犬ぞり案内人 山崎哲秀 ー北極圏をテツがゆくー

グリーンランド北西部地方に古来から住む、エスキモー民族から伝承を受けた犬ぞりを操り、“アバンナット北極プロジェクト”に取り組む、山崎 哲秀のブログです。 このブログでは、北極遠征中や日本滞在中の活動の様子を紹介します。 アバンナットプロジェクトの詳細は、山崎哲秀のホームページhttp://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/ をご覧下さい。山崎哲秀の連絡先は、同ホームページに記載しています。

2014年02月

2月27日(木)シオラパルク 晴れ -30.4℃

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 5匹の仔犬たちが生まれて今日で丁度1ヶ月。歩き始めてからは家の狭い前室では手に負えなくなってきたので、今日から外の犬小屋に移すことに。寒い季節なので、しばらくは夜中も様子を見に行ってやろう。

写真上:小屋の中の仔犬たちと母犬ママットル。ママットルちゃんと見てやってくださいよ。

写真下:今日の海氷観測にて。

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2月26日(水)シオラパルク 晴れ -29.3℃

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本日、原ちゃん&的ちゃんの海氷観測取材のため、日本から朝日新聞社の中山由美記者が合流。PM1時半頃、ヘリコプターの定期便で到着したばかりにもかかわらず、あまりにも天気がいいのでさっそく観測へ出かけることに。皆さん、よい成果があがりますように!

写真:今日の観測風景。新しいソリも絶好調(笑)。

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2月25日(火)(その2)シオラパルク 晴れ -29.3℃

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 どうやら体調は回復の兆し。夕方頃には食欲も満々。今日は無理せず、村での作業だけにしておいた。ようやくソリが完成!

写真:完成した新しいソリ。全長400cm、横幅112cmの大きさ。重量はかなりの衝撃にも耐えられる強い設計なので100kg以上はありますが・・。エスキモーそり曳き犬用の標準的なソリです。

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 2月25日(火)シオラパルク 晴れ -31.3℃

 23日の深夜から胃が押さえつけられるような感覚で嘔吐感が止まず、それが24日も続いていたが、今朝(25日)になって好転。薬を飲んでずっと眠り込んだのがよかったのか。ソリ作りのアルバイトを夜の時間帯にやったりと、かなり寝不足気味だったので、たたったのかもしれない。天気もよく犬ぞりでの観測日和なのだが、もう一日時間をもらって、間もなく完成のソリを仕上げることにする。

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2月23日(日)シオラパルク 曇り -30.3℃

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 視程が少し良くなり、今日はさらに沖合に海氷観測へ。フロストフラワーにも出会えて、いい感じ。観測支援のやり甲斐があります。

写真上:観測はいい感じで進んでいる。フロストフラワー観測をする原ちゃん&的ちゃん。

写真下:数日前から仔犬たちは屋外デビュー。一日に何回か外に出してやる。

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2月22日(土)シオラパルク 雪 -26.0℃

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 一日中、視程がスッキリしない雪がチラチラ降っていた。午後に原ちゃん&的ちゃんと犬ぞりで海氷観測へ。

 夜、深夜、日中と時間の合間にソリの組み立て作業中。やることはこれだけではないので、少し時間がかかっているが、もうすぐ完成予定だ。

写真:時間の合間にソリの組み立て作業中。家の中では出来ず、外作業です。産休中のママットルがウロウロ。

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2月21日(日)シオラパルク 雪のち晴れ -26.3℃

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 ソリ作りは続いている。こちらで手に入らなかったランナー底部に取り付ける樹脂プレートが到着した。日本から的ちゃんにお願いして持って来てもらったのだ。急ピッチで完成に向けて作業を進めている。

写真:樹脂プレートの取り付け作業。

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2月20日(木)シオラパルク 曇り -24.3℃

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 あいにくの曇り空だけど、今日はさっそく海氷観測へ。まずは村からすぐ近い場所へ。観測後、12月に設置した気象観測計を見回ってから村に戻ってきた。

