山崎哲秀 ー北極圏をテツがゆくー

北極圏の犬ぞり遠征をライフワークにしている山崎 哲秀のブログです。北極圏を犬ぞりで遠征し環境調査を行うアバンナットプロジェクトに取り組んでいます。このブログでは、遠征前は日本での準備や生活の様子、遠征中は、北極圏の様子を紹介します。 アバンナットプロジェクトの詳細は、山崎哲秀のホームページhttp://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/ をご覧下さい。山崎哲秀の連絡先は、同ホームページに記載しています。

2013年02月

 221日(木)レゾリュート 晴れのち吹雪 -40.9

20130221_2 昨日220日夜、共同通信社の澤野林太郎さんがレゾリュートに到着した。わざわざ個人の取材のために足を運んでくれたことに驚いている。しかも厳冬期・・。澤野さんは南極観測隊や北極・グリーンランドでの観測調査隊、またエベレストのほうにも取材に出かけるなど実績を持つ、行動派の記者のようです。共同通信社ではおそらく、名物記者さんなのではないでしょうか(笑)。

今日は天気が悪くなる予報の前に、少しだけ犬ぞりで出かけ、マイナス40℃下での感覚を味わって頂いた。町に戻る途中から風が強まり始め、午後から大荒れの吹雪となった。明日も吹き荒れる模様。33日まで行動を共にします。

写真:昨日、レゾリュートの飛行場に到着の澤野さん。

 

 

 216日(土)(その2)レゾリュート 霧~晴れ 

 霧から次第に視程が広がってきた今日だったが、昨日犬たちには予防接種をしたので、明日くらいまでは休ませることに決めている。そんな中、犬たちのそばに張っているテントの中で考えごと。

 レゾリュートでは昨年に、カナダ資本が大々的に町の設備関係を買収したそうだが、この数年間で下水道の改修工事が行われるそうだ。「地元の人たちのために、生活面で力を入れるのだなあ」と感心していると、買収したその会社は資源開発にも力を入れていると聞いて、地球温暖化の加速が騒がれている現在に「レゾリュートの町の整備も将来の開発のための下作りか?」と感じてしまった。カナダ極北ではここレゾリュートには大きな滑走路なんかもあり、地理的にも間違いなく開発の基点となる場所だ。北極海にはあちこちに油田などの地下資源が以前から確認されているそうだが、北極の自然環境が厳しく、なかなか開発には至っていない。個人的には温暖化がこのまま進んで行っても、冬の北極の海が完全に凍りつかなくなることはないと思っているのだが、開発にあたってはやはり凍りつく海が大きな妨げになっているのだと思う。潮汐や潮流の影響なんかを受けて海氷が引き起こす破壊力は、ずっと目のあたりにしてきた限りでは凄まじいものがあることが想像できる。なかなか海洋上にプラントを建設するにはリスクが伴うことだろう。そこで普通に考えると、海氷の影響を受けない、水深の浅い海底(大陸棚)なんかに海底基地(プラント)なるものを建設する発想に目が向くと思われるが、世界では海底基地の技術はどこまで進んでいるのだろう?すでに何処かにあるのかな?水面下では色んな角度から北極海の資源開発を見据えて着々と準備が進められているのだろうか?北極はそんなに簡単な話じゃないと思うけど。

なんて、テントの中で考えていた昼下がりだった。あくまでもふと思ったことなので・・。

個人的に願うのは、いつまでも北極の自然環境が厳しく、少しでも人間による開発の手が届かないような場所であり続けますように・・・。

 

216日(土)レゾリュート 霧 -41.9

太陽が高くなってきて、いよいよ犬ぞり旅行にいい季節になってきた。今季は、観測拠点設営の目標地であるメルビル島の探査を徹底的にやりたかったのだが、予算もさることながら(笑)、計画のための準備とバックアップ体制を、この2月までにレゾリュートでいい形を作れなかった。チャーター飛行機、スノーモービルでの補給などのオペレーションも複雑になるので、それを把握して切り回してくれる人が必要になってくる。頼りのアジイさんが12月から2月にかけてレゾリュートを長期不在だったのも痛かった。バタバタと中途半端に進めて借金を抱えるよりは、納得のいく形で臨み借金を抱えるなら抱えたほうがいいので(笑)、メルビル島の課題は来シーズンに残しておくことにする。ぜひ研究者の方にも同行してもらい、設営地点の「候補地」を見定めて頂きたいのだが・・。

