犬ぞり案内人 山崎哲秀 ー北極圏をテツがゆくー

グリーンランド北西部地方に古来から住む、エスキモー民族から伝承を受けた犬ぞりを操り、“アバンナット北極プロジェクト”に取り組む、山崎 哲秀のブログです。 このブログでは、北極遠征中や日本滞在中の活動の様子を紹介します。 アバンナットプロジェクトの詳細は、山崎哲秀のホームページhttp://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/ をご覧下さい。山崎哲秀の連絡先は、同ホームページに記載しています。

2010年11月

20101129日(月) 地吹雪 -17.6

仔犬たちは何処へ行ってしまったのか?今日も町では手掛かりなし。ダメだったらダメで諦める。でもある程度、状況を把握して、気持ちの整理をつけてからでないと、次には進めないみたいだ。数日時間がいる。幸い明日も天気は吹雪く予報だ。最後に近辺地域に範囲を広げて探してみることに。RCMP(カナダ警察)にも迷子の届け出をした。

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20101128日(日) 晴れ(高い地吹雪を伴う) -18.6

ショッキングな事件が起こった。AM7時頃、朝の犬たちの見回りに行くと、3匹の仔犬たちが犬小屋からいなくなっていた。昨夜9時過ぎの見回りでは、元気に飛びついてきて小屋にはまだいた。生後2ヶ月で母犬から離れて、少し距離のある町中へ歩いて行くのは、ここの環境を思うとちょっと考えにくい。ましてや昨日、外で飼い始めたばかりだ。すぐに母犬から離れ歩くのは、これまでの経験ではない。白熊や他の動物のことも考えてみたが、犬たちを繋いでいる場所、周囲の状況を見る限りではあり得ない。町にも呼びかけてもらったが、ウロウロしてるいような有力情報はなし。家屋の下も見て回ったが、どこかに潜り込んでいるのだろうか?小さな町だ。今しばらく町の中を探し回ってみたい。

色々と憶測をしてしまっては良くないが、あれこれ考えてしまう。こちらではブランドのグリーンランド犬。しょっちゅう近辺地域の人たちからも、犬が欲しいと頼まれることがある。よくカバンに仔犬を入れて持ち運んだりすることもあると聞く。今朝、かなり早朝のフライトが一便あった。レゾリュートにはもしかしたら、もういないかもしれない。間違った憶測でありますように。

一難去ってまた一難。なかなか気を落ち着かせてはくれない。叫びたくなる・・。どこに気持ちをぶつければいいのだろう・・。

20101127日(土) 雪のち晴れ -22.1℃

20101127早朝は雪が少しちらついていたが、間もなく快晴!やっぱり天気がよければ気分もいいね。AM10時半頃、犬ぞりを出す。4頭の犬たち(シルバー、アミッ兄弟、ゴードン)のトレーニングも兼ねて、海氷観測のデータ収集をしてきた。今日はレゾリュート湾の外に出てみた。海氷もいい感じで凍り付いてきたようだ。PM12時半頃、町に戻る。

昼食!といきたいところだったが、天気のいい日にやっておかなければいけない作業が一つ。仔犬たちを外で飼い始めるために、サイレス&サエコ夫妻宅から移動させる仕事があった。生後2ヶ月を過ぎて、随分と足取りもしっかりしてきたから、ちょうどいい頃だろう。少し前から、外の気温に少しずつ慣らしてもらっていた。3ヶ月目からはこの仔犬たちもレッスンが始まる。サイレス&サエコ夫妻には、仔犬たちが生まれてからここまで、母犬のコウと一緒に、いい環境にいさせてもらって、ひたすら感謝です。ありがとう。

移動後、犬たちに餌をやり、一息ついたのがPM5時頃だった。

写真:サイレスが夏に廃材で作った犬小屋を、マイ台車(ミニ運搬ゾリ)で犬たちを繋いでいる場所まで運ぶ。コウ&3匹の仔犬たちは小屋で生活。

20101126日(金)ブリザード、吹雪 -7.8

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 日本から秋景色の写真が届いた。2004-2006年の南極観測隊に参加以来、その後は毎シーズン北極通いと、もう7年も日本の秋景色を見ていない。有佐と、うちの駄犬君たち「ピエール&タロ」も元気そう。「お~い、お前たちもこっちに来ない?!」

今日もこちらは一日ブリザード・・・。明日は晴れるぞ~!