写真上:観測中の原ちゃん&的ちゃん。

写真下:昨夜AM1時頃、外の様子を見るとオーロラが出ていた。この周辺にしては色が濃いオーロラ。鮮やかとまではいかないけど写真に撮ってみた。

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2月19日(水)シオラパルク 晴れ -26.9℃

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 本日、研究者の友人である原さん&的場さんがシオラパルク村に到着。観測調査を共にします。明日より少しずつお二人主導の元、作業を進めていくことになります。

写真上:北極らしい写真ではないですが、原ちゃん(右)&的ちゃん(左)がシオラパルク村に到着。

写真下:5匹の仔犬たち。ヨタヨタと歩き始めたと思ったら、歯もはえ始めていて、今日から離乳食(といってもドックフードをふやかしたもの)を少し食べだした。

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2月18日(火)シオラパルク 曇りのち晴れ -23.2℃

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 3カ月半ぶりに見る太陽だ!午前中は曇り空で今日も拝めないかと思っていると、午後を過ぎて雲が切れ、太陽が顔を出した。太陽の神聖さを感じる瞬間!

写真上:太陽が姿を現す!まだまだ犬たちの影は長く伸びる。

写真下:部屋に差し込む陽光。

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2月16日(日)シオラパルク 曇りのち雪 -20.3℃

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 名前の付いていなかった最後の仔犬の名前が決まりました。「タケル(猛)」。有佐が命名してくれました。これで5匹全匹に名前が付いたわけだけど、これから厳しい北極の自然の中で生き抜いていかなければなりません。人間からの手助けも必要だけど、生命力も必要になってきます。頑張って生き抜いてくれよ。

写真上:最後に名前が決まった「タケル(猛)」。間もなく仔犬たちは歩き始めそうな気配です。

写真下:昨日の成犬たち。

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2月15日(土)シオラパルク 晴れ -23.4℃

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 今日どうやら太陽が戻って来たらしい。南のケケッタ島の稜線上に、少し姿を現したとのこと。僕はといえば、全9頭の犬たちとフィヨルドの奥へ犬ぞりを走らせていて、陸地の影となり見損ねてしまった。明日を楽しみにすることにしよう。今シーズン新たなドックチーム作りは11月から始まり、ようやくここにきていい感じでまとまってきた。

 うちのドックチームに「ショウヤ(醤油)」とすでに名付けられていた2歳のオス犬がおりまして、そして先日、生まれた仔犬の一匹に「わさび」という名が付きました。その流れでどうしても、まだ名前の付いていない仔犬一匹に「ガリ」と名付けたい衝動に駆られて本日命名。そしてもう一匹の黒毛がちの仔犬は、前ドックチームの「リク(陸)」になんとなく毛並が似ていて、陸と同じ自然系の名前を付けたいと思い「カギャ」と名付けました。カギャはエスキモー語で、日本語に訳すと「岬」という意味です。

これで5匹中、4匹に名前が付きました。あと一匹は有佐が命名してくれることになっています。

写真上:「ガリ」と命名。いいんじゃないかな!

写真下:「カギャ(岬)」と名付けた。今のところ5匹で一番小柄です。

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2月14日(金)シオラパルク 晴れ -25.0℃

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 来週水曜日には、研究者の友人である原&的ちゃんがシオラパルク村にやって来る。新しい海氷上に出来るフロストフラワー(霜)観測です。この数日冷え込み、新氷の偵察に今日出かけると、霜が咲き始めていました。タイミングなんかもあるので、うまく観測中に咲いてくれれば・・。

写真上:新氷の偵察にて。まだ歩けるほど氷は厚く張っていないが、霜が咲き始めていた。

写真下:仔犬たちの壮大な眺め。一匹、真ん中に埋もれてしまってますが・・(笑)。まもなく残りの3匹の名前も紹介できそうです。

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2月13日(木)シオラパルク 晴れ -20.0℃

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 北緯74°のカナダ・レゾリュートの町では、2月3日に約3カ月ぶりに太陽が戻ったと、レゾリュート在住のサエコさんよりメールを頂いた。僕が今シーズン活動しているグリーンランド北西部地域の北緯76°にあるサビシビック村では、2月8日が3カ月以上ぶりの日の出だったとのこと。現在滞在中の北緯78°シオラパルク村は2月17日に3カ月半以上ぶりに太陽が戻って来る。待ち遠しい。

