこのまま一気に50kmほど離れたシオラパルク村へ戻るという。

4月15日、走りに走り、AM4時頃ようやくシオラパルクに到着。犬達は重い荷物を曳き、よく走ってくれた。早朝で村は静まりかえっている。犬達を橇から外し、繋ぎ直してからテントを張る。エサをたっぷり与えたあと、自分も空腹を満たしてから、ようやく一眠りについた。

今回カナダ側へ犬橇で渡ることはできなかったが、観測課題を実施したり、雄大な自然に触れて納得のいくものだった。昨シーズン、そして今シーズンと14ヶ月間に渡るグリーンランドでの滞在、活動の成果を、今後報告することが出来ればと思う。一旦グリーンランドでの活動は一区切りつけ、次に進みたい。

このあとのオペのことを考えないといけない。来シーズン以降、カナダ側で活動が出来るように、ヌナブット州のレゾリュートベイに犬達をチャーター機で輸送移動させておきたい。すでにスノーモービルが移動手段に変わってしまったカナダ側では、有能なソリ曳き犬を手に入れるのは、至難の業なのだ。だから犬達の輸送にこだわっている。今のチームに愛着もある。一度はチャーター機を利用することを断念し、海氷が安定しない危険な海峡を犬橇で渡り、犬達をカナダ側に連れていくことに賭けてみたのだが至らなかった。「冒険」というセンスは自分には無いのだと思う。現在、チャーター機の再調整に入っている。5月上旬に輸送オペをするべく、日本から有佐に手配してもらっているが、無事終了できるように集中したい。
漠然と来シーズンは計画ルート上をレゾリュートから、2シーズン続けて犬橇で渡ることが出来なかったスミス海峡(カナダ側)までの観測などを実施出来ればと考えている。帰国後詳細を練り直したい。また幅を持たせるためにも一緒にフィールドワークを出来る相棒をなんとか見つけたい。一人で出来る作業量は限界があるのを痛感している。アバンナット計画はまだまだ続くのだ。

※写真上:海氷より雄大なInglefield Landを望む。写真中央左:海氷観測風景。写真中央右:双眼鏡を覗く。写真下左:Inglefield Landの台地にてアグチンギアと。写真下右:鼻が凍傷。

I4e9dcpr 4月6日、テントを撤収後、北西方面に沿岸沿いに移動。イノアッフィッシュアという場所近くの海氷上にて、海氷観測と積雪サンプリングのためキャンプ。

4月7日、犬橇で沿岸に沿ってRussel岬を少し回り込んだ地点から、沖合いの乱氷帯に橇を走らせて、海氷上にて観測のためキャンプ。ここでも見渡す限りカナダ方向は乱氷、乱氷、乱氷。すでに20日分用意した犬達と自分の食糧の半分を消費してしまっている。カナダ領に入ればチャーター機での補給の手配を進めていたが、このまま乱氷帯に突入してカナダ側に行けるのか、もし何かあった場合に飛行機が降りれる平らな氷が見つかるのか全く保障はない。ここに来て犬橇を走らせて、実際に海氷を確認して見て状況はよく分かった。また北のケネディ海峡からスミス海峡にかけては潮流が速く、常に海氷も動いていることから、一人で突進する気は全くない。乱氷帯を渡るにしても、北のほうから回り込んで犬橇で渡るにしても、一緒に根気よく取り組んでくれるエスキモーの人を探すか、あるいは一緒にフィールドワークできる相棒が必要だろう。一人で出来るとは思わない。今回犬橇でカナダ側に挑むことは止めることにする。

4月8日、白熊狩りに出かけたアグチンギアとピーター達とは、取り合えず10日前後にアウンナットで落ち合うことになっていたので、今日はアウンナットへ戻った。上陸はせずに海氷上にテントを張ることにした。

4月9日、昨夜から天気が崩れて軽い地吹雪となった。夕方に風が弱まったので、乱氷帯で橇が横転した際に壊してしまった取柄の部分を修理したり犬の世話をしたりして過ごす。