と言っても今シーズンはやることがたくさんあって、この20日より知人の新聞記者の方を迎え入れ活動を共にしたあと、3月中旬にはお世話になっている研究者の方々が、今後の観測調査のためにレゾリュートを視察に訪れたり、その他レゾリュート近辺で幾つかの観測課題や観測装置設置の予定があったりします。もしかしたら4月以降にも研究者の方がここへ観測にやって来るかもしれません。犬ぞりでは12週間ほどの短期泊りがけで、海氷のデータを収集したりする活動を繰り返すような予定です。活動の様子はブログでも報告していきたいと思います。

一つ一つの積み重ねが大切。全てが今後に繋がって行くので、いつものように信じて継続するだけ・・。

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写真:冷え込んだ今朝、町は濃い霧に包まれた。

 

 215日(金)レゾリュート 晴れ -38.6

20130215  日本の我が家の勇希君は、生後の予防接種で忙しいようだけど、こちらのワンコたちも予防接種。イエローナイフの動物病院から5種ワクチンが届き、毎年恒例の接種を終える。一か月予定より遅れてしまった。数日は走らせることが出来ないけど、やっておかないとね。

写真:記録も毎年付けてます。

 

 

 214日(木)レゾリュート 雪のち晴れ -32.6

 何日かぶりに風が弱まり、療養中のアミッバルを除く、全14頭でのトレーニング。今シーズンは若い犬が多すぎて、調整が遅れてしまっているのが現状(笑)。全頭で走らせるのがまだ2回目だ。何十頭も犬たちをまとめて、走らせるのはやはり大変で、犬たちに主導権を握られてはいけないのだが、今日は随分と記憶にないくらい何年かぶりに、犬たちにいいように扱われてしまった。引き締めないといけないな。

写真:今日の犬たち。

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  210日(日)レゾリュート 晴れ -38.9 

 「君の命は、5000ドル(白熊)よりも安い(白熊のほうが大切)」と言われ(たようで)、ショックが強すぎて冷めやらぬが、引きずっていても仕方がない。切り替えてまた明日!明日!

写真:今日の太陽。

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2月8日(金)レゾリュート 晴れ -37.6℃

 昨シーズン3月に、犬ぞり旅行中に白熊に襲われ、ルール通り威嚇射撃を続け、にも拘らず最後は、設営していたキャンプサイトの20mもないくらい至近距離まで突進してきた白熊に対して射撃した問題は、昨シーズンのブログでも書いたが、今頃になってレゾリュートの町の狩猟協会から「5000ドルの罰金を支払うように」と通達があった。昨シーズンは白熊事件を素直に報告し、結局レゾリュートに戻り報告しなければならず引き返し、また3週間ほど聴取やレポートの提出などで時間の拘束を受けて、さらにそのあとの活動も何か問題があった時のことを考えて、レゾリュート周辺での活動に留め、シーズンを棒に振ってしまったのだが、どうして1年近く経った今頃なのだろう。首を傾げたくなる。誰かの嫌がらせとしか思えないなあ・・。信頼している町の知人に「この請求は正当ですか?」と相談に乗ってもらったところ、「あくまでもディフェンス(自己防衛)のためだから、正当とは思わない。」と進言してもらえたので、町の狩猟協会に出向いて、「もう一度きちんと判断を仰ぎたい」と訴えてきた。これまでに狩猟目的で活動したことは誓って一度もなく、ライフルの所持許可(いつも2か月毎の許可申請となる)も抜かりなく続けているのはあくまでも白熊からのいざという時のディフェンスのためだ。犬用にドックフードを一年分準備しているのも、高い補給費を支払ってまで、ドックフードの補給計画を組み入れているのも、狩猟をすることを全く念頭に置いていないからだ。ここで支払ってしまったら、白熊の襲撃からの「ディフェンス」は認められないということになってしまう。簡単に言えばライフルを所持せずに活動しなさい、と言われることに等しい。きちんと公の然る機関に判断して頂きたい。時間の拘束をまた受けるかもしれないが、この先はまだまだ長いから、ちゃんとしておきたい。ここへ活動にやってくる人たち皆の問題でもあるのだ。まったく、気持ちが穏やかでない。

