2011年11月
クリア
「シン(森)」
「カヌッルンニ」
2011年11月22(火) 雪 -19.3℃
今日のワンコ近況は「カヌッルンニ」。チームで一番ケンカが弱い「カヌッルンニ」は、それでもクヨクヨしないメチャクチャ明るい性格なのは、これまでも紹介した通りで全く変わらず。最近、面白いことに気付いた。この「カヌッルンニ」、日本でも、ここレゾリュートでも一番人気かも。日本では「散歩をしてても他の犬とケンカしなさそうだし・・・」(笑)。レゾリュートではなぜか、白と黒の毛並みが人気だったりして・・。ケンカが弱くても見てる人は見てるんだよ、「カヌッルンニ」君!
写真上:「今シーズンも元気です。」カヌッルンニより・・
写真下:21、22日は雪模様。AM11時半頃。雲がどんよりしていて極夜の正午がさらに暗く、また雪面と空との境目が分からず。こんな時は空間を彷徨っているような感じ。
「リク(陸)」
2011年11月20(日) 吹雪、地吹雪 -25.2℃
吹雪、地吹雪がもう4日続いている。犬たちに餌をやるのも大変だ(今はドックフードを利用していて、吹き飛ばされてしまう(笑))。吹き荒れ続ける途中に、必ず一時的に風が弱まる時があって、それに合わせ餌をあげる。夜中に犬たちの様子を何度か見にいったり、外の様子はいつも常に気にかけているのだけど、今日は朝早くAM7時頃に凪ぎの時間帯があり、サッと済ませてしまった。日曜日の朝早くから、「餌をくれ~」の犬たちの大合唱。近所迷惑だったかな・・?
今日はワンコ紹介で「リク(陸)」。甘えん坊の「リク」もすっかりチームで中心的な年齢になった。仔犬の頃は、犬ぞりで戻ってくると誰だか分かるようで、いつもちょこちょこと走り寄って来ていたのを思い出す。今は安定して走ってくれるので、全然心配はしておらず。
写真:大あくびの「リク(陸)」。
毛皮
2011年11月18(金) 吹雪 -18.8℃
11月に入ってからの天気を見直してみると、荒れなかった日は1週間ほどしかない。昨日からまたまた吹き荒れている。屋内作業はやる仕事がたくさんあるので、退屈することはないけれど、それにしてもレゾリュートは風がよく吹く場所だなあ。こんなに吹き荒れてると海氷も安定しないし・・。
昨日と今日は消耗装備の製作作業に時間を費やす。「ゴードン」がまた胴バンドをグチャグチャに噛み切ってしまったので、ゴードン用に細ワイヤー入りの特製胴バンドを製作したり、防寒手袋を手縫いしたり・・。
防寒着はここ数年は、動物保護という風当たりを考慮して、化学繊維のウェアに移行したが、防寒手袋と靴に関しては、長時間マイナス30、40℃といった吹きさらしの気候下で使用するにあたって、市販されているもので、自分に合ったいい装備がこれまでになく、指先の凍傷など身を守るために、エスキモー式の毛皮の手袋、靴をいまだに利用している。
動物保護というのも環境問題の一つだと思うが、必ずしも一方的なその観点から、毛皮の需要なども含め、何が何でも締め出していくのは、住んでいる民族の人たちにとってもOKとは言えないと思う。過去に、北極圏に棲む動物(白熊、アザラシ、鯨など…)の乱獲、減少は、土地に住んでいる民族が犯した過ちではない。また、動物絶滅の危機=地球温暖、とすぐに直結させるのも目茶苦茶、バランスが悪いと思う。
写真:作りかけの、胴バンドと手袋。
「環境貢献賞」受賞
この度は「(財)ソロプチミスト日本財団・環境貢献賞」を頂き、誠にありがとうございました。
北極での活動を始めて、25年ほどの時間が経ちましたが、その中で「環境にも優しい犬ぞりによる、北極での環境調査」という形に辿り着きました。地球の環境問題がクローズアップされる時代となり、「自分に何が出来るか?」と考えた時、個人でボランティアで、もともとはスタートした活動です。現在6年目の取り組みになりますが、少しずつ活動の輪も広がりつつあります。北極は地球温暖などといった自然の変化が、顕著に表れる場所であります。こういった環境への取り組みは、5年、10年、15年といった短期間では大きな成果にはならないものと思っておりますが、意識としまして、次の世代へ繋げる、未来へ繋げるという想いを秘めて、また信じて、地味な活動ではありますが、これからも継続していきます。今後とも、活動を見守って頂ければと思っております。
2011 年11月17日
カナダ北極圏・レゾリュートにて
山崎 哲秀
追記:11月16日に熊本県で授賞式典が行われました。不在の自分に代わって当日は、有佐が式典に参加してくれました。
