山崎哲秀 ー北極圏をテツがゆくー

北極圏の犬ぞり遠征をライフワークにしている山崎 哲秀のブログです。北極圏を犬ぞりで遠征し環境調査を行うアバンナットプロジェクトに取り組んでいます。このブログでは、遠征前は日本での準備や生活の様子、遠征中は、北極圏の様子を紹介します。 アバンナットプロジェクトの詳細は、山崎哲秀のホームページhttp://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/ をご覧下さい。山崎哲秀の連絡先は、同ホームページに記載しています。

2008年12月

200812303

1230日(火)

 連日、吹雪が続いた。積雪はたいしたことはないのだが、障害物があると、その周囲に吹き溜まって色んな物を埋めていってしまう。犬達もくるまって寝ていると埋もれていくので、気をつけてやらないといけない。

今日は午後に吹雪がおさまったのを見計らって、雪かきをした。ほっておくと雪が硬く固まってしまい、掘り出すのが大変になる。それが犬達だとしたら、スコップで傷つけてしまうのでは、と気が気じゃないことも時々ある。まずは橇の掘り起こし。周囲の雪をスコップで除雪し、橇の上に溜まった雪を払い落として場所を少し移動させておく。そのあとドックフードが入った木箱の周りを雪かきする。ドックフードは6月までの2000kg分を、夏の海氷が融ける時期に、年に一度だけレゾリュートにやってくる貨物船で運搬してもらった、高カロリー極地用ドックフードだ。

寒い中でもひと作業すると汗だくになるけど気分はいい。現場作業は得意分野だ。

写真:(上)橇の掘り起こし。(下)ドックフードの入った木箱の周りを除雪。

200812253

1225日(木)

 クリスマス。今日は何かイベントがあるだろうと聞いてみると、午後3時から役場の講堂で、町の人たちがクリスマス会で集まるとのことで行ってみた。中央には色々と料理が並べられ、それをみんなで食べたりしながら数時間を過ごした。トナカイの凍肉の横をみんな通り過ぎるのだが、僕はナイフで小さく切りとり、ご馳走になったのはいうまでもない。

200人いるというレゾリュートの住民が、殆ど集まっていたのだと思う。

昨夜から吹雪が続いている。

写真:(上)クリスマス会で、ご馳走を楽しむ町の人たち。(下)トナカイの凍肉は、みんな通り過ぎた。

200812243

1224日(水)

 レゾリュートでのクリスマスイブ。何かイベントでもあるのかと、夕方5時を過ぎて町の教会と町役場の講堂に行ってみるが、電気も消えてシーン・・。他に集まる場所なんかあったかなあ・・・?やけに町の中も静かで「あれっ?日にち間違えたかな?」と考え直してみてもやっぱり24日。家の窓や玄関は、ピカピカと装飾されているんだけど・・。グリーンランドのシオラパルク村は人口6070人くらいの小さな村だけど、今日なんかだと打ち上げ花火はみんなバンバン打ち上げるし、中にはお酒で陽気になっている人も多く賑やかなので、ややレゾリュートのクリスマスイブに拍子抜け。寒さは申しぶんないんだけどなあ。ここでは公にはお酒は禁止されているから、そのせいなのかな?でも宿泊先の食堂には、町の人たちが50人ほど集まって夕食会。みんなに混じって、ロブスターとステーキをたらふくお腹に詰め込んだ。

自分はよく考えたら、5シーズン連続でクリスマスとお正月は氷の世界にいて、日本にはいないな。う~ん・・、いかん、いかん・・・。

写真:(右上)クリスマスイブの様子。(左下)犬橇トレーニングにて。今日は夕方の気象観測で、マイナス34.7℃と今季最低気温を記録した。

20081224_2

1222日(月)

 郵便小包が届いたと知らせがあったので、町の郵便局まで受け取りに行ってきた。待望の特注防寒着が日本から届いた!大阪に本社がある、アウトドア用品メーカー、モンベル → http://www.montbell.com/ が、この北極計画のために特注で作製してくれたのだ。さっそく部屋の中でファッションショー。ズボンと上着は2種類ある。嬉しくてたまらない。近々、さっそく野外で使ってみよう。

写真:(左)レゾリュートの郵便局。(右)届いた特製防寒着。

200812224_4 

200812192 1219日(金)

 そろそろ犬たちも僕も、犬橇の感覚が戻ってきたので、少しずつトレーニングの距離を延ばそうと思い、今日から橇にはテントやコンロセット一式を積み込んだ。何かあった時の緊急用だ。もう何日かすれば極夜も折り返し。明るい時間帯がまた一日一日増えていく。太陽が恋しくなってきた。早く太陽よ戻れ!レゾリュートでは2月上旬頃には戻るのかな?