今日は沿岸の定着氷沿いに犬ぞりを走らせ、先日海氷が流失した海の様子を偵察に行ってきた。Nugssuaqと呼ばれる場所まで足を延ばす。

写真上:Nugssuaqの定着氷上から、正午過ぎの南の空を望む。左手に見えるのはインナンミウ岬、右手に見えるのはケケッタ島。

写真下:満月を明日に控えて・・。犬たちの繋留地点風景。

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2月12日(水)シオラパルク 雪のち曇り -15.1℃

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 2日前の強風で、さらに海氷が流失。シオラパルク村のすぐ近くまで海が迫って来た。海氷の観測では変化があって面白そうだが、犬ぞりで海氷上を走る側からすると面白くないところ(笑)。猟師の人たちは犬ぞりでの狩りが出来ず、この季節では異例の船を利用する許可が下りてセイウチを仕留めたとのこと。

 さて、仔犬の命名第2弾です。5匹の中の紅一点メス犬の名前が決まりました。「六花(リッカ)」です。京都、長岡京市の石丸さんの知人、長谷川さんから命名のリクエストがあり、まだ名前の付いていない4匹の中から選んで名付けて頂きました。なんでも長谷川さんは、家にワンコ3匹と猫5匹を飼う大の動物好きとのことです。命名ありがとうございました!

写真上:海氷がさらに流失したシオラパルク村周辺の海。

写真下:メスの仔犬に「六花(リッカ)」という名前が付きました。

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2月10日(月)シオラパルク 晴れ(強風を伴う) -13.0℃

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 仔犬が生まれた暁には、ぜひ名前を付けさせて欲しいと、2人の知人の方からリクエストを以前から受けていて、まずは一匹の仔犬に名前が付きました。「わさび」君です(笑)。5匹のうちで最初に名前が決まりました。厳しい北極の自然の中で、ペットとしてではなく、ソリ曳き犬として生きていくワンコなので、思いもよらない何だかのアクシデントがある場合もあることを了承して頂いて、命名してもらいました。ちゃんと名前の由来もあり、下記のようなコメントを頂いています。

「沢山いるわんちゃんの中で、わさびのようなピリッと刺激のあるリーダー犬になって欲しい。」

川畑さんご夫妻の娘さんが考えてくれたそうです。ありがとうございました!

写真:命名第一号のオス犬の「わさび」君。

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2月9日(日)シオラパルク 晴れ -19.8℃

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 午後から強風となり、気温も急上昇。早朝はマイナス20℃前後だった気温が夕方にはマイナス8℃くらいまで上がった。面白いものでマイナス8℃の風が生暖かく感じてしまう。これでは耐寒トレーニングにもならない。北極という気がしない(笑)。

 ソリ作りは続いている、ランナー底部に取り付ける耐寒性の樹脂プレートがシオラパルク村でも、隣町のカナックでも品切れで手に入らず、研究者の友人である的ちゃんに、2月19日に日本から持ち込んでもらうことになっていて、それまでは完成に至らないので、のんびりと時間のある時に少しずつ製作しているといったところ。この何日かはソリの後ろの取り舵部分と、荷台となる横板の準備をしている。

写真上:取り舵(ナパガヤ)と横板(ナプ)の作製。

写真下:僕が北極で一番好きな季節が訪れている。この季節の多彩な自然の色彩がたまらなく北極では好きだ。

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2月8日(土)シオラパルク 晴れ -21.5℃

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 天気は穏やかで冷え込んだ。定期的に測定している海氷の厚さを測りに、村のあるフィヨルドの中ほどまで犬ぞりを走らせた。この冬流失していない一番古い海氷で、氷厚は77cm。3週間前に測定した時より、たった10cmほど厚くなっただけ。薄いなあ・・。

 村の前にある氷のクラックで、村の人たちが仕掛けをたらして魚を釣っていた。オヒョウ釣りのエサにするとのことだ。シオラパルク村周辺の海氷が不安定で、自分たちや犬が食べる食糧(獲物)も確保しにくそうだ。またセイウチが保護され過ぎて増えていて、村周辺のアザラシを何処かへ追いやってしまい獲れず、猟師の人たちも困り果てている。みんな隣町カナック周辺で釣れる、現金収入にもなるオヒョウを釣りに出かけるのだろうか。アザラシの毛皮は猟師の人たちにとって貴重な一つの収入源でもあるが、シオラパルク周辺では商売にならず、というところなのかもしれない。

