犬ぞり案内人 山崎哲秀 ー北極圏をテツがゆくー

グリーンランド北西部地方に古来から住む、エスキモー民族から伝承を受けた犬ぞりを操り、“アバンナット北極プロジェクト”に取り組む、山崎 哲秀のブログです。 このブログでは、北極遠征中や日本滞在中の活動の様子を紹介します。 アバンナットプロジェクトの詳細は、山崎哲秀のホームページhttp://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/ をご覧下さい。山崎哲秀の連絡先は、同ホームページに記載しています。

2013年12月

12月31日(火)シオラパルク 晴れ -21.8℃

グリーンランド・シオラパルク村も大晦日の朝を迎えた。

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2013年もお世話になりありがとうございました。

 2014年が皆様にとって良い年でありますように!!

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12月28日(土)シオラパルク 曇りのち晴れ -21.9℃

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 26日夜から27日にかけて久々に雪が降り、周囲は薄っすら雪化粧。今日は快晴で、また気温がマイナス20℃台まで冷え込んだ。

 今日はワンコ紹介で「アッロッ」3歳。アッロッを見ていると、前ドックチームにいた「カヌッルンニ」というワンコを思い出して仕方がない。毛の模様やメチャクチャ明るい人懐っこい性格がなんとも似ている。同様にケンカも弱そうだけど、世話に行くと飛びついて来て、とにかく元気なワンコです。

写真:元気で明るい「アッロッ」君。

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12月27日(金)シオラパルク 雪 -16.5℃

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 グリーンランド北西部地域に住むエスキモーの人たちは、僕にとっては北極での活動法を教えてくれた師匠であるのだが、その中でも特に、シオラパルク村に40年以上にわたって猟師として在住する大島育雄さんは、実質的な僕の北極での師匠だ。その大島さんが、ジャコウウシの毛皮をクリスマスにとプレゼントしてくれた。敷皮になっていて、犬ぞり時のソリに座る時にお尻の下に敷いたり、テントで寝る際にマット代わりにすると、すこぶる暖かいのだ。毛がフサフサしている。大切に使いたいと思う。

 写真:頂いたジャコウウシの敷皮。

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12月26日(木)シオラパルク 晴れ -23.0℃

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 グリーンランド、北緯78度のシオラパルク村のクリスマスが終った。こちらはキリスト教が浸透しているので、クリスマスも華やかだ。みんなで歌う賛美歌など印象的だったなあ。何件か声を掛けてもらい、たくさん御馳走になった。

写真上:24日のクリスマスイブ。村の学校の建物に村の人たちが集まり、プレゼントの交換ゲームがあった。

写真下:25日、とある集まりにも呼んでもらった。クリスマスの主役はやっぱり子供たちですね(笑)。

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12月22日(日)シオラパルク 晴れ -20.7℃

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 年の暮れが近づき、このシオラパルク村にも続々と里帰りする人たちが増えてきた。天気もこのところ安定していて、隣町カナック間との犬ぞりでの行き来がようやく始まった。冬至で極夜も折り返した。といってもここ北緯78度のシオラパルク村では、太陽が戻って来るのは来年の2月17日。それでも日に日に明るい時間帯が増えていくからね。外で活動しやすくなる。

クリスマスからお正月にかけての、自分の北極の時間帯は苦手だ。やはりこちらでもみんな家族で過ごしたりするわけだが、いつも一人だ。寂しくないと言えば嘘になる。そんな人里の光景から逃れるように、本来ならこの時期はいつもここでは、テントを持ってワンコたちと犬ぞりで出かけ、オヒョウ釣りなんかをして人里を離れてきたのだけど、色々とやることも多く、今回は村に滞在することとなる。辛い時間だな・・(笑)。

好きな生き方をしてても、我慢してることもあるし、犠牲にしてることだって一杯ある。特に生活面では・・。

写真上:シオラパルクの冬至の日、南中時の南の空。

写真下:日本の有佐&勇希君とスカイプで通話。勇希君はどんどん言葉を覚えていくようでビックリ。

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12月19日(木)シオラパルク 晴れ -21.3℃

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 朝7時頃から月明かりの中、犬ぞりを走らせてくる。その他色々と作業をしてると、あっという間に一日が終ってしまった。

 今日のワンコ紹介は「アングア」。前回のアーベェに続いて6歳のベテラン犬だ。顔がケンカの痕で傷だらけで、右目の傷は特に凄みを感じさせられるが、意外にも僕が行くとベッタリで、そばを離れないという甘えん坊でもあるみたいだ。走行時は一番右側を走る癖があり定位置としている。

写真上:「アングア」。顔つきのわりには甘えん坊のワンコだった。

写真下:月明かりの下で・・。

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12月17日(火)シオラパルク 晴れ -21.7℃

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 15日夜から16日にかけて久々に雪が降った。こちらの犬たちは、水を与えられるわけでなく(凍り付いてしまうし・・)、雪を舐めたり氷(純粋な)を舐めたりして水分を摂取するから、ありがたい雪でもある。あと海氷上に雪が積もらず表面がテカテカの氷の上を長時間走行させると、足の裏の肉球をすり減らして怪我をしてしまうので全くよくない。またそんな海氷状態の時は、雪をソリ積み込んで、途中で犬たちに水分補給のために与えてやらねばならず、手間もかかってしまう。