この度の受賞にあたっては、昨年に山口県下関市で「(財)ソロプチミスト・海峡下関」主催の講演イベントに参加させて頂いたところ、その団体様より推薦を頂いた経緯でした。ソロプチミスト海峡下関はじめ関係者の皆様、ありがとうございました。心より感謝しております。
「アプ」
2011年11月16(水) 雪 -26.7℃
田中さんが帰国して、また一人になってしまった。バディがいるに越したことはないが、気を取り直して、今日からまた粛々と(笑)、犬たちのトレーニングも並行して進めていこう。
今日はワンコ紹介「アプ」。兄弟犬だった「アプ」のバディ、「ウヤー」が夏に急死してしまったが、意外にも「アプ」は気落ちせず元気だ。もともと愛想のいいワンコだけど、全然変わらずです。今は、メス犬の「コウ」のあとばかり追いかけている(笑)。
写真上:犬ぞりトレーニングにて。今日からソリにブレーキをかけて(負荷をかけて)のトレーニングを開始。2ヶ月もすれば、犬たちも筋力モリモリのはず。
写真下:数日前の「アプ」。なかなかピタッと止まってくれず、写真を撮るのはいつも一苦労。
田中さん、帰国の途に
2011年11月15日(火) 晴れ -25.3℃
3週間ほど活動を共にした田中さんが、帰国の途に。飛行場まで見送りに行ってきた。数日吹き荒れたブリザードの影響で、飛行機のダイヤが乱れていて、半日遅れてのフライトとなった。本人はまだ名残惜しそうな感じで、こっちにいたそうな雰囲気(笑)。前回は4月中旬を過ぎて白夜の時期、今回は太陽が視界から無くなり極夜の季節と、両極端なシーズンを経験したわけだが、今後続けていく上での、季節に応じた北極観測活動の組み立て、イメージなんかを浮かべてくれればと思う。なんにしても、生涯2度の海外が両方とも「北極」というのは面白い限り(笑)。まだまだ若いので、これからの田中さんの活動が楽しみです。また一緒にフィールドワークする機会があればいいね。いつでも大歓迎です。
写真:昨夜、犬たちの見回りに一緒に行った時の田中さん。
そしてまた・・
レゾリュートの除雪作業
2011年11月12日(土) 吹雪(ブリザード) -11.6℃
ブリザード止まず。この11月は例年以上に雪が多いようだ。気候が暖かいということか?
人口220、230人のレゾリュートの町中は、あちこちとドリフト(雪の吹き溜まり)だらけだ。当然ながら町の主要部は道路を中心に、土、日曜など休日も関係なく、重機を使って常に除雪され、町が機能するように保たれる。頭が下がる思いだ。冬じゅうを通じての重要な作業となる。今日も視程が10mもないような環境下で、除雪作業が進んでいた。ほったらかしにすると、どんどん始末がつかなくなり、悪循環になっていく。天気が回復すればさらに広い範囲を除雪していく、というように循環されている。
写真:視程が殆どない中、除雪作業する重機。
「アミッバルッ」
月と犬ぞり
Martyr岬へ
「アミッアミッ」
極夜へ
2011年11月7日(月) 吹雪 -14.4℃
早朝からブリザードの警報が出た。AM6時過ぎに気象観測をしたあと、吹き荒れる前に犬たちに餌を与えた。夜の今は、視程が殆どない状態。
フィールドでの活動を目的として生活している間は、休日や時間帯は関係なく、天気のいい時が外での作業、悪い時が屋内での作業(あるいはのんびりする)、というパターンだ。吹き荒れたあとには雪かきなどの作業も待っている。
どうやら昨日が今年最後の太陽だったみたいで、今日から「極夜」へと突入。北緯74°にあたるレゾリュートの町に太陽が戻って来るのは、約3ヶ月後の来年2月上旬となる。
写真:昨日11月6日、今年最後の太陽。正午前後に半分ほど顔を出して沈んでいった。
「ゴードン」
サマータイム?
2011年11月6日(日) 朝:晴れ -21.8℃
昨日まで、まだサマータイムだったらしい。どうも朝から、なんだかいつもと周囲との時間が合わないなあ、と思ってたら・・。とっくに終わったと思ってたよ。夏季の間、3ヶ月だけでいいような気もするけれど・・。もうレゾリュートは全然夏の雰囲気ではないんだけどなあ(笑)。日本との時差は14時間遅れから、15時間遅れとなりました。サマータイムの習慣はこの歳になっても慣れないです。
昨夜の夕食後に、夏の間に貨物船で届いたドックフードを、コンテナに運び込む作業をした。約1年分2500kg(20kg×125袋)。大汗をかいたが、2時間かけていい筋トレになった(笑)。ドックフードは極寒地用の高カロリー仕様だ。
写真:木枠梱包を解いて、ドックフードをコンテナに運び込む作業。
今日の太陽
冷え込んだ!
