犬ぞり案内人 山崎哲秀 ー北極圏をテツがゆくー

グリーンランド北西部地方に古来から住む、エスキモー民族から伝承を受けた犬ぞりを操り、“アバンナット北極プロジェクト”に取り組む、山崎 哲秀のブログです。 このブログでは、北極遠征中や日本滞在中の活動の様子を紹介します。 アバンナットプロジェクトの詳細は、山崎哲秀のホームページhttp://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/ をご覧下さい。山崎哲秀の連絡先は、同ホームページに記載しています。

2008年05月

快晴の一日だった。
夜は夕食作り。野菜はサニーレタスに玉ネギのスライス、カリフラワー、ゆで卵に桜エビを上にのせた。おかずに鳥の唐揚げと酢豚である。俺も料理するんだゼ。犬橇遊びをしてるから、日本にいる時の立場は弱い。でもけっこう料理は気晴らしになるのだ。バックミュージックに「オフコース」。ビールを飲みながら作ってると、いい気分になったところで有佐が仕事から帰ってきた。

写真は左上:鳥を揚げる。右上:サラダ。左中:鳥の唐揚げ。右中:酢豚。左下:味噌汁(なっとう汁)。右下:麦入りご飯。

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5月12日の夕方、ちょうど7ヶ月ぶりに日本に帰国した。高緯度の北極域を離れて、ケンブリッジベイを経由し、イエローナイフに近づいた機窓から、久々に見る緑の森林に感動した。いつもそうだ。エドモントン〜バンクーバー〜日本へと乗り継ぎ関西空港へ。あっという間の場所の移り変わりに、夢から覚めた気分になる。いつもそうだ。どちらが現実の世界なのか。
随分と休んでしまった。今日からランニングを再開しようとしたらシューズが無いのに気づいた。グリーンランドから夏に一便だけある船便で送り返したんだっけ。到着は秋になるはずだ。新たに一足購入した。思ったより走れた。いつものコース8〜9kmほどだけど。
北極での活動も難しいけど、継続するモチベーションを保ち続けるのはもっと難しい。ついついやさしいほうへと流されてしまいそうになるから。
必ず来シーズン北極に戻る。

写真:新しいランニングシューズ

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明日10日、1週間の滞在を終えてレゾリュートから日本へ帰国の途につく。まだこのあたりの海氷状態は良さそうで、もう少し犬橇を走らせたい気持ちは山々だが、今シーズンの予算はすでに尽きてしまった。犬達を残して帰るのも忍びないが、日本で早急に来シーズンの計画の詳細を練り直し、予算面も含めて準備を進める必要がある。気持ちはすでにそっちに向かっている。
レゾリュート滞在中は後片付けと、来季に向けて現地での受け入れ態勢を確保することに忙殺した。犬達はレゾリュートで遠征隊のサポートを手がけるAziz氏が夏の間預かってくれることとなった。また来季の活動のロジスティックについても打ち合わせをすることが出来た。
今冬季、グリーンランド、アバンナッソア地区周辺に関しては、決して温暖とは言えず、冷え込みは強かったように思う。このカナダ、レゾリュートベイ周辺も地元の人によると例年以上に冷え込んだと話を聞いた。さて来シーズンの北極の気候はどうなるのだろう。

写真:レゾリュートの町を背に

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春の訪れを告げるアッパリアスという水鳥が、5月2日にシオラパルクに飛来したと噂に聞いた。決まって5月初句に産卵のため、群れをなして飛来するのだが、よく時期を間違わずに帰って来れるものだ。産卵後、雛を育て夏の終わりと共に去っていく。アッパリアスの訪れを境にするかのようにこの時期は霧が多く発生するのだが、昨日までこの数日はカナック周辺でも霧が濃く、視界が500m程と心もとなかった。
いよいよ飛行機輸送オペの日を迎え、朝8時頃から荷物をまとめて準備に取りかかった。ローカル時間のPM3時頃、予定通りカナダKenn Borek社のツインオッター機が、思いもかけない心強い援軍を乗せてカナック飛行場へとやってきた。時間が取れないと言っていたはずが、日本から有佐が駆けつけてくれたのだ。また、カナックでいつもお世話になっているキム&トク夫妻も積込みを手伝ってくれた。色んな意味で、一人で出来ることは何もない。感謝しつつ、心地よいエンジンの音を聴きながら、ローカル時間のPM4時半頃、カナダ、ヌナブット州のレゾリュートベイに無事到着した。

※写真上左:橇を積込む。写真上右:右からパイロット、アリサ、キム、トク、山崎。写真中左:輸送中の機内の風景。写真中右:すっかり海が開いたスミス海峡。写真下:緑線が輸送ルート。

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久しぶりにインターネットがゆっくり出来る環境にある。犬橇旅行から帰ったあとのことを書いておく。

4月16日〜4月25日、シオラパルクに不在だった20日弱ほどで、村周辺はさらに春の陽気が漂い始めていた。旅行から帰ってからは14頭のうち怪我をした犬2頭をリハビリさせつつ、来シーズン以降、カナダ北極圏で取り組みが出来るようにドックチームをチャーター機で移動させるべく段取りを進めた。日程が5月5日前後と煮詰まりつつあるのを見計らい、4月25日にシオラパルクに別れを告げ、14頭の犬達と共に隣町のカナック周辺へと移動した。シオラパルクをベースキャンプに長期滞在するのは今回が最後になるだろう。

4月26日〜5月3日、シオラパルクから移動後、カナックから5kmほど離れた飛行場真下の沿岸でテントを張り、そこをベースとして動いた。このあとのことで一番安心のできる地点だった。日本からチャーター機の日程を詰めてもらったところ5月4日に決定。飛行機でライフルをカナダへ持ち出すのは問題ないかなど、カナックの警察でもう一度確認をとったりしながら、「本当に移動できるのだろうか?」と不安を抱えたままで待ち続けた。

※写真上:カナックの町へ
 写真下:飛行場の下でキャンプを張る

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