4月10日、雪がちらつき視程不良。夕方の気象観測では気温が−9.8℃とやたら暖かい。
日本の有佐とイリジウム衛星電話で連絡をとり、チャーター機でのカナダ側への犬達の輸送について方法を模索している。

4月11日、AM4時頃、テントの中でウトウトしてると、アグチンギアとピーターが帰ってきた。白熊を1頭ずつ仕留めたそうだ。さすが猟師だ。今夜からアウンナットの小屋で一緒に寝ることに。数日中にシオラパルクへ戻るとのことで、犬の餌が手元にあるうちに僕も一緒に戻ることにする。

※写真上:内陸氷帽より海の開いたスミス海峡を望む。手前が氷帽、中間が海が開いたスミス海峡、奥がカナダのエルズミア島。写真下:行く手を阻む乱氷帯。

3d8i9i2q 4月4日
アグチンギアたちとアウンナットから沿岸沿いに、スミス海峡の一番狭まっているアノイトまで行く。アノイトから見るスミス海峡は、乱氷がひどく、沖合は海が開いていた。カナダまで40〜50キロくらいなのだがひどく遠く感じる。アグチンギアたちは、これ以上、カナダ側には危なくて行かないという。自分も一人で越えられるとは思わない。風が吹いたらいつ流されるかわからない。アウンナットに戻り、再び海氷調査を続けることにする。

2008/04/04 21:03 アノイト
N78 33' 06.1" W72 08' 24.3""

4月5日 
夕べは夜12時頃アウンナットに戻った。アノイトまで往復12時間ほど走ったことになる。アグチンギアたちはシロクマ狩りに行った。10日ほどは帰ってこないだろう。彼らは捕えたものを食べるので、簡単な装備だけを持って身軽に動く。こちらは重装備なので身軽にとはいかない。
今日は橇の手直しをする。昨日走行した定着氷はガタガタすごかったが、我ながら、自分の作った橇はイヌイットたちのものよりも丈夫にできている。

アウンナットから見るスミス海峡も沖合は乱氷ばかりだ。かつてイヌイットたちがカナダとグリーンランドを犬ぞりで行き来することはよくあることだったけれど、スミス海峡を渡るのには条件がある。できて3,4日くらいの新しい氷が張ること。新しい平らな氷であれば、スミス海峡も4,5時間で一気に渡りきれる。しかしこの乱氷を越えて行くとなると、かなりの時間と体力を必要とするだろう。

※下の地図は、衛星からの解析画像。スミス海峡に大きな海水面が開く。

4月2日
休息日。アウンナットにいる。シオラパルクからここまで、同行を依頼しているアグチンギアとその仲間のほかに、親子二組が猟のためにここまでの道のりを一緒に来ている。ここアウンナットは、かつては人が住んでいたのだろうが、今は無人の狩猟小屋があるだけだ。このあたりはシカなど動物が多く、今日はジャコウウシを見つけた彼らがさっそく狩りに出てしまった。目前の海氷調査を行う。スミス海峡の沖合には乱氷が見える。

4月3日
天気がよい。対岸のカナダのエルズミア島が見える。明日の出発に備える。アグチンギアたちは、昨日、3匹のジャコウウシを捕ってきた。自分の犬たちにも食べさせてくれた。数日走らせ数日休むというのが彼らの流儀らしい。

F2re1wi5 4月1日、カナダのエルズミア島とグリーンランドに挟まれたスミス海峡沿岸のアウンナットに到着した。今日は10時半から2時までの行程であった。同行のイヌイットも犬たちも皆元気である。今は犬たちは氷の上で寝ている。明日は1日休息日。明後日以降、スミス海峡を探査して、約30キロの海峡を渡ることができるのか検討することにする。

08/04/01 08:05 
N78 36' 38.2" W70 51' 09.4"

下の地図は、グーグルの衛星写真を利用したもので、夏に撮影されたものでしょう。今の季節のグリーンランドはまだまだ白い世界で、この地図のように露面に犬ぞりを走らせるわけではありません。

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