2011年04月
報告
帰国
お~い、わんこ達!
2011年4月13日(水) ブリザード -23.6℃
「お~い、わんこ達。今シーズンもお疲れさま。本音はもっと一緒に走りたかったんですゼ。」「また夏の間、しばらく会えないけど、とにかく元気で過ごしてくれよ~!」
この夏もまた、強力な味方がレゾリュートで犬たちと過ごしてくれます。サイレス&サエコ夫妻です。
お二人とは2年前、犬ぞり旅行を終えてレゾリュートに帰還してから初めて会った。カナダ人のサイレスが旦那さんの、日本人のサエコさん。サイレスの仕事(飛行場の管制官)の関係でレゾリュートにやって来たのが縁だった。まさか日本人が、北極のレゾリュートに在住するなどと思ってもいなかったので驚いたのを覚えている。夏の間は日本で、次のシーズンに向けての体制作りをするため、お二人に会う以前は、地元の人に犬たちを預かってもらっていたのだが、お二人の好意によって我がドックチームの犬たちを預かってくれることになり、もう今回で3シーズン目となる。やはり凄く信用と安心が出来る。お二人なしには犬ぞりを使っての、今の北極活動は続いていないと思う。押し付けて負担をかけてしまっているのでは・・と、かなり気になりつつも、またこの夏も宜しくお願いします。ひたすら感謝です。なるべく早く戻ってきます。
そうそう、そのサエコさんが始めたブログを紹介します。レゾリュートや生活の様子が伝わってくるブログです。ぜひぜひチェックしてみてください。
サエコさんのブログ ⇒ http://ameblo.jp/gyu-p/
写真上:犬たちを預かってくれる、レゾリュートのサイレス&サエコ夫妻。
写真下:居心地よさそうな、犬たちの生活場所の風景。
今シーズンの終わり
2011年4月12日(火) 地吹雪 -33.0℃
今シーズンは昨年11月から、カナダ北極圏レゾリュートをベースに滞在し、活動を続けてきました。間もなく、予定より1ヶ月早い帰国となります。
極夜が明けて、太陽が十分に高くなった2月22日に、犬ぞり長期旅行をスタートしましたが、今回はどうもいつもの自分のペースではなく回転が悪く、また嫌な感覚がまとわりついて離れなかったこともあり、体勢を立て直すべく、3月2日に一旦レゾリュートに引き返しました。今季はレゾリュート周辺の海氷状態が近年では最も悪いこともあり、地元のエスキモーの人たちからの「今シーズンの海氷はよくないから止めておけ」というアドバイスをもらいつつ、迷いながらも、乱氷帯への小刻みな補給は可能かどうか、その体制を持てるかどうか(特に予算面で膨らんでしまうので)を焦点に、とりあえず再スタートに向け準備を進めていた矢先に「東北地方太平洋沖地震」のニュースが北極にも伝わってきました。その被害の大きさが明らかになってきた段階で「今シーズンの3月~4月期の大々的な活動は止めよう」と踏ん切りがついた状況でした。足が前に進みませんでした。一番メインである、楽しみにしていた研究者の方との観測活動も中止し、すべてがまったく上手く回転しない犬ぞり旅行シーズン(2月下旬~4月)でしたが、悔いはなしです。失敗でもありません。まだまだこの先10年15年と、北極での活動は長いですから。こんなシーズンもあると思います。
応援していただいている皆様には、物足りないような、期待を裏切る形となったかもしれません。申しわけありませんでした。また来シーズンに向かいます。
「東北地方太平洋沖地震」につきまして。その狭間で心境は複雑で、深く思い詰めてしまいます。自分の生きてきた(これからも続く)「北極」というベースは崩すわけにはいきませんが、その中で何か一つでも、自分に出来る支援の形で参加していきたいと思います。
23年目の北極シーズンを終わります。
2011年4月12日
カナダ北極圏、レゾリュートにて
山崎 哲秀
「ボタン」
「ゴードン」
2011年4月10日(日) 吹雪のち低い地吹雪 -23.9℃
今日は「ゴードン」の近況。生まれた時から兄弟のボタンとは、やけに体が大きかったが、期待通りにエスキモー犬の中でも体格は大型にまで成長。名前の由来通りに馬力もあり。でも困ったことにゴードンは、氷のカケラや石ころなど、落ちている目に付くもの全部が食べ物に見えるらしく、走行中にチームから外れて、そっちに行ってしまうという、チームで食い意地が張ったわんこNo.1!に躍り出たみたいだ。オス犬の時期リーダー犬を育てる必要があり、リーダー犬のキナリの横で何度か先頭を走らせてみたが、あっちいったりこっちいったり・・落ちてるものに気をとられて、輪を乱すので断念した。
写真上:2010年2月、生まれて3週間頃の「ゴードン」(中)&ボタン(左)兄弟。右は母犬のコウ。