 今日のワンコ紹介は「ルッキ」。チームのボス犬だ。そろそろ7歳になるが、まだまだ元気さは健在のようだ。他の犬たちに触れてやると横入りしてきて、相変わらずヤキモチやき。

写真上:日本の深秋を背景に、有佐と愛犬のピエール&タロ。

写真下:ルッキ(ルーク)。

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20101125日(水)吹雪のち晴れのち吹雪 -11.2

20101125朝の気象観測では気温がマイナス4.3℃とやたら暖かかった。

昨日は上空の雲が切れて、空が覗いたものの、強い地吹雪は続いて、結局犬ぞりを出すことが出来なかった。

気を取り直して今日、天気予報では天気が落ち着きそうだったので、朝起きてからいつでも出れるようにスタンバイ。AM10時半頃、吹雪が弱まり視程が利いたところで、すかさず犬ぞりを出す。天気が悪い時に無理する必要はないが、犬たちはなるべく間隔を空けずに、毎日走らせてやるのが理想だ。ルッキ、カヌッルンニ、ウヤー、ボタンの4頭。今日から2順目の走行レッスンになる。2順目が終わったら、ステップアップしていこう。海氷観測をする余裕が今日はなかったが、また天気も良くなる日が多くなってくるだろう。焦らない焦らない・・。

レッスン後、久しぶりに風が弱い中、落ち着いて犬たちに餌をやる。今日はドックフードにラードを加えてやる。この一週間のブリザード下、かなりエネルギーを消費したはずだ。

今夜からまたブリザードの気配。

写真上:お昼頃、南の空が綺麗だった。

写真下:町の中は一週間分の雪が吹き溜まり、除雪作業がフル回転。

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20101123日(火)吹雪のちブリザード -15.8

201011231朝はブリザードが小康状態になったので、AM9時頃犬たちに餌をやりにいく。「そのうち風は止むからなあ。もう少し頑張ってくれよ~!」

そして、午後を過ぎてからまた大荒れの天気に逆戻り。

「テツさん、なんとかしてくれよ。聞いてないよ~。」と犬たちが訴えてます・・。

 今日のわんこは「シン」。メス犬のコウとは兄妹。2歳を過ぎたところだ。昨シーズンは元気すぎて騒がしかったシンも、後輩がチームに加わってからは、やや落ち着いた感じ。昨シーズンは何回シンの胴バンドを修理したことか。今シーズンは噛み切らないでくださいよ。ただいまワイヤー入り養成胴バンドでしつけ中。

写真上:今日の正午頃の南の空。久々に見た色彩。

写真下:「シン」。

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20101122日(月)ブリザード -13.0

 ブリザード4日目。いつ止むんだろう?事務仕事と屋内作業がはかどってしまう(笑)。ここでは週間天気予報はあるものの、せいぜい2日間くらいまでが信用できる。このブリザード予報も、2日後は回復、と毎日予報されてきたが、一日一日と延びてきた。18日以来、定期便の飛行機もずっとキャンセルされているそうだ。天気の目が変わったみたいで、夜はマイナス8.6℃まで気温が上昇。それにしても、そろそろ野外で活動したい気分だ。

 今日のわんこ紹介は「アミッアミッ」。昨日紹介のアミッバルとは兄弟で4歳と数ヶ月。この兄弟犬は1歳を過ぎたところで、グリーンランド、シオラパルク村の猟師から譲り受けたが、最初はウキヨ&キャヨット兄弟みたいに懐かなかったが、今ではだいぶ懐いてくれるようになった。「アミッアミッ」はケンカを好まない、気の優しい犬だ。