写真上:猟師のカガヤが孫を連れオヒョウのエサとなる魚を釣っていた。

写真下:釣れる15~20cmほどの魚(イカルアック)。

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2月7日(金)シオラパルク 晴れ -19.8℃

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 5匹の子犬は順調に育っている。その中のオス犬一匹が目を開いた。兄妹の中でも一番小柄な仔犬だ。そろそろ名前を付けていってやらないと。

引き続いて家の前室でママットル親子は生活しているが、前室といってもここは北極、今日の前室内はマイナス12.2℃である。プラスの部屋の気温の中で育てられることはない。すでにソリ引き犬としての生活がスタートしているといっていい。成犬になって来シーズン、チームに加わってくれるのが今から楽しみだ。元気に成長してくれよ。

写真:仔犬たちを抱えて写真撮影。母犬のママットルが後ろで心配そうにしている。

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2月6日(木)シオラパルク 晴れ -16.7℃

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 2月19日に研究者の友人二人がシオラパルク村を訪れ、新海氷の観測をするにあたり、今日も偵察に出かけてきた。沿岸の定着氷を犬ぞりを走らせ一昨日よりさらに西の海の様子を見に行ってきた。目的のフロストフラワーはまだ出ておらず。果たして上手く出てくれるだろうか。

写真上:4頭のワンコ達を連れて、ツルツルの定着氷を走らせた。

写真下:海の表面は薄氷が張っている。

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2月4日(火)シオラパルク 晴れ -13.4℃

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 穏やかな天気となった。近いので海氷が流失した地点へ歩いて行き、日課の海氷写真を撮影してきた。シオラパルク村から西側に沿岸に沿って2~3kmのアチキャットと呼ばれる場所の少し向こうで海が開いていた。

帰りにアチキャットで、仔犬の下に敷いてやる枯草を大きなナイロン袋一杯に取って村に戻って来た。

写真上:海氷が流失した地点の沿岸と海氷上から。

写真下:アチキャットにて「イビ」と言われる枯草を取る。昔はこの枯草を毛皮の防寒靴の底敷きにも利用していたらしい。

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2月3日(月)シオラパルク 晴れ(やや高い地吹雪を伴う)-7.1℃

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 今朝から少し強い北風が吹き始めた。村のすぐ沖合の海氷が流され始めた。こんなに暖かいと納得・・。今夜ももう少し風が吹く予報なので、さらに海氷が流れ出すかもしれない。

写真上:村のすぐ沖合から海氷が流され始めた。

写真下:今日のママットル親子。

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2月2日(日)シオラパルク 晴れ -18.8℃

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 2月になったので、予定通り全頭での犬ぞり走行を開始。チーム作りの最終段階に入った。今シーズンは産休のママットルは除いて、9頭でのチームに留めておくことにした。来シーズンは仔犬が育って、大所帯になるだろう。

1月中旬から僕とは別に、二人の日本人がシオラパルク村に滞在していて、今日はそのうちの一人、角ちゃん(角幡唯介さん)と一緒に犬ぞりで、シオラパルク村があるフィヨルドの奥の、Meehan氷河に行ってきた。このあと角ちゃんはMeehan氷河に取り付いて、氷帽を越えて北の方に歩いて出かける予定があり、氷河の偵察に一緒に行ったのだった。僕の犬ぞりチームにとっても、ちょうどいいトレーニングになった。

写真上:Meehan氷河のサイドモレーンを少しだけ犬ぞりで登る。

写真下:下界を望む。

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2月1日(土)シオラパルク 晴れ -13.4℃

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 シオラパルク村も2月を迎えた。この季節にしては凄く暖かく、拍子抜けする。それでもなんだかんだと日々に追われていて、あっという間に一日が終ってしまうなあ・・。

写真上:エアロゾルサンプリングの様子。

写真下:5匹の仔犬たちも元気に育っている。左上がメスで、他の4匹がオス犬。

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