写真下:最近の「ゴードン」。憎めません。
「ウキヨ」
2011年4月9日(土) 雪 -23.9℃
数日前に、到着を待っていた観測用の器材が日本より届いた。昨シーズン犬ぞりで、フィールドワーク(観測活動)を共にした田中康弘さんから。海氷観測のもので、届いたうちの1台を設置してきた。レゾリュートに近い、Martyr岬の一番高いところまで犬ぞりで乗りつけた。やっぱり観測活動は楽しいね。今シーズンは中止にしたけれど、来シーズンはなんとか研究者の方たちとのフィールドワークがまた実現しますように。
今日のわんこは「ウキヨ」。昨日のキャヨットとは兄弟で、ウキヨは子供の頃に、キャヨットに比べてすぐに人懐っこくなった。体はすっかり大きくなったが、ヒョロッと細く、人間でいうと背が高く足が(特に前脚)やたらと長い体型で、犬なのに猫背になりながら走りにくそう。愛嬌があるわんこですね。
写真上:観測用の器材を設置。
写真下の上:2010年5月の「ウキヨ」(右)&キャヨット兄弟。犬ぞりトレーニングを始めた頃。写真下の下:最近の「ウキヨ」。
「キャヨット」
2011年4月8日(金) 晴れ -35.8℃
今日は「キャヨット」の近況。昨年10月~11月には逃げまとい、殆ど野良犬状態でヨレヨレだったキャヨットも、1シーズンを共にしてようやく信頼関係が出来てきた。蓋をあけてみると、今シーズンデビューした4頭の1歳組の中では、一番ソリ曳き犬らしく、よく引っ張るわんこだった。
写真上:2010年2月の「キャヨット」(左)&ウキヨ兄弟。レゾリュートの隣町(700kmほど離れてるけど)アークティックベイから、生まれて2ヶ月くらいの時にやってきた。その時から兄弟揃って、とにかく人間に触られるのを嫌がり逃げまとっていた。
写真下:最近の「キャヨット」。こんなに小奇麗になって、ようやくこんな写真が撮れるようになりました。
「コウ(光)」
2011年4月7日(木) 晴れ -34.6℃
昨夜、ケンブリッジベイのレンジャー、ダグさんが訪ねてきてくれて、上空からケンブリッジベイ~レゾリュート間の海氷を見てきたが、これまで長年と見てきたシーズンで今季は最悪の状態だと教えてくれた。「犬ぞりで行かなくて正解だったよ。」という言葉に救われた。
今日のわんこは「コウ」。昨シーズン亡くなった母犬のラッシに代わって、今シーズンからはキナリと共にリーダー犬を務めている。いい感じ。ソリは引っ張らなくていいから、ムードメーカーとしてオス犬たちを引っ張ってくださいな。発情期が終わって約3週間。また仔犬を生んでくれるかな?
写真上:2009年1月の「コウ」(右)。外で生活を始めた頃、兄弟のシンと。
写真下:最近の「コウ」。母犬のラッシに似て、君も食い意地が張ってますねえ。カメラは食べ物じゃありませんよ。
「シン(森)」
「アミッバル」
2011年4月5日(火) 晴れ -37.5℃
4月らしからぬ冷え込み。今朝の測定ではマイナス37.5℃。平年並み以下。個人的には、例年の暑くなる4月は好きじゃないけから嬉しいけど、今季は3月下旬には、やけに暑くなったりとバラつきがすごいな。 今日のわんこは「アミッバル」。昨日のアミッアミッと兄弟だけど、仲があまり良くないせいか、兄弟のツーショットを撮るのが難しい。アミッバルはチームで、写真のポーズをうまくきめるワンコNo.1!といったところか。いつもいい目線がくる。 写真上:2008年5月の「アミッバル」。 写真下:最近の「アミッバル」。可愛らしく写真のポーズをとるけれど、騙されてはいけません。意外と悪っちです。
「アミッアミッ」
「アプ」
「ウヤー」
「カヌッルンニ」
2011年4月1日(金) 晴れのち曇り -26.2℃
今日のワンコは「カヌッルンニ」。1歳の頃、走行中に急にバタンと倒れて走れなくなったことがあって、その原因が肩甲骨あたりに空気が溜まり、痛くて走れないというもの。症状をエスキモーの知人に伝えると「おそらく空気が溜まっているから、肩甲骨と肩甲骨の真ん中の皮膚を、背中から数センチ切ってやり、空気を外に押し出すようにマッサージしてやることを続けなさい」とアドバイスをもらい続けたら、しばらくすると本当に治った。エスキモー犬に散歩の習慣はないけど、カヌッルンニも散歩に連れ出してリハビリをした。自らメスを入れて治療してやったことがあるのが「カヌッルンニ」です。今でも犬にしては走るのがヘタクソだなあ(笑)と思うけど、それが原因だったのかなあ?年齢的にも全盛期。元気にソリを引っ張っている。 写真上:まだ子供の頃、幼い体型の「カヌッルンニ」。2007年3月。 写真下:最近の「カヌッルンニ」。