写真:「アミッアミッ」

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20101121日(日)ブリザード -14.3

201011211うっ、首が回らん・・。「借金に首が回らん」とはよく言うが、そっちではない。これはほんとに曲がらないのだ。筋をちがえたみたいだ。防寒着を着込んで、ブリザードの強風の中、かなり踏ん張って犬たちのほうに進んでいるうちに・・。体に余分な力、入れ過ぎやな・・。ブリザードめ!!

 今日の犬紹介は「アミッバル」。昨シーズンはあちこちと円形脱毛症のように毛が抜けていて、毛並みもヘニャッとしていて心配していたのだが、この冬は見事に復活。見違えるように小奇麗になって、毛並みもツヤツヤだ。処方箋が効いたのか、ともかくよかった。体も大きく馬力もある。貴重な戦力だ。

写真上:うっ、首筋が・・。

写真下:小奇麗になった「アミッバル」。

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20101120日(土)ブリザード -27.9

201011201本格的なブリザードが続いている。視程はゼロ。よく吹くなあ・・という感じ。午前中と夜の気象観測時に犬たちの様子を見に行き、無事を確認。吹きさらしの中で恐れ入る。人間だったらとても身が持たないだろうな。

仔犬たちは、滞在している宿舎内では飼う環境じゃないので、まだサイレス&サエコ夫妻宅でお世話になっている。そろそろ生後2ヶ月が経つ。外で育てる準備に入っているが、この天候では出すに出せない状態だ。3匹の仔犬たちは元気です。

 今日のワンコ紹介は「シルバー」。昨シーズンの犬ぞり旅行中は、歳をとってきたせいか、後半になってからソリを曳く元気がなかった。とりあえず他の犬たちと一緒に今シーズンもトレーニングを始めたが、長期の犬ぞり旅行に耐えることができるか少し心配。この3ヶ月ほどトレーニングでの様子を見て、現役続行か引退か決めてやりたい。すごく聞き分けもよく、頭のいい犬です。

写真上:3匹の仔犬たち。左が「アノウィ」。アノウィに手で顔を押しやられているのが「ムク」。2匹の仔犬の後ろで、控えめなのが「アユ」。

写真下:今シーズンの「シルバー」。

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20101119日(金) 吹雪のちブリザード -23.4

 お昼前に、風がいったん弱まったのを見計らって、犬たちに餌をやりに行く。何日も吹き荒れるブリザードも、一時的に風が弱まることがあるのが、たいていのパターンだ。こういうタイミングに犬たちの世話や、必要な外作業を手っ取り早く済ませてしまう。今夜も悪天候が続きそう。

 今日のわんこ紹介は「ボタン」。きのう紹介のゴードンとは兄弟だ。生後まもなく10ヶ月。こちらも劣らず、体つきが立派になった。ゴードンもそうだが、ボタンもとにかく人懐っこく、元気一杯。期待してますよ!

写真:「ボタン」。

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20101118日(木) 雪のちブリザード -34.0

201011181この冬初のブリザード。17日の夕方あたりに警報が出て「おっ、いよいよ来るか」と期待半分。朝から午後にかけて次第に風が強くなっていった。これを経験しないと北極の冬は実感できない(笑)。今日は犬たちの見回り以外は屋内作業。

ワンコ紹介は「ゴードン」。愛称でゴディと呼んでいるが、2月に生まれてから、すっかり体格も他の成犬たちと見劣りしないくらい大きくなった。気も強そうな性格みたいだ。昨日の初めてのソリ曳きでは、すごくいい走りだったので成長が楽しみ。

