2012年12月
明日からテント生活
12月26日(水) レゾリュート 晴れ -27.7℃
明日からテント生活です。レゾリュートではこれまでずっと、地元のアジイ&アリーサック夫妻が経営していた宿泊施設、South Camp Innでお世話になっていたのだが、この冬からカナダ資本が買収して経営者が変わった。アジイ&アリーサック夫妻は、僕の犬ぞりでの北極活動の、良き理解者であり支援者でもあって、すごく居心地が良かったのだが、オーナーが代わってからは、すこぶる居心地が悪くなってしまった。居住用の小屋(立派な小屋が大きなソリの上に建っている)を地元のエスキモーの人に借りて、キャタピラ車で数キロ離れた場所から移動させてもらうべく、重機も所有がそちらにあるので、新しい経営者に2週間ほど前からお願いしているのだが、なかなか動いてくれずクリスマス休暇に突入してしまった。いつになるか分からないのでテントを張り、昨日から荷物を移動させている次第。今シーズンの僕のドックチームは若い犬たちが多く、まだチームとしてまとめきれていないので、犬たちのすぐそばで生活をして、じっくりチーム作りをするのにもいい機会だった。
このあとはこれまでみたいに頻繁には、ブログ更新が出来ないかも・・。
写真:犬たちのそばにテントを張った。カブース小屋が移動されて来るまで、テント生活の予定。
クリスマスイブ
お知らせ
12月22日(土) レゾリュート 晴れ -33.6℃
今日のレゾリュートは、ようやく冬らしく冷え込んだ。これから冷え込みが強くなり、1~2月は厳冬期となる。
今日はお知らせです。夏期の日本滞在中に、京都市教育委員会が発行する家庭教育新聞「あしたのために」→ http://www.city.kyoto.lg.jp/kyoiku/soshiki/29-17-3-0-0_10.html の取材をして頂いたのですが、その時の記事がすでにHPでも紹介されていると、知人から連絡を頂きました。こういう形で紹介される時はいつも照れるのですが、興味のある方は読んでみて下さい。→ http://www.city.kyoto.lg.jp/kyoiku/cmsfiles/contents/0000133/133646/205_1.pdf
「ボタン」
12月21日(金) レゾリュート 晴れ -29.2℃
ゆず湯というわけにはいかないが、ここ北緯74度のレゾリュートでも冬至を迎えた。「極夜」もこれで折り返し。太陽が戻ってくるまであと1か月半!
今日のワンコ近況は「ボタン」。尻尾の無くなったゴードンとは兄弟。「ボタン」はどちらかというと、寡黙で硬派な感じで、群れたりしないタイプかな。見てるとケンカも強いみたいで、一人で強い犬にも向かっていく。将来はボス犬になるかもしれないなあ。できればこんなタイプに時期リーダー犬を託したいんだけど、素質はいかに?もう少し経験が必要か。
写真上:極夜の折り返し。これ以上暗くなることはない。日に日に明るくなっていく。
写真下:「ボタン」。今シーズンはこれまで以上にみっちりと教えてみます。
「シン」
12月19日(水) レゾリュート 吹雪のち曇り -16.0℃
ようやく天気が良くなりそう。12月も下旬に差し掛かろうとしているのに、グッとくる冷え込みが例年に比べるとなくて、この時期にしては凄く暖かい。
引き続き今日はワンコ近況で「シン」。メス犬のコウと兄妹で4歳。この歳になっても、胴バンドを噛んでグチャグチャにする癖が続いて、修理ばっかりしてやらないといけない。何とか止めさせようとあの手この手を試みてきたけど、もうこの歳になると治りませんな。世話の焼けるワンコです。他のことに関しては、いうこと無しだけど、これだけはダメですわ。
犬たちの癖で特に僕が嫌うのは、胴バンドや曳き綱を噛み切ったりしてフリーになられることと、一対一のワンコ同士のケンカの時に、横から加勢すること。これらをした時は、特に叱ります。
写真:「シン」も、いいソリ曳き犬になりました。胴バンドをグチャグチャにする以外はね(笑)。
「アミッバル」のオペ
12月18日(火) レゾリュート 地吹雪のち吹雪 -19.5℃
「アミッバル」の調子が悪く、原因がもう一つよく把握できずに、しばらく様子を見ていたのだが、前脚の踏ん張りがどうも利かないようで、立ち上がれず。身体が崩れてしまう。また時々痛いのか、ある体勢になると悲鳴を上げることが度々。食欲はすこぶる旺盛。心当たりがあって、4、5年前にこれと同じような症状になったワンコがいた。今もチームで元気に走っているカヌッルンニで、ある日走行中に突然、ひっくり返って動けなくなった。バテたのかと思ってソリに載せて村に帰って、それから数日しても、食欲は旺盛なのに立ち上がれず、回復の兆しがなく、村人に相談すると「肩甲骨に空気が溜まって、痛くて走れないのだろう」とのことで処置の仕方を教えてもらった。そして今回、同じような症状を起こした「アミッバル」にも処置を施してやった。これが原因かわからないが、この場所で最低限やってやれること。しばらくマッサージなどリハビリをしてやることになる。復活してくれよ。貴重な主力メンバーなんだから。 写真上:背中の肩甲骨の真ん中の皮膚をナイフで3cmほど開いてやる。 写真下:開いてやった患部。中に溜まった空気をここから押し出してやるように、両肩を挟み込みながらマッサージを毎日繰り返してやる。