 だいぶ新しいチームの犬たちの性格も分かってきたので、紹介していきたいと思う。そうそう、その前に今の僕のドックチームは9頭から1頭減り、8頭になっている。3兄弟の中の「カンナ」を元の飼い主に戻した。他の犬たちとどうも相性が悪く、とことん苛められてしまい見てられず戻すことに。新しいチームを編成する時は、どうしても寄せ集めになってしまうので、チームとしてまとまるまでにこういったことが起こったり、時間もかかってしまう。まだ一つのチームにはならないでいる。海氷が不安定で走り込めないのも痛いところ。

今日のワンコ紹介はベテラン犬の「アーベェ」。どうやら今の8頭の中ではアーベェがボス犬に落ち着いた模様。出来ればアーベェにはオスのリーダー犬としても頑張ってもらいたく、今はメスのリーダー犬、ママットルと一緒に先頭を走らせている。ママットルの発情が終り、そのうち産休に入る可能性が大なので、なんとかそれまでにオスのリーダー犬を作っておかないと。系統的には以前の僕のチームのリーダー犬だったキナリ(絶対的な信頼を寄せていた)の血筋だと思うのだが・・。期待している。警戒心は強くも、懐いてくれている。

写真上:ベテラン犬「アーベェ」。

写真下:犬たちの今の繋留場所の様子。

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12月14日(土)シオラパルク 強風(晴れ) -15.5℃

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 前回の強烈なブリザードのあと、雪が全然降っていないので飛ぶ雪もなく、10m/sを越える風が昨夜から吹き荒れていたが、空も快晴で視程もいい。さすがに外で作業が出来る状態ではないので、「よ~し!」と昼間の時間帯はとことん寝た(笑)。夕方になってようやく風が弱まったので、腹ごしらえをしたあとPM6時前から気象計設置の続きに出かけることに。計器類を壊さないように箱に入れて慎重に歩いて行く。細かな手先の作業はこのくらいの気温下になると恐ろしく効率が悪くなり、指の凍傷も心配しないといけなくなるので、家の中ですでに配線関係は繋げてあり、外に持ち出す前にパソコンと接続して作動させた。イメージ通り昨日設置した三脚パイプベースにサッと取り付けることが出来た。月明かりが周囲を照らし出し、20km以上離れた島影まで見渡すことが出来る。風で海氷が揺れていて、擦れ合ってミャンミャンと鳴く音が響いている。家に戻ったのはPM8時頃。タイミングよくまた風が強まり始めた。

さて、次回のブログからはまた、ワンコたちの近況も知らせることにしよう。

写真:設置した気象計と月とシオラパルク村。

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12月13日(金)シオラパルク 晴れ 夜-22.5℃

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さて、肉を分けてもらって喜んでばかりもいられない。盛りだくさんの今日、その2。

家に戻ったあと汗でビショビショになったアンダーウエアを着替えて、水曜日に届いた気象計の設置に。村から今度はフィヨルドの外側方面(西方角)へ沿岸に沿って1kmほどのところに歩いて行く。少し前に目を付けていた地点で、気象計の土台になるパイプ三脚を設置する作業を行う。海水を利用してまずは三脚パイプの根元を凍らせて固定。雪と表面の凍った土を削り出して海水を混ぜ合わせてセメントみたいにするわけだ。あと上部からワイヤーを3本、同じく固めたステイを利用して張って補強。氷点下ならではの固定方法で、強力に固定できる。計器類は精密なものなので、明日天気が良ければ出直して取り付けることにする。

家に帰って裏の丘に登り、日課の海氷&雲形写真を撮影したあと、色々と雑用をして、ようやく落ち着いたのがPM2時半頃。朝から何も食べてなかったのでさすがにお腹が空いた。

写真上:海水を利用してパイプ三脚を固定する作業。

写真下:設置したパイプ三脚。

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12月13日(金)シオラパルク 晴れ 朝-23.3℃

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盛りだくさんの一日だった。まず、その1。

極夜では特に冬至が近づくと、一日中殆ど暗いので、生活の時間帯もメチャクチャになってしまう。夜中眠れず、今朝は5時半頃ようやくうつらうつらとし始めて、何だか夢を見てたような気がするのだけど、7時頃ケットゥットゥが家にやって来て「アザラシが獲れたから肉を運ぶのを手伝ってくれ」とのこと。今は月夜で明るさがあり、夜中に新しく凍り付いた海氷上を歩き回り、呼吸口を探しアザラシを仕留めたのだとか。う~ん、さすがだ・・。唸ってしまう。こちらでは「ニッパ」という狩猟法だ。村からフィヨルドの奥に数キロ入ったところまでソリを歩いて押して行きpick upを手伝った。ヒゲアザラシなのでさすがに大きい。村に戻ったのはAM9時半頃。一汗掻いた。犬たちにもエサをあげなさいと、かなりの肉を分けてくれた。