写真上:雪煙にかすむ、ソリと犬たち。写真下:アザラシの脂をむさぼる「ゴードン」。

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20101117日(水) 晴れのち曇り -35.3

201011171昨日から冷え込んでいる。平年の平均気温よりも 89℃ほど低いようだ。やっぱり30℃を下回ると寒くて仕方ないけれど、歓迎しなければ。海氷よ、どんどん発達してくれ。

キャヨットを捕まえることができたので、気兼ねなく犬ぞりレッスンを遂行。今日はシルバー、アミッバル、アミッアミッに加えて犬ぞりデビューの「ゴードン」。初走行のウキヨ、ボタンの3頭のデビュー組の中では、一番それらしくソリを曳いた。みんないいソリ曳き犬になりそうだ。

加えて今日から、海氷観測データ収集にも取り掛かることができた。まずはレゾリュート湾内にて測定。海氷の厚さは約50cm。少しずつ沖合いに距離を延ばしていきたい。

 今日のわんこ紹介はゴードン、といきたいところだが、昨日のキャヨットに続いて兄弟犬の「ウキヨ」。同じくもともとは人間に触れられるのをすごく嫌がったが、ウキヨは次第に懐くようになった。今では普通に近づいてくれる。でもやっぱり怖がりで、おとなしい性格だと思う。他の犬たちの中にも、いい感じでとけ込んでいる。兄弟そろって少し痩せぽち。

写真上:おなじみの、海氷の厚さを測定する風景。

写真下:「ウキヨ」。

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20101116日(火) 雪 -30.1℃

20101116_2今朝6時半頃、朝の気象観測を兼ねて犬たちの様子を見に行くと、昨夜に仕掛けておいた魚獲り用の網にキャヨットが絡まり、他の4頭の犬たちも一緒にこんがらがっていたところをお縄頂戴!網から5頭の犬たちをほどいてやるのに一時間半ほどかかり、えらい苦労したが、なんにしても捕まえた。とりあえずはひと安心といったところだが、次に逃がしてしまったら、さらに捕まえるのは難しくなるだろうから、気をつけないといけない。奥の奥の手として、グリーンランドエスキモー式のやりかたで、奥歯上の歯の尖りを落としてやり、噛み合わせを無くしてやる処置をとった。曳き綱や胴バンドを噛み切って逃げないようにするためだ。町の中を徘徊して射殺されるよりはずっといい。

 ということで今日のワンコ紹介は「キャヨット」。「ウキヨ」とは兄弟で、まもなく12月に1歳になるのだが、昨シーズン2月に700kmほど離れた隣町、アークティックベイから生後2ヶ月の時に譲り受けた。元の飼い主はエスキモーなのだが、多分全く人間に触れられることもなく、ほったらかしにされて2ヶ月間を育ったのだと思う。僕のところに来たときには、とにかく人間に触れられるのを嫌がった。いくらかマシになったとはいえ、今も人間にはもうひとつ心を開いてくれないようだ。このあとは、また根気よく触れてやりたい。

写真:お縄頂戴後の「キャヨット」。4、5本のロープで確保した。

 

20101115日(月) 雪のち晴れ -25.1

 今日は例の野良犬中の、キャヨットの捕物帳。餌でおびき寄せたり、魚獲り用のネットを仕掛けたり・・。ドックチームに加えることは、ほとんど諦めているのだが、餌をあさり始めていて、今のままでは町にも迷惑がかかってしまう・・。1ヶ月以上もこんな状態。デビーさんやサエコさんも駆けつけてくれたが、結局捕獲できず、逃してしまった。

せっかく天気も回復したのに、貴重な犬ぞりレッスン日和も一日、逃してしまった。

数日前の仔犬の件といい、気持ちが沈む日もたまにはある。

20101114日(日) 雪 -22.2

 レゾリュートの気温は、まだ暖かいほうだ。今日も午前中から午後にかけて犬ぞりを出す。ルッキ、カヌッルンニ、ウヤーの3頭に加えて、今シーズンデビューの「ボタン」をレッスン。最初にしては上出来。繰り返すうちにどんどん覚えていくだろう。

