犬ぞり案内人 山崎哲秀 ー北極圏をテツがゆくー

グリーンランド北西部地方に古来から住む、エスキモー民族から伝承を受けた犬ぞりを操り、“アバンナット北極プロジェクト”に取り組む、山崎 哲秀のブログです。 このブログでは、北極遠征中や日本滞在中の活動の様子を紹介します。 アバンナットプロジェクトの詳細は、山崎哲秀のホームページhttp://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/ をご覧下さい。山崎哲秀の連絡先は、同ホームページに記載しています。

2014年04月

4月27日(日)カナック 晴れ

201404257

 21日からシオラパルクでのインターネットの調子が悪く、ブログの更新が出来なかった。6月以降になる帰国後の打ち合わせ等で、メールでやりとりをしていた皆様、連絡が途切れてしまっていて申しわけありませんでした。そしてまた5月5日以降から5月末まで観測調査でフィールドに出るため、インターネットが使えなく、メールでのやりとりが出来なくなります。必要な場合はこのメールアドレス → avangnaq@gaia.eonet.ne.jp に連絡を頂ければ、衛星電話通信(個人イリジウム衛星電話を持参しますので)の際に、日本の自宅から伝言をもらうことが可能です。宜しくお願い致します。

 ざっと21日以降のことを書き留めておくと、その日から装備・荷物類の後片付けを始めた。何かと装備関係が多く、パッキングリストを作成して、マッハングアの家の物置へ置かせてもらうことに。ソリは村の西外れ、イツッダというところに3台重ねて鎖で巻き付け、南京錠をしておく。適当に置いておくと使われてしまうので、うかうかしてられない(笑)。成犬10頭と仔犬5匹はユーソッフィに夏の間、面倒を見てもらうことに。丁寧な仕事をする爺さんなので、信用しきっているが、全頭元気で冬にまた再会できますように!

25日の定期ヘリコプター便でシオラパルクから、隣り町のカナックへ移動するはずが、天気が良くカナックまで定期ヘリコプターが飛んで来ているのに関わらず、シオラパルク村までは20分弱の飛行時間なのに、なんとキャンセル。一人しか乗客がいないから?フライトをキャンセルにしたとしか思えない。そのうち来るだろうと、のんびりシオラパルク村で待っていてもいいのだけど、日本からの観測チームと合流する必要があるので、結局自ら犬ぞりチームを走らせ、25日の夜にカナック入りした。連れてきた7頭の犬たちは、ユーソッフィ夫婦もカナックに来る予定があったので、このあとシオラパルクに連れて帰ってくれることになっている。日本からの観測先発隊とは無事に今日合流。というのが、この1週間の状況。

写真上:3台重ねて、がっちり鎖で固定しておく。これで勝手に使われたら、「あっぱれ」と言うしかない(笑)。

写真下:15頭のワンコたち。仔犬5匹に関しては、抱きかかえてやれるのはこれが最後。半年後に会う時は成犬並みの大きさになっているはず。15頭のワンコたち、みんな元気で夏を過ごしてくれよ。右下の犬ぞり写真は、25日のカナックへの移動時、すでに海が開いているインナンミウ岬の沿岸にへばりついた定着氷を通行中。

2014042513

 

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4月20日(日)シオラパルク 雪時々曇り -10.9℃

201404202

 今月末からの観測調査に参加すべく、今シーズンのシオラパルク村滞在を引き上げる準備を始めた。今朝は8時頃から気象計の撤収作業に出かけた。そのあと犬ぞりで、村の沖合にエアロゾルサンプリングと海氷データ収集に出かけた。これが今シーズンは最後のデータ収集になる。ついでに仔犬たちのレッスンも兼ねて、ワサビ&タケルを連れて行った。盛りだくさんの一日。

早ければ25日(金)のヘリコプター定期便で隣り町のカナックに移動して、観測調査の先発隊と合流する予定。

写真:気象記録計を撤収。

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 4月19日(土)シオラパルク 曇りのち雪 -12.7℃

201404192

 今日も引き続き仔犬のレッスン。昨日走らなかった、メスの「リッカ」、オスの「カギャ」&「ガリッ」を走らせてみる。この3匹の仔犬たちも、昨日の「ワサビ」&「タケル」に続いて、しっかり走ってくれた。来シーズンが楽しみ!

写真:曳き綱が繋がっているのが母犬の「ママットル」(左)、右が「アーベェ」。

仔犬は左が「ガリッ」、右前が「リッカ」、後ろが「カギャ」。

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4月18日(金)シオラパルク 晴れ -9.1℃

20140418

 ブリザード明けの今日は快晴。風も穏やかで暑いくらいだ。こちらは昨日から、イースターの祭日中。僕にとっては馴染みのない祝日。

今日から生後2ヶ月半を過ぎた、仔犬たちの犬ぞりレッスンを開始した。普通は3ヶ月を過ぎて始めるのだが、今月末から日本の観測調査に参加することになっており、今シーズンの犬ぞりでの取り組みは終わりを迎えるので、前倒しで教えてシオラパルク村を後にすることにする。触りの部分だけでも教えておいたら、来シーズンの取り掛かりがグンと楽になる。今季は観測データの収集活動に加えて、新たな犬ぞりチームの編成が大きな目標としてあったので、最後の一仕事だ。一気に5匹の仔犬のレッスンは大変なので、今日はまず、ワサビ&タケルの2匹をレッスン。最初のうちはフリーにして、犬ぞりについて来させることから始める。まだスピードが出るとついて来れないから、我がチームのリーダー犬である「アーベェ」に、母犬の「ママットル」の2頭をソリに繋ぎ出かけた。手が掛かることなく「ワサビ&タケル」は一緒に走ってくれた。まずは合格。明日はもう2匹のオス犬「ガリ&カギャ」のレッスンをしよう。村を離れるまで繰り返していく。