工芸教室
12月17日(月) レゾリュート 地吹雪一時晴れのち地吹雪 -20.5℃
それにしてもよく吹く風だなあ。今日は午前中から午後にかけて一時的に風が弱まったので、すかさず犬たちを走らせてきた。ワンコたちもそうだと思うけど、僕も外に出たくてウズウズ。
悪天の日が続くので、少し前に、町であった工芸教室を覗いてみた。イカルイットのArctic College → http://www.arcticcollege.ca/ が主催で、レゾリュートでも時々教室が開かれる。エスキモーの人たちの文化講座と言ったところか。以前にエスキモー語講座や、毛皮の防寒手袋やブーツを作る教室に顔を出してみたこともあった。今回はイカルイット在住の「ルーティーさん」が講師として1か月ほど町に派遣されて開かれていた。ルーティーさんはエスキモーの中でも有名な伝統工芸アーティストだそうだ。若い時は犬ぞりを駆って、猟師をしていたこともあったらしい。若い人たちを中心にルーティーさんが作り方を指導。どちらかというと今回は、動物の牙や骨と金属を利用した、彼らの近代アートが中心だったみたいで、1か月続いた教室のあとは、作品の展示会&販売会が開かれていた。
写真上:工芸教室の様子。ルーティーさんが丁寧に細工の方法を教える。
写真下:教室の最後の日は、作品の展示&販売会だった。
誇り
秋の匂い
12月14日(金) レゾリュート 吹雪 -24.2℃
装備の別送品荷物が一つ到着したのだが、その中に色づいた銀杏&桜の葉が入っていたのだ。有佐の話によると、在住の高槻にある京大農場の銀杏並木と、阪急電車高架沿いに並ぶ桜の落ち葉とのこと。2004年以来、秋から春のシーズンは、南極~北極で滞在しているから、季節の匂いをすっかり忘れてしまってるなあ・・。銀杏の葉にはマジックで「テツおとうさん、ほいくえんはたのしいです。 ゆうき」と書かれている。え~っ?もう字が書けるようになった??里心がついて・・・、いかんいかん、北極!北極!
写真:別送品装備と一緒に送られてきた、秋の匂い。
「コウ」
12月13日(木) レゾリュート 地吹雪~吹雪 -30.2℃
ワンコ達のことばかりになってしまうけど、今日はワンコ近況報告です。犬たちを応援して下さっている方たちがすごく多いので、ご了承を(笑)。ちなみにワンコ達のサポーター募集してます(すみません宣伝して・・・)→ http://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/dogsupport2012-2013.pdf
もう一つ、2013年カレンダーもあります → http://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/2013calender.pdf
もう一つだけ。季節外れですが、Tシャツもあります → http://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/tshirt3.pdf
今日の近況は「コウ」。グリーンランドからレゾリュートに移動してきた年に生まれた「コウ」も、もう4歳。メス犬で、チームのリーダー犬も務めることができる。オス犬中心のドックチームの中で、メス犬って意外とオス犬たちを引っ張ってくれるんですよね。オス犬たちはフラフラと、先頭を走るメス犬を追いかける感じで(笑)。「コウ」も、今シーズンあたりになって、だいぶ落ち着きが出てきたような気がする。娘の「パニッ」が落ち着きないので、圧倒されているのか?(笑)。そろそろ発情期を迎えそうな周期だけど、今回は一度、間隔を空けようね。気の強さは相変わらずだけど、今シーズンは頼みますよ。
写真上:4歳になった「コウ」。
写真下:薄暗い極夜だけど、冬至が過ぎたら折り返し。犬たちは闇の中でも目が利くようで、羨ましい・・。
ワンコの病気
12月10日(月) レゾリュート 吹雪~のち雪 -19.2℃
今年3月末に生まれた期待のメス犬「パニッ」。11月下旬から初めての発情期を迎えたのだが、今シーズン僕のドックチームは17頭いて、これ以上増やすと餌を確保するのが大変なので、交配を避けるべくオス犬たちと離して、檻の中に隔離していた。ところが、そろそろ発情期も終わる頃だと計算し始めてから、一つの病気が発生。日本語では書きにくいのだが英語で「vaginal prolapse」。気付いてから経過を見ていると、日に日にひどくなってきた。参ったなあ・・。今後、子犬を産むのが難しくなってしまった。色々と手を尽くしているのだが、ここではやってやれることが限られている。先日オス犬のキャヨットが亡くなってしまったことといい、これだけたくさんのワンコを飼っていると、なんだかしらトラブルが出てくる。頭を抱えてしまう。