 今日のワンコ紹介は産休中の「コウ」。2歳になったが、今回で2度目のお産だった。前回は乳腺炎になったりしたが、今回は今のところ健康に過ごしている。あと1ヶ月ほどは産休の予定。リーダー犬として期待している。

写真:体を伸ばす「コウ」。

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20101113日(土) 雪時々曇り -17.0

20101113_2レゾリュート入りして9日目、なんとか犬ぞり初滑りに漕ぎつけた。まだこればかりに集中するには、他にもやることがたくさんあるのだが、まずは良しとしよう。犬たちは3班に分けて繋いでいて、今日はリク、アプ、シン、そして間もなく1歳になるウキヨの4頭を走らせてみた。リーダー犬のキナリは療養中だ。当面は、今シーズンデビューするウキヨ、ゴードン、ボタンの集中レッスンになる。もう1頭のキャヨットは、殆ど野良犬状態で、頭が痛いところだ。捕まえようとすればするほど逃げまとう。町のルールでこういったケース、射殺してもいいことになっているから、徘徊していて撃たれないか心配している。その前に捕まえることができればいいのだけれど。

 一つ残念な出来事が・・。12日深夜に仔犬のチカが亡くなってしまった。おそらくウイルス系の病気に感染してしまったのだと思うが、僕が到着する少し前くらいから、嘔吐と下痢が始まり、次第に母犬の母乳を飲んでもすぐに吐くようになり、どんどん体力が落ちていってしまった。ここでは獣医さんもおらず、手は尽くしたがどうすることも出来ない。昨シーズンも一匹の仔犬を亡くしてしまったが、こういった自然界での生存の厳しさを痛感せずにいられない。日本にいるのとは、やはり違う世界だ。

生後50日、乳離れが始まった3匹の仔犬たちに、1回目の予防接種をしてやる。

写真:今シーズンの初走行にて。

20101112日(金) 曇りのち雪 -17.0

20101112_3 今日は殆ど犬たちの銅バンド(ハーネス)の修理に時間を費やした感じだ。昨シーズンのものを幾つも修理した。1シーズンが終わるとあちこちとほつれたり、噛み切ったりしている箇所ができ、けっこうボロボロなる。なるべく古くなってもリサイクル。

今回、新たに作ったのがワイヤー入りの養成ハーネス。体を鍛える養成ギブスではないのだが、シン(あと数ヶ月で2歳)は胴バンドを噛み切る癖が強く、今シーズンは徹底してしつけてやるつもり。昨シーズンはシンの胴バンドを何度修理したことか・・。袋状になった胴バンド用の帯の内側に、ワイヤーを二重に入れて、特製のものを作ってやった。これでどうだ、シン君??(ふふふ・・)。

その他の作業は、気象観測用の温度計を野外に設置したのと、近々開始する予定の犬ぞりトレーニングに備えて、海氷までのルート確認、町の警察へライフル所持の申請、ライフルの手入れなどなど。

 

写真:ワイヤー入りの養成ハーネスを製作。

20101111日(木) 曇りのち晴れ -15.6

201011111夏期中は、沿岸近くに繋ぎとめていた犬たちを、昨日と今日にかけて、宿舎近くに連れてきた。サイレス&サエコ夫妻も手伝ってくれたが、連れてくるだけで汗だくだ。とにかく引っ張る力が強くて、せいぜい一人一回に連れてくるのは、2頭くらいにしておかないと押さえ切れない。サエコさんが2頭の犬を連れて行くと、雪の上を引きずられていたが、笑うわけにはいかなかった(笑)。

取り合えず4頭ずつ3班に分けて繋ぐ。療養中のキナリは1頭で犬たちの近くに繋いでやる。キャヨットは相変わらず逃げまとっていて、捕まえることができず。もう1ヶ月ほどこの状態のようだ。ソリ曳き犬にはなれないかもしれない。産休のコウと子犬たちは2ヶ月が過ぎるまで同じ環境で、サイレス&サエコ夫妻宅にもう2週間ほどおいてもらう予定。仔犬のチカの調子があまり良くない。