天候回復!
2011年11月3日(木) 雪のち晴れ -19.3℃
ようやく天気が回復した。薄明るくなり始めた朝9時半頃から、田中さんと野外へ。3日前に活動中に悪天候となり、途中で終わってしまった作業のし切り直し。再び町から10kmほど離れたMartyr岬へ。レゾリュート周辺では一番海に近い小高い場所で、春に設置した、田中さんの海氷観測カメラの回収だった。シーズンに入ったばかりで、犬ぞりがまだ、あちこちとバンバン走り回れるまでの準備が出来ておらず、効率は悪いけど前回に続いて歩いて行くことに。今日の日中はマイナス20℃くらいまで気温が下がり、北極の自然を感じるという意味では、田中さんもこういう経験もしていていいかもしれない。天気も穏やかで、無事に回収することができた。PM1時半頃に宿舎に戻り、遅い昼食。
オレンジ色の太陽がオレンジ色のまま沈んでいく。あと数日で視界から太陽が消え去り「極夜」になる。明日からは犬ぞりトレーニングも兼ねて、海氷上でのデータ収集を二人でやっていく予定だ。
写真上:Martyr岬頂上にて。
写真下:下界の海氷を見渡す。
「ルッキ」
2011年11月2日(水) 吹雪 -7.4℃
吹雪が止まず。朝は平均12m/sを越える風が吹き荒れていた。午後に風が幾らか弱まったのを見計らって、犬たちに餌をあげる。今日も野外で活動できる状態じゃなかったけど、明日あたりから回復しそう。
ということで今日もワンコ紹介。チームのボス犬「ルッキ」です。ルーク(Luke)がエスキモー語に訛って「ルッキ」。リーダー犬のキナリに続いて長老の8歳。にもかかわらず見た目も若々しく美ワンコで、体も大きくやたらと元気だ。胴バンドを外すのが上手く、昨日も知らない間に胴バンドを脱いで、吹雪の中を走り回っていたので慌てて捕まえた(笑)。
写真:オレンジに染まる空を背に「ルッキ」。(数日前に撮影)
「ボタン」
2011年11月1日(火) 吹雪 -8.6℃
レゾリュートも11月になった。昨日から吹雪が続いている。気温は高く視程が殆どない状態。夜の気温はマイナス5.4℃。暖かいなあ。北極じゃないよ(笑)。気象の観測と犬たちの世話以外は、宿舎の部屋にこもって、日本でやり残した事務作業をしていた。
話題乏しく、ワンコ紹介を。今日は最年少「ボタン」。ボタンも早くも2歳になった。兄弟犬のゴードンに比べると、幾らか落ち着いているみたいだ。昨シーズンの終わりのほうで、ボタンとゴードンをそれぞれ、次期リーダー犬になれそうか、リーダー犬のキナリ&コウと共に先頭に出して、交代で試していたところ、ボタンのほうがあっちこっちフラフラせずに、前に出て黙々と走っていた。今季は教えてみたいと思っている。
写真:数日前の「ボタン」。うまくリーダー犬に育ってくれるか?
安定しない天気
2011年10月31日(月) 地吹雪のち吹雪 -17.2℃
天候が不安定だ。昨日30日は、天気が荒れるという予報だったので、外での活動は控えて・・と思ってたら、午前中の低い地吹雪を伴う雪模様から一転、予想に反して午後を過ぎてから快晴。僕がレゾリュートに来てから一番の天気となった。極夜も近く日照時間は短く、外で活動を始めるにはすでに遅し。タイミングを逃してしまった。
そして今日、気を取り直して朝8時半からまだ暗い中を田中さんと、4月に設置した観測器の回収のため活動開始。天気は低い地吹雪ながら上空は晴れ。町から10kmほど離れた、Martyr岬を目指す。が、到着した時は風がさらに強まり視程が悪くなり、設置地点の確認ができず。分かりやすく測量点に設置してあるのだが・・。粘って無理はできないので、向かい風の中をそそくさと引き返した。今日も午後からさらに天気が悪化するとの予報だったので、午前中勝負と朝早くから活動したのだが残念。戻って間もなく午後からは、視程が500mもないような吹雪となった。しばらくこの天気が続きそうな気配。また晴れた日に仕切り直すことにしよう。
写真:町も犬たちも吹雪に霞む。気温は高いが、視程のない荒れ模様の天気になった。