写真:(左)極地研究所(気水圏部門)から借用してきたピラミット型テントを準備する。やや重いが、強風にはめっぽう強い。(右)今日でワンコ紹介は一巡。とりは「ルッキ」。チームのボス犬です。とにかくいつも元気一杯。餌を与える前は、ジャンピングして「早くくれ~」とアピールします。

   ワンコ紹介、二巡目もお楽しみに!

1217日(水)

 1217日にロイターから配信された、温暖化の記事が目に付いた。その文を → http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081217-00000801-reu-int 

よりそのまま抜粋すると下記の通り。

 

世界気象機関(WMO)は16日、北極地域周辺の氷の量が観測史上最小の規模に縮小したと発表した。また、2008年の世界の平均気温は14.3度と21世紀に入って最も低かったものの、温暖化の傾向は変わらないとしている。

WMOのミシェル・ジャロー事務局長は「北極地域で起きていることは地球温暖化の重要な指標の1つ。全体の傾向は依然として上昇だ」と述べた。

ジャロー事務局長が記者会見で発表した報告書では、北極海の氷はことしの夏、衛星観測を開始した1979年以降で2番目に小さい面積になった。 

さらに報告書は「氷は2008年にさらに薄くなったので、全体的な氷の量は過去のどの年よりも少ない」と指摘。北極海の氷は30年来の縮小傾向に拍車がかかっているとしている。

という記事だ。夏に北極海の氷が融けているから温暖化?なのか、2008年の世界の平均気温は21世紀に入って最も低かった、にもかかわらず温暖化?なのか、このあたりのこの温暖に対しては、どういう捉え方をすればいいのだろう・・・??北極海の氷を引き合いに出せば、確かに分かりやすく見えるけれど、最近どうも頭の中で整理できないでいる。

写真:今日のワンコは「リク」です。産まれた時から育てた犬で、今シーズンはもう一回り体格がよくなった。いまや立派な橇曳き犬です。

20081217

20081216

1216日(火)

 どうもこの数日、喉がイガイガするなと思ってたら、ひどくはないけど風邪みたいだ。極地では外部との接触がないと、まず風邪はひかない。南極観測隊に参加した時もそうだったけど、越冬中の1年と数ヶ月は外部との接触がないから、風邪をひく隊員はいなかった。無菌状態に保たれるからだろう。ここ北極レゾリュートは定期便があり、外部との接触があるからなあ・・・。いま宿泊している施設の中で、何人かゴホゴホと咳をしているから、どうもうつされたみたいだ。今朝の外は雪が降っていて、視界も悪いのでのんびりすることに。一日中雪が続いた。

午後になって町役場に、子犬たちにジステンバーの予防接種をしてくれるように、催促をしに行ってきた。1週間以上も前からお願いしているのだけど、なんの音沙汰もなく。返事は「クリスマスのあとに必ずするから」とのこと。まったく・・。仕方ないか。

写真:今日はラッシの登場です。現在は産休中。産後しばらくは痩せていて心配したけど、ここにきて肉付きが良くなってきた。ちゃんと子育てやってます。

20081213

1213日(土)

 細かい雪がパラパラと降る、静かな一日。観測課題や犬橇トレーニング、犬の世話などと、同じ毎日があっという間に過ぎていく。

そうそう、昨日から暖かいので(といってもマイナス2025℃くらい)、子犬たちを母犬のラッシと一緒に外に出してあげた。雪の家(かまくら)で寝ている。そろそろ外に慣らしていかないと。天気が悪いときは中に入れてやったりして、しばらく様子をみることにする。一週間ほど前から、子犬たちはお湯でふやかしたドックフードを食べるようになり、足取りもしっかりとしてきた。スクスクと成長する姿を見るのは楽しく嬉しい。昨夜は心配で、夜中に何度も様子を見に行った。

写真:(左)母犬と歩き回る子犬たち。(右)今日のわんこは「シルバー」。仲のよかった相棒のシロは、夏の間にいなくなってしまったけどこちらは元気です。シャイな性格だけど体格がよく、馬力のあるベテラン犬。

20081211 1211日(木)

 質問が届きました!今日の質問は大阪市のぺンネーム、桃太郎さんからです。けっこうたくさんあるな(笑)。

Q:(その1犬たちは寝る時も、外で寝るんですよね?