写真:犬ぞりレッスンを始めた仔犬「タケル&ワサビ」。

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 4月13日(日)シオラパルク 晴れ -18.2℃

201404131

 先日のブリザードで、村から10kmほど離れた沖合あたりから海氷が流失して海が開いた。今日はピーターに誘われて朝からセイウチ狩りに。他にユーソッフィとケットゥットゥ、全員で4人。殆ど、船を乗せたソリを海際まで犬ぞりで引っ張る要員だけど(笑)。それでも中途半端で犬ぞりをやっていても、犬ぞりを出してくれと声は掛からないから、嬉しいけどね。これまでも誘ってもらってたのだが、他にやることがたくさんあるので、なかなか参加出来なかった。セイウチとアザラシがそれぞれ1頭ずつ獲れた。こうやって参加したら、彼らはちゃんと分け前をくれる。朝から出かけて、村に戻ったのはPM10時半頃。それから後片付けをして、犬たちに獲れたてのセイウチの肉をあげてから、自分の夕食。AM12時を回って、今はAM1時頃。寝よう・・・。

写真上:ピーターと僕の犬ぞりチームで船を引っ張る。

写真下:最後は銛を打ち込む。全長2.5mほどの大きなセイウチだった。

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4月10日(木)シオラパルク 地吹雪 -16.2℃

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 今朝からブリザード。高い地吹雪が舞い上がっている。明日まで続きそう。

2か月を過ぎた仔犬たちは・・。やはり家の中には入れてもらえません。強いソリ曳き犬になってくれよ。ただやはり気になるので、ほったらかしではなく、度々様子を見に行っている。動物の本能か、風をやり過ごす方法を、教えられる分けでなくすでに知っている。

写真上:雪まみれだけど、ちゃんと地吹雪をやり過ごす術を知っている。体を丸めて・・。

写真下:ブルッと体を震わせ、毛にまとわり付いた雪を払い落とす。

201404102

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4月8日(火)シオラパルク 晴れ -22.3℃

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 久々に空もスッキリ晴れ渡り、風も穏やかで快晴。早朝こそ冷え込むが、太陽が昇り始めると気温も、体感的にもグンと暖かくなるのがこの季節。ここでも春の訪れだ。すでに一日中真っ暗になる時間帯は無くなって、深夜も薄明るい。白夜へとまっしぐら。

AM10時になり店が開いてから、暖房用ストーブの石油など買い出しをしたあと、犬ぞりを出す。フィヨルドを挟んで対岸のカギャ岬周辺で海氷&エアロゾルサンプリングなど作業をしてきた。カギャ岬付近は3月中旬にも一度海氷が流失していて、今日の測定では氷の厚さはたった27cm。

天気がいいので、作業のあとも犬たちをもう少し走らせてから村に戻ってきた。

4月末に日本の観測チームが実施する、内陸氷床での掘削調査に参加することになっている。そろそろ合流するまでに、今シーズンの犬ぞり活動の後片付けのことなど、頭にちらつき始めている。

写真上:今日の犬ぞりのワンコたち。

写真下:カギャ岬付近でエアロゾルサンプリングと海氷のデータをとる。

201404082

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4月5日(土)シオラパルク 曇り、雪 -14.9℃

20140405

 こちらの言葉で研究者の人たちのことを「イリシマトゥ」と言っているが、この言葉は「大知識」という意味があるそうで、もともとは北極の厳しい自然界を生き抜く人々、知恵を持った人々のこと、つまりエスキモーの人たち、特に老人や長老のことを言っていたのだと思う。

今日はシオラパルクのイリシマトゥ、長老の「ユーソッフィ」と一緒に犬ぞりで出かけてきた。この2月に70歳を迎えたユーソッフィは、今なお犬ぞりの現役。村から40kmほど離れた、「ネケッ」という場所にデポしてある肉の回収を手伝いに行ったのだった。僕の9頭の犬たちに、ユーソッフィの3頭の犬たちを加え、お供してきた。一緒に出掛けることで、まだまだフィールドで活動する色んな知恵を吸収出来る。楽しかった。朝10時半頃に出かけて、村には夕方の6時半頃に戻ってきた。

写真:ユーソッフィとお茶を飲み一息つく。

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3月31日(月)シオラパルク 雪 -11.8℃

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 シオラパルクの留守中は、友人のケットゥットゥに母犬と5匹の仔犬たちを預かってもらっていた。数日前に生後2か月を過ぎて、あちこちと歩き回るようになったのを機に、昨日からロープで繋ぎ留めることにした。自由を奪われて(笑)、最初はクンクンと鳴いていたが、今日あたりはだいぶ落ち着いてきた。大人しく繋がれている。

犬たちを応援、サポートして下さっている皆様、母犬&5匹の仔犬、オスの成犬9頭、みんな元気です。

写真:繋ぎ留められた仔犬たち。ソリ曳き犬への道を進み始める。

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