写真上:解体したアザラシとケットゥットゥ。グロテスクな写真ですが、こちらの人たちの生活なんです。乱獲はしていません。

写真下:ソリに積み込んだ肉。

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12月12日(木)シオラパルク 晴れ -21.6℃

20131211_2 このところ冷え込んでいて快晴が続いている。昨日のヘリコプター便で、原さん&的場さん両氏からの観測機材が届いた。さっそく開いて、今日まずは気象計を家の中で組み立てて、作動確認を行った。一気に出来ないので、少しずつ作業をこなしていくことにする。明日天気が良ければ、気象計の土台となる脚部の固定に出かけたいと思っている。

写真上:届いた荷物。

写真下:屋内で組み立てて作動確認を行った。

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12月9日(月)シオラパルク 晴れ -21.1℃

 正午頃、南の空の雲形写真を撮り、あとで見てみると「流星」が写っていた。先日のアイソン彗星は確認できなかったけど、いいことあるぞ~!性格が単純だからね(笑)。

写真:左側に流れ星が・・。

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12月8日(日)シオラパルク 地吹雪 -20.4℃

20131208 未明から地吹雪となり、凍り始めていた海氷がまたまた流れ出した。ひと昔前は今頃だと、すっかり海氷が定着していて、そろそろ120~130kmほど離れた場所へオヒョウ釣りに行こうかと準備を始めた時期だけれど、近年はなかなかシオラパルク前の海氷が定着しない。ここでは犬ぞりがやりにくくなっている。

昨日は10日ぶりに定期便のヘリコプターがやって来た。今のうちに新しい橇を作ってしまいたいのだが、有佐に日本から発送してもらった必要な資材が昨日は届かず。悪天で定期便がキャンセルになっていたぶん、村の人たちの食糧等の生活用品が優先だったみたいだ。当然なので根気よく待つしかない。

写真:今日の午後過ぎの海氷状態。村の前から沖合にかけての海氷がまたまた流失。右側の黒い部分が開水部。

12月7日(土)シオラパルク 晴れ -20.2℃

 シオラパルク村には20年以上も前から通っているが、ここにも親友と言える友人がいる。僕よりは何歳か年上になる「ケットゥットゥ」だ。こちらでは親友のことを“カンマ”というのだが、ケットゥットゥは僕のことを「カンマ、カンマ」と言ってくれ、嬉しい限りだ。何かと世話を焼いてくれ、僕も同じく「カンマ!」と呼んでいる。この夏に食中毒で奥さんを亡くしてしまい、その際に隣町のカナックで会った時は、随分と落ち込んでいて見てられなかったが、今は立ち直って元気なケットゥットゥに戻っている。

写真:親友のケットゥットゥ。

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12月4日(水)シオラパルク 晴れ -15.5℃

201312042_2 僕の犬ぞりチームにワンコ2頭が新加入した。隣町のカナックで手に入れたいと思っていたが、先日のブリザードで海氷が流れ、年内に犬ぞりでカナックへ出かける目処が立たなくなったため、シオラパルク村で探すことにした。いつ定着するか分からない海氷を待ってられないので、チーム作りを進めていくことに。カガヤのチームのワンコを前から目をつけていて、お願いして譲ってもらった。4歳と3歳の全盛期で即戦力のワンコ達だ。近いうちに走らせてみたい。

写真上:4歳の「キャヨット」。茶色の意味で、毛並が全体的に茶色をしている。体格は大型。

写真下:3歳の「ハロット」。痩せているという意味で、名前がはっきりしてなくて、痩せ気味で僕の所にやって来たので名付けた。餌を多めにやって少し太らせてやらねば。体格は中型。

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12月1日(日)シオラパルク 晴れ -18.3℃

201312011 何事もなかったような穏やかな天気の一日。写真は今日のシオラパルク村。海面には薄っすらと氷が張っている。

村から歩いて、東側と西側の海岸を偵察に行ってきた。海氷が無くても犬ぞりトレーニングをどうやってするか、出来ること考えないといけない。今回の地吹雪を境に、ブリザードが多くなる季節になるはずなので、海氷の定着は年を越してからかもしれない。隣町のカナックにソリを作る資材を買い出しに行きたかったが仕方ないなあ・・。いつもならある資材が村に今年は無くて困っている。

2月中旬から原&的場両氏と観測を共にする計画で、そろそろ観測資材が届くと思われる。届き次第、気象計を村の近くに設置することになっている。散策のついでに設置場所の目途をつけてきた。

11月30日(土)シオラパルク 地吹雪のち晴れ -16.5℃

 強烈な風だった。地吹雪が弱まり視程が開け、風の切る音が無くなって聞き耳を立ててみると波の音。シオラパルクのあるフィヨルド内の海氷は崩壊し流失。想像は付いていたが残念!いい感じで海氷上を犬たちと走り始めてたけど、また凍り付くのを待つしかない。しばらくは海岸沿いの定着氷で犬たちのトレーニングだ。

午後を過ぎて裏山へ、日課の海氷&雲形写真を撮りに行く。風で指がかじかんだ。

写真:シオラパルク村の前には海が広がった。

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