(その2)

哲さんが今、居住してる所から犬たちが繋がれている所まで、距離はどれくらいあるんですか? 餌をやりに行くまでに、白クマと出くわすかもとか、町の灯りが頼りとか・・・なんか、想像がつかないので。

(その3)

毛皮から化繊タイプの防寒着に移行するとのことですが、それは、日本など先進国むけのアピールなんですか? 現地の方でも、変わりつつあるんですか?「毛皮と化繊」防寒としてどちらもひけをとらないんですか(同じなんですか)?私、個人としたら毛皮がいいんでないかと。作るところは、見たくないですけど・・・。

  

ご、ごもっともな質問です。極地でのことが当たり前になっていて、なにげなくブログにも書いてしまってます。こんな感じでどんどん質問してくれたら嬉しいです。

ではQその1から・・

A:(その1)犬たちは基本的に外で寝ます。マイナス30℃、40℃・・といった気候の中でも生き延びるほど彼らの極地の気候への順応力は凄いです。ただ、それにも当然条件があって、第一に餌をしっかり与えること。それはどこでも同じですよね(食べさせ過ぎはよくないけど)。でも産休の雌犬や子犬、また体調を崩している犬たちに関しては、なるべく暖かい場所へ移すなどケアをしています。

(その2)

おそらく700800mくらいの距離だと思います。たったそれくらいの距離で迷うの?と驚かれるかもしれないですが、強烈なブリザードで地吹雪になると(さらにそれに降雪が加わると)、「一寸先も闇」状態で、1m先も見えなくなることがあるんですよね。「ホワイトアウト」という言い方をしますが、目の前に霧がかかったように真っ白で、地に足がつかないような状態になるんです。そういう悪天候の時の行動は、いくら近い場所でも要注意です。

白熊に関してはレゾリュートでも、ほんとに人家まで来ることがあるそうですよ。犬たちを繋いでいるところは、海岸に近い、辺りには人家も無い場所なので・・。やっぱり不気味です。

(その3)

特にアピールと考えているわけではないんですが、例えばズボン用の白熊の毛皮にしても、手に入りにくくなってきている理由もあります。現地のイヌイットの猟師たちは、今でも自分たちで獲った獲物の毛皮を自分たちの生活での防寒着として使用していて、今後も利用していく権利は当然あると思いますが、そのイヌイットの人たちさえも、動物保護という観点からも、狩猟制限で抑えられてきているような時代ですから、僕のように外から入る人間が、獲物を好きなように獲っていいという権利はやはりないように思いますし、世情にも配慮していかなければ、と思っています。5年後、10年後と先を見たときに、今後も毛皮を使える見通しが分からないので・・・。化繊の防寒着については、毛皮にも充分に対抗できるものが出来ると思います。間もなく特注品が届く予定ですので、またブログでも紹介しますね。

写真:今日は「クロ」の紹介です。前回のクガッと同様に長老。走るのも号令の聞き分けも、凄くうまいです。ケンカを好まない、おとなしい犬です

200812102

1210日(水)

 レゾリュートに来て、一番いい天気!満月が近い。天空を月が一周。辺りを照らし出してくれる。明るいとやっぱり安心感があるね!!

写真:(上)犬橇トレーニングにて。海氷の沖合いからレゾリュートの町を望む。(下)今日のわんこは「クガッ」。チームの中でも長老に入る。何年も長く走っているだけあって、さすがに走りが安定してるなあ。

20081209

129日(火)

 白熊に出くわしたこともあり、昨日は様子を見ることにして装備の手直しをしたりして過ごした。イヌイットの話では、町の近辺で見かけたとか・・。犬たちの世話に出かける時もピリピリとしてしまう。

今日はトレーニングに出る予定だったが、今朝起きたとき良かった天気が崩れだして、次第に視界の利かない吹雪となった。午後3時を過ぎて強風の中、犬たちに餌をやりに出た。町の灯りが明るいから戻れるものの、灯りがなければ方向を見失うだろうな。過去に日本の南極観測隊でも、まだ移動手段に犬橇が使われていた昔、ブリザードの中を犬の世話に出かけて方向を見失い、隊員が遭難死しするという事故があった。その状況が想像できる。気をつけなければ・・。

マイペース、マイペース!

写真:今日の登場は「キナリ」。チームのリーダー犬。今回もいい感じでトップを走ってる。頼むよ~!