 

25日(火) レゾリュート 晴れ -34.2

 太陽が海氷線上を左から右へ転がって沈んでいった・・。

写真:今日の太陽と、手前は我がドックチームの犬たちとテントサイト。

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 24日(月) レゾリュート 晴れ -40.1

201302041 穏やかな天気。気温はマイナス40℃台まで下がった。2月に入ったので、今シーズンの犬ぞりチームの最終まとめに取り掛かった。リハビリ中のアミッバル以外の全14頭で走行。若い犬が多いので、満足まではまだいかないが、とりあえずヨシとしよう。

 それともう一つ。太陽が戻ってきた!実際には昨日少しだけ頭を覗かせたとのことだったが、見逃してしまった。今日は犬ぞり走行中に太陽が南の空に顔を出した。3カ月ぶりの太陽。やはり神聖な気持ちになる。

 

写真上:今シーズン初めて全14頭での走行。

写真下:犬ぞりを止めて、顔を覗かせた太陽をパチリ。

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 23日(日) レゾリュート 地吹雪のち晴れ -34.7 

 今月下旬に知人の新聞記者の方(→ http://www.47news.jp/feature/hokkyoku/)が、厳冬期の犬ぞりでの活動に同行したいとのことで、最初は半信半疑で聞き流していたが(笑)、どうやら本当に乗り込んで来るようだ。厳しい季節ですが、そのあたりはカバーしますのでご安心を。 

準備も進めていかないといけない。今日はコンロのメンテナンス。カナダ北極圏ではホワイトガソリンタイプのコンロが主流のようだが、僕はグリーンランドエスキモー式で、今も灯油用のコンロを愛用している。シンプルな構造でメンテナンスも楽で、使い慣れてしまった。近年は加圧部のポンピングのパッキンがゴムタイプに変わってしまったものが殆どで、革パッキン仕様のものが少なくなってしまった。寒冷下ではゴムは凍りついて硬直してしまい加圧しずらく、自分で改造し直して、昔ながらの革パッキンに交換して使っている。

写真:コンロのチェック。小さい予備も持ち歩いている。今シーズン新しいのを一台持ち込んだが、まだまだ古いので大丈夫そう。

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  22日(土) レゾリュート 地吹雪 -36.7

P1090137_5 昨日から天気は大荒れ。気温が低いのに加えて強風は、グッと寒さが堪える。こんな天気なので屋内作業に精を出す。防寒靴のインナーが消耗してきたので、ムートンの毛皮で新しいのを作製。

写真:見たくれは悪いけど(笑)、暖かいです。手足の指先が寒さに弱いと思ってるので、防御にいつも神経を使っている。

 

 21日(金) レゾリュート 晴れのち地吹雪 -32.7 

20130201_2 もう2月だ。早いな。

 朝から天気が荒れる予報だったが、午前中は持ちそうだったので、軽く犬たちを走らせてやることに。今日は発情期で檻に隔離中だった「コウ」のための、戦列復帰走行だった。この数日、檻の中で暴れまくってたコウだったが、気分よさそうに走っていた。戻ってきてから少し休ませたあと、ワンコたちに餌を与える。明日にかけて強風が吹き荒れそうなので、いつもより多めにタップリと食べさせた。

写真:犬たちに餌をやる様子。ここレゾリュートでは高カロリーのドックフードに、気温がグッと冷え込む時はさらに油を混ぜて与えている。

 

131日(木) レゾリュート 晴れ(地吹雪を伴う) -34.6

太陽が戻って来るの、近そうだな。いついつ?

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