写真上:宿舎近くに犬たちを連れてきた。写真下:午後の南の空。

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2010119日(火) 雪 -12.8

201011091雲り空で雪がチラチラ。午前中はソリの修理を済ませた。午後は宿泊している近くに犬たちを連れて来るべく(世話がしやすいように)、繋留場所を設置したりなど作業をしてると、あっという間に時間が過ぎた。

 今日の犬紹介は「キナリ」。我がチームの貴重なリーダー犬。そのキナリが10月のとある日、行方不明になった事件があり、発見された時は、体中に深い傷を負って、瀕死の状態。ようやく回復してきたところだ。再会してホッとした。町に現れた白熊を追って、一戦交えたのは疑いがないようで、700kmほど離れた隣り町のグリスフィヨルドまで、武勇伝?として噂が広まっている。キナリはグリーンランドで白熊狩りの経験がある。その方法は、犬ぞりで白熊を追い詰めたら、ソリに繋いだ何頭かの犬たちを切り離し、白熊に襲い掛からせる。白熊が立ち上がったところを「ズドーン!」とエスキモーが仕留める。本能的に追っかけて、襲いかかったんだと思う。でもさあキナリ、おまえ一人じゃちょっと無理があるだろ?大きさ全然違うんだから。頼むよホント・・。

写真上:ソリの横板を取り付ける。写真下:ただ今、療養中。回復の「キナリ」。

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2010118日(月) 晴れのち軽い地吹雪 -21.0

201011081_3レゾリュート入りして一番いい天気。太陽はもう姿を見せず。そして夕方頃からまた低い地吹雪に。今日も風が肌に沁みるゼい・・。

昨シーズン、凸凹の氷の上を犬ぞり走行しているうちに、ソリを少し壊してしまった。荷台部の横板で、一番前の板。ガツガツと氷にぶつかるので割れやすいのだ。いい材料が無かったので、今シーズン手荷物で木材を持ってきた。丈夫な樫材。割れた板をソリから取り外したあと、新たに取り付ける材木に手を加えたところまでやって、今日は終了。明日、取り付けることにしよう。

 今日の仔犬紹介は、噂の「アユ」。生まれた当初、レゾリュートのサエコさんから、歌手の浜崎あゆみに似ている、とのことで、即決で名付けた。仔犬たちはもう、キャンキャンと声を出しているけど、アユも可愛らしく歌って?います。

写真上:壊れたソリの前部と、新たに取り付ける板に手を加える。写真下:仔犬の「アユ」。

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2010117日(日) 地吹雪 -18.9

201011071_2なんだか、おかしいな?おかしいな?と思ってたら、今日からサマータイムが終わって、時計が1時間戻ったんだってさ。日本よりも時差は15時間遅れになった。な~んか腑に落ちないような、意味ないような・・。レゾリュートは極夜へと、更けてゆく。

 犬の紹介。今日は仔犬の「ムク」。4匹の中では一番体が大きいが、まだ一番、甘えん坊らしく、他の仔犬たちに比べて、乳離れしてないんだって(笑)。

写真上:正午頃のレゾリュートの町。太陽はどうやら視界から姿を消したみたいだ。写真下:「ムク」とサエコさん。

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2010116日(土) 吹雪一時曇り -12.4

2010110619月下旬に生まれた4匹の仔犬たち。「アユ(=メス)」「ムク(=オス)」と2匹の名前はすでに付いていたが、もう2匹の仔犬たちの名前も決まったので、取り急ぎ紹介。

メスのほうにはサイレス&サエコ夫妻がすでに名前を付けていてくれた。「チカ」。意味はスペイン語で「少女」を意味するとのことで、可愛らしく育つようにとのことだ。4匹のなかでは体が一番小さい。残るオスは、風が吹くレゾリュートに3日前に下り立った時に、もしオス犬にまだ名前が付いていなければ「アノウィ」にしようと思い浮かんだ。意味はエスキモー語で「風」の意味。もう4匹ともちょこまかと歩き回っている。