20081207

127日(日)

 今日は4頭の犬たちを連れてトレーニング。順調に走っていると思いきや、犬たちが何か匂いを嗅ぎつけて方向転換、いやな予感がしたが的中。暗がかりに何か大きな物体。白熊だ。風上にいた白熊は、最初は気づいていなかったみたいだが、犬たちに気づいたら突進してきた。4頭の犬たちもグリーンランドの狩猟犬だ。白熊に立ち向かっていった。慌ててライフルを取り出して、空に向かってまず一発威嚇。保護があるから撃てないのだ。橇とを繋ぐ曳き綱ぶんの78mしか離れていないところで絡み合っている。犬たちと白熊が離れたのを確認して、空砲をもう一発上空に向けて放つ。白熊がおしりを向けて逃げていってくれた。犬たちが手強かったのか、ライフルの威嚇で逃げてくれたのか・・・。

この人里エリアに白熊がゆうゆうと歩いているのはどうかと思う。温暖で餌が獲れないから町のゴミをあさりに来る、という記事を以前に読んだ記憶があるが(記憶違いだったらすみません)、これは環境問題以前の問題だと思う。野生の白熊は人間を襲うことがあるのだ。人が町の道を歩いていて食べられてしまった、という事件も何度か聞いたことがある。今日出会ったのはレゾリュートの町から湾を挟んだ数キロ向こうの岬部に人家がある、ふだんでも凍った海氷上に人の行き来もある場所だ。町なかといってもいい。人里エリアでウロウロしている白熊に対しては、もっと明確に対処していくべきだと思う。

何事もなければ「白熊に会った!」と話のネタにはなるけれど・・・。

絵:余裕がなくて、とても写真は撮れなかったので、雰囲気を絵に描いてみました。

200812062

126日(土)

 ようやく天気回復!AM10時半頃、犬橇を出す準備を始めトレーニングに出かける。あれだけ天気の悪い日が続いたら、このまま春になってしまうんじゃないかと不安になっていた(そんなはずないんだけどさ・・・)。

今日犬たちは5頭立て。橇はまだ空荷だけど、けっこういい感じでみんな走ってくれるから、頼もしくなる。ひとつ、日課である南の空の雲の観測をしてから町に引き返してきた。

 3日ほど前から、夜空に月が戻ってきて、視界の悪い吹雪越しにぼんやりと見えていたのだが、今日はくっきり半月が夜空に浮かんだ。

今日も最低気温更新、マイナス32.1℃。お隣のグリーンランド北部地域が気になるんだけれど、マイナス15℃前後らしい。あっちは暖流が流れているからというけれど、どうしてこんなにも違うものなのか・・。

写真:(上)犬橇トレーニングにて。(下)今日は「カヌッルンニ」です。甘えん坊で、そばにいったら飛びついてくるベスト3だ。何度、顔に頭突きを食らったことか・・。

200812052

125日(金)

 グリーンランドからこの一帯に大きな低気圧が居座っている影響か、いっこうに天気が回復せず。風が連日10m/sを超えて地吹雪&吹雪の繰り返し。今日も動けず。気温はどんどん最低気温を更新していく。夕方の測定では-29.4℃だった。明日の天気予報は風が弱まるってことだから期待、期待!

画像:今日の天気図 → http://www.dmi.dk/dmi/index/gronland.htm より

写真:今日は生後1ヶ月を過ぎた2匹の子犬を紹介。名前が付きました。頭が黒い毛のオス犬が「シン」、茶色い毛のメス犬が「コウ」です。ヨロシク。

20081203_6

123日(水)

 今日の朝の気象観測では、レゾリュート入り後最低の-25.9℃だった。

 1日の夜からの強風は、今日も止まず、視程は相変わらず1km以下。午後に一時的に風が弱まったのを見計らって、犬たちに餌をやりにいった。

外での活動は難しいので、今日は町に一軒だけある店に行ってみた。「CO-OP」と看板が掲げられていて、食糧品、生活用品などが一緒に売られている店だ。特別に広いというわけではないが、野菜、フルーツ、インスタント食品、その他食糧品や衣類、生活用品、道具類、子供のオモチャなどといったものが店頭には並べられている。350mlのコーラ1本がカナダ$2.59。ヘッドライト用の単三乾電池が必要だったので、4本パックを買うと$9.99。(現在は円高でCANADA1ドルは75円前後)。やはり輸送費がかかるとみえて、すべてが高価だ。時々飲むコカコーラをとても楽しみにしている。何故か筒状の箱に入ったポテトチップスが$0.99と大安売りしていた。思わず買ってしまう・・・。