写真:隔離中の「パニッ」だったが・・
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ジミー
「キャヨット」逝く
12月7日(金)レゾリュート 雪 -19.2℃
今日は一つ残念な報告をしなければならない。3歳の「キャヨット」が、亡くなってしまった。今シーズン走り始めて、なんだかいつものシーズンとは違って、走行について来れていないな、と気になっていて、食欲は旺盛なんだけど、どうも食べたものを吐き戻す形跡があった。昨シーズン兄弟犬の「ウキヨ」がやはり若くして亡くなってしまったのだが、その症状と全く同じで、また急だった。何だかしら、内臓の機能障害を兄弟にして持っていたのではないかと思う。ここにきて冬を越す体力が無かった。
レゾリュートから400、500kmほど離れたアークティックベイという町から子犬の時にやってきた「キャヨット」は、問題児で、人間にあまり懐かなかった。1年目と2年目の夏はずっと逃げまとって、フリーの状態で、捕まえることが出来ないようなワンコで、この夏は初めて大人しく繋がれていたようなワンコだった。身体は小さいほうだったが、ソリはよく引っ張ってくれ、すばしっこく反応がいい犬だった。今シーズンも戦力として期待していたのだけど・・。
今日は沖合の氷山の影にキャヨットを連れて行き、お別れをしてきた。一緒に過ごしたのはたった2シーズンだったけど、ありがとう、キャヨット。
写真:昨シーズンの「キャヨット」。
「ゴードン」
12月5日(水)レゾリュート 霧 -25.8℃
沖合の海氷がまだ安定せずに動いているようで、どんよりと、どす黒い蒸気雲が、表面を覆っている。海水から立ち込める蒸気のせいか、アイスクリスタルとなり雲母を粉々にしたような氷が空気中を舞っている。犬ぞりトレーニングから帰ってきた午後からは、視程が無くなるほど深い霧となっている。今のところこの冬は、レゾリュート近辺は暖かい。
今日はワンコ近況報告で「ゴードン」。先日のアプに続いての紹介となるが、何を隠そうアプ(からと思われる)に噛みつかれてダメージを受けたワンコは、この「ゴードン」。夏の間に繋留していた鎖が外れて?フリーの状態になってたらしく、どうも犬同士のケンカに巻き込まれて尻尾を噛み切られてしまったのだ。う~ん・・。あるいは食い意地が張りすぎているので、他のワンコが食べる餌を横取りしようとして返り討ちにあったか?そのあたりの状況はよく分からないが、今は傷口も塞がって元気にしてる。尻尾はどれくらい犬が走り回るのに重要な役割を果たしているのだろう?体のバランスとか、平衡感覚とか?長期の犬ぞり旅行に同行させて体調を崩されても困るしなあ・・。しばらく走らせて様子を見ることに。
写真上:今日の南の空。海が開いていると思われる表面は、どんよりとどす黒く雲が広がる。意外と近いと思われる。
写真下:元気な「ゴードン」だけど、お尻の尻尾はこの通り。「見て!」と言うかのようにこっちにお尻を向けてるけど、まったく・・。ドーベルマンじゃないんだから・・。
日本からの写真
薄い色のオーロラが・・
「アプ」
12月3日(月) レゾリュート 晴れ -20.6℃
引き続きワンコ近況報告。今日は「アプ」。よく考えたら、アプはあと数カ月で7歳になるんだなあ。どちらかというと小柄なので若く見えてしまう(笑)。普段は人なつっこく、とってもいい子・・に見えるんだけど、体が小さく一対一のケンカには弱いので、他の犬たちが一対一でケンカをしてる時に加勢して、気に食わないほうのワンコをメチャクチャに噛みついてしまう癖が昔からあるみたいだ。夏の間に若い犬が一頭、無残な姿にされてしまった。そのワンコの紹介は次回ということで、人間の前だけで良い子はいけませんよ、アプ君!
写真:今日の「アプ」。僕にはいつも「服従です」のポーズで愛嬌があるのだが・・。
「アミッアミッ」
12月2日(日) レゾリュート 晴れ(アイスクリスタル)、霧 -26.1℃ こちらも12月を迎えた。犬ぞりトレーニングではレゾリュート湾から外に出て、沖合にも活動範囲を延ばし始めた。昨日、海氷の厚さを測ると60cm。引き続き天気のいい日は、犬ぞりトレーニングや海氷のデータ収集をしていく。 今日はワンコ近況報告で「アミッアミッ」。アミッバルと兄弟で6歳を過ぎた。夏は特に問題なく元気に過ごしていたとのこと。人見知りが激しく、大人しい犬なのは相変わらず。でもアミッバル同様に手が掛からず、いいソリ曳き犬だからね。今シーズンも元気で頑張ってくださいな。 写真上:今日の「アミッバル」。いつもいいカメラ目線をくれますね。 写真下:今日の犬ぞりにて。