また今シーズンも順番に、犬たちの紹介をしていきます。

写真上:「アノウィ」とサイレス。写真下:「チカ」と山崎。

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201011051_22010115日(金) 地吹雪 -18.7

 4日早朝にトロント発。オタワ経由でレゾリュートへ。カナダ北極圏、ヌナブット州の州都である、イカルイットで乗り継ぎ。天候が良くなく、定刻よりも2時間ほど遅れてのフライト。4日夜8時頃レゾリュート着。日本との時差は、こちらが14時間遅れ。宿泊は昨シーズンと同じく、Aziz氏のSouth Camp Inn

 昨日から地吹雪が続いている。北極に戻ってきたと実感するには充分だ。

午前中は、コンテナに預かってもらっていた装備類を搬出する。作業用のウェアなど、とりあえず必要なものを箱から出した。当面は犬ぞりトレーニングができるように体勢つくりだ。体も寒さに慣れさせないといけない。

 昼食後、町から少し離れた所に繋いである、犬たちに再会しに行くことに。白熊が徘徊しているようなので、念のためライフルも準備して背負っていく。地吹雪の中、犬たちの姿が見えたところで大きく掛け声「アギャッーチ!(おいで)」「アッハ!アッハ!アッハ!(喉の奥から鳴らすような感じで出す掛け声)」。これもまた、それだけで充分だ。犬たちが大騒ぎを始めた。

夕方はサイレス&サエコ夫妻に会いに。その話はまた明日。さて今シーズンが始まる。しばらくはブログネタには困らなさそうだ。

写真上:地吹雪の中、犬たちとの再会。写真下:そろそろ最後の太陽かもしれない。

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 夏期中の、日本での準備期間が終わり、いよいよ3日夕方に日本を発った。1日は午後に東京入り。夕方に極地研究所へ。2日は午後に一件と夕方に一件打ち合わせがあった。まだまだ東京で回りたいところがあったが、時間が足りず・・・。

 いま、閑散としたトロントの空港で一夜を過ごしている。現地時間4日の深夜1時頃。明日の早朝の乗り継ぎ便に合わせて、空港に泊り込んでしまった。3日夕方に到着して、眠たくて仕方がなく空港で眠り込んでしまった。寝袋から抜け出してパソコンを開いてみた、といったところ。

充分な挨拶が皆さんに出来ないまま、日本発となってしまいました。無礼をお許しください。今シーズンも安全第一で活動してきます。

写真:閑散とした深夜のトロント空港。

1029日(金)夕方に東京。北極活動の支援を頂いている「トランスインドジャパン」社 ⇒ http://www.transindo.co.jp/gateway.htm にて、北極の話を少しさせて頂き、そのあとに帰阪。

1030日(土)積水ハウス(株)納得工房にて、話をさせて頂きました。 ⇒http://www.sekisuihouse.com/nattoku/koubou/seminar_event/public/index.html

その日の夜は南極観測隊仲間、関西在住の池ちゃんが、この第52次日本南極地域観測隊 ⇒ http://polaris.nipr.ac.jp/ に越冬隊員として参加するので、京都にてささやかな壮行会。

1031日(日)午前中に北極遠征に持参する、航空機内預けの荷物をパッキング。宅配便で成田空港へ発送。

そのあと、大阪で開催の「モンベルフレンドフェア」 ⇒ http://www.montbell.jp/generalpage/index.php?general_id=125 へ。

 夕方に北極遠征の保険をお願いしている会社に伺ったあと、「みや動物病院」⇒ http://www.ashiya-miya.animal-clinic.jp/24.html へ、犬たちに必要かもしれない薬品を処方してもらいに。

 1112日は東京で今しばらく動き回ります。

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