レゾリュートの町の様子も、時々紹介していきます。

写真:(右上)CO-OPの看板がかかった入り口と商品が並ぶ店の中の様子。

(左下)今日の登場は「ウヤー」です。顔が吹雪で雪だらけ。ラテン的?な黒いヒゲが魅力的だね、セニョール・ウヤー君!  ※セニョールはスペイン語で、英語のMr.意味。

20081203_7

20081201_2

121日(月)

 レゾリュート滞在も、だいぶペースが出来てきた。まだあれもこれも、というところまではいかないが、今日から12月になったので、各観測課題も出来るところから始めることにした。今日は明るくなる正午前後に合わせて、歩いて湾内の海氷上に観測に出かけてきた。作業をする時に、どうしても薄手の手袋1枚になる時があるが、やはり-20℃以下ともなると、あっという間に手が凍えてしまう。指を暖めながらのんびりとやった。

 海氷の厚さを測ってみたところ、すでに80cmほどの厚さに発達していた。

写真:今日のわんこは、ウキダガヤ。昨シーズンあたりから、目がはっきりと見えてないようで、少し心配している。号令もよく聞き分ける、頭のいい犬です。

20081130

1130日(日)

 あまりにも天気がいいから、予定を一日早めて犬橇トレーニングを開始した。東から南にかけて染まったオレンジ色の空に、思わず犬たちと一緒に走りながら「気っ持ちいい~!」と叫んでしまう。今日はキナリ、シルバー、リク、アプの4頭だけ連れて行く。夏は犬橇からは離れているので、勘を取り戻すには手ごろな頭数だ。レゾリュート前の海氷上を、ほんの1時間程度だったけど楽しかった。少しずつトレーニングしていくうちに、犬たちも僕も勘が戻ってくるだろう。レゾリュート前の海氷はすっかり凍りついていて、その点は安心だ。

昨冬まで取り組んできたグリーンランド北部のシオラパルク村周辺では、この数年この時季の海氷がさっぱり安定しなかった。真冬の1月、2月になっても海氷が壊れて流されるというように、1991年以来何度も冬の当地を訪れた中では無かった海氷の不安定さを経験した。グリーンランド北部とカナダのエルズミア島を隔てるスミス海峡からその南側は、もともと海流が複雑で、海氷も流れやすい場所だと聞いているが、それでも以前は海氷上で安心してテントを張れていた場所であった所も、今は怖くてのんびりキャンプは出来ない状態だった。現地のイヌイットも「海氷がよめない。」としきりに嘆いていた。そういった経験からも僕の体感では(実際にこの目で見た)、グリーンランド北部アバンナッソア地域に限っては、15年以上前に比べたら、最近は暖かく感じた。また夏に海氷が融けて、海になる範囲が北のほうまで広がっているのは確かなようだ。海氷が流されるのが、温暖の影響なのか、海流のせいなのか、などなど、僕には断言できないけど。

温暖化問題が現在は騒がれているが、それについて調べれば調べるほど色んな学説があって、一体どれが本当なのだろう??と頭の中が混乱してしまう。今は人為的なCo2説が主流だけど、実際はまだ答えが出てないんじゃないかと個人的には思ってしまう時がある。Co2を抑制していく個人個人の努力は、温暖の原因だからというだけじゃなく、当然のことだと思う。

色んな意味で、これからの環境はどうなってしまうのだろう、と不安になるけど、僕がずっと活動をしてきた「北極」の環境の変化を現地で体感しながら見届けていきたいのと、何かそういった取り組みに一つでも参加したい。とりあえずまずは僕に出来ることかな・・・。取り組む形が違ってても、みんなが同じ方向だったらいいですよね!

さて、今日は大阪府高槻市(僕の地元です)のSACHIYOさんから質問が届きました。

Q:日本と、レゾリュートの時差は、どれくらい有るのですか?いつもブログの書き込みが、日本よりも1日くらい遅いようですネ~?

A:ここレゾリュートは、日本との時差は14時間遅れですよ~。アメリカでいうとニューヨークと同じ時間帯のようですね。今は一日中殆ど暗いので、時間があってないような気分だけど・・・。

今日は天気がすこぶるよかったけど、夕方の気象観測では-23.6℃まで気温が下がった。

写真:(上)オレンジに染まる彼方をバックに。(下)今日の登場は「アミッバルッ」。アミッアミッと兄弟で、正反対の気が強い性格。バルッ、というのはイヌイット語で「~野郎」です。気が強いので・・・。

↑このページのトップヘ