犬ぞり案内人 山崎哲秀 ー北極圏をテツがゆくー

グリーンランド北西部地方に古来から住む、エスキモー民族から伝承を受けた犬ぞりを操り、“アバンナット北極プロジェクト”に取り組む、山崎 哲秀のブログです。 このブログでは、北極遠征中や日本滞在中の活動の様子を紹介します。 アバンナットプロジェクトの詳細は、山崎哲秀のホームページhttp://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/ をご覧下さい。山崎哲秀の連絡先は、同ホームページに記載しています。

2015年11月

11月初旬に、「北極読本」(南極OB会編集委員会編)という本が、成山堂書店より刊行されました。研究者の方たちが中心となって書かれた、北極の専門書です。 

→ https://www.seizando.co.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=1420 

この本の中で「世界最北の先住民部落、シオラパルク村」というタイトルで、コラムを少しだけ書かせて頂いています。北極に興味のある方は、ぜひぜひ手に取ってみてください。やや高価な専門書ですが・・(笑)ちなみに姉妹書の「南極読本」もあります。

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11月28日(土)シオラパルク 晴れのち曇り -20.3℃

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 AM8時を過ぎた頃、この冬初めて、犬ぞりで海氷上を走る。昨シーズンは海氷がなかなか定着せず、12月27日が最初だったから、ちょうど1ヶ月早いことになる。昨日、村の前の海氷データを記録するのに、氷の厚さを測ってみると、30cmと十分な厚さがあった。少し前に強風で、一度海氷が動いて海が開いた部分があり、新たに張った少し沖合のその場所は、まだ15cmほどだった。

ここまで犬たちのトレーニングが進むと、いくらか気が楽になる。もうしばらく4頭ほどでローテーションで走らせてから、少しずつ一緒に走る頭数を増やしていくことになる。

写真:海氷上に犬ぞりで乗り入れる。

11月26日(木)シオラパルク 晴れのち曇り -20.9℃

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 シオラパルク村に戻ってから今日までのことを、簡単に書いておく。

 悪天で、隣り町のカナックからの定期ヘリコプター便が、予定の11月4日(水)には飛ばず、2日遅れて11月6日(金)にシオラパルク村に到着した。シオラパルクは僕の北極のホームタウンで、先住民部落としては世界最北の村。

いつもと同じ、村の中でも最も古くなった部類の家を借りている。なんでも1960年代に建てられた家だとか・・。村の皆さんとも5月以来の再会。昨冬は村の人口が35人前後と激減していたが、この冬は数えてみると、今のところ45人前後。カナックの老人ホームに入っていた爺さん婆さんが、馴染めず村に戻って来たり、ケケッタ村の年輩の夫婦が、この冬はシオラパルクに滞在していたりと、そのぶん増えている感じだ。

そして僕の犬ぞりチームのワンコたちとも再会。ワンコ達のことは、また後々に報告していくことにしよう。

シオラパルク入り後、悪天で雪の日が圧倒的に多く、一時は気温もマイナス1℃くらいまで跳ね上がったが、数日前からマイナス20℃前半と冷え込み始め、ようやく冬らしくなってきた。海氷も強風で流失したりとか、定着には至っていなかったが、この数日の冷え込みで、順調に厚さが発達している模様。このまま定着してくれるか??

いつも通りに、海氷目視観測も始め、11月15日には自動気象計も設置。そろそろ海氷上に下りて、海氷のデータ収集観測も始めようと思っている。

また11月21日からは、沿岸に凍った氷を利用して、犬たちの走行トレーニングも始めることができた。今シーズンの活動の態勢が整ってきた。

写真上:11月12日の、正午の南の空。すっかり太陽が昇らない極夜。

写真下:4頭ずつ日替わりで走らせて、夏季の間に落ちた犬たちの体力を回復させてやるトレーニングも開始。

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11月25日(水) シオラパルク 晴れ -21.1℃

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 11月5日にシオラパルク村に到着してから、インターネット回線はすぐに繋がったのですが、以前から使用していたモデムが故障していて、取り寄せるのに今日までかかってしまいました。メールをあちらこちらからたくさん頂いてます。なるべく早いうちに返信しますので・・。すみません。

 またシオラパルク入りしてからの様子も、明日以降に更新していきます。

写真:今日は満月。シオラパルク村と月。

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現在発売中の「山と渓谷」2015年12月号

(山と渓谷社発行)

https://www.yamakei.co.jp/products/2815900968.html

のp130 「世界最北の村「シオラパルク」と日本人」

の記事の中で、植村直己さんやシオラパルク在住の大島育雄さんとともに山崎哲秀のことも紹介いただいています。

書店で手にとっていただけますと幸いです。

山崎哲秀は、無事シオラパルク入りしておりますが、モデムの調子が悪く、インターネットに接続できない状態が続いています。メールで哲秀にご連絡くださっている方への返信は、今しばらくかかりますので、ご了承願います。

11月5日(木) カナック 曇り

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 11月4日は予定通りイルリサット発。ウパナビック~ピトゥッフィ(Thule Air Base)を経由して、PM12時半頃にグリーンランド北西部地区最大の街、カナックへ到着。そのままヘリコプター定期便に乗り継いで、犬ぞりチームのワンコ達が待つシオラパルク村へ入る予定だったが、ヘリコプターが飛ぶには視程が悪くキャンセルとなった。  5日の今日にスライドして、シオラパルク村へのフライトがあるスケジュールだったが、やはり視程が悪く今日もキャンセルとなり、カナックに足止めとなっている。ただ足止めも悪いことばかりでなく、シオラパルク村で滞在する借家の電気の手続きと、インターネットの手続きを済ませることができた。シオラパルク村からもできるが、カナックで手続きを済ませるほうが、開通する時間が断然早いので、ラッキーと思うことにしよう。

明日は天気が良く、シオラパルク村に入れますように・・。

写真:まだ海氷が定着していない、カナック前のフィヨルド。すでに極夜で正午でも薄暗い。

11月3日(火) イルリサット 曇り

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 11月2日、早朝のAir Greenland便で、デンマーク・コペンハーゲン発。グリーンランド南西部にあるKANGERLUSSUQ空港で乗り継いで、イルリサットまで移動。イルリサットは世界遺産の氷河がある、近年では観光でもすっかり有名な街。初冬のイルリサットはマイナス10~15℃ほどだが、夏を日本で過ごしたので、やっぱり寒い(笑)

次の乗り継ぎ便の関係で、イルリサットには2泊。明日4日は、いよいよ僕の15頭のワンコたちが待つ、グリーンランド最北の村、シオラパルク入りの予定。

写真上:空から見たイルリサット港。

写真下:街からみたイルリサット港。

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11月1日(日) 東京 曇り、コペンハーゲン 曇り

10月31日に大阪伊丹空港から東京へと移動。伊丹空港では家族に見送られたが、伊丹空港への到着が交通渋滞でギリギリとなってしまい、ゆっくりとしばしの別れを惜しむ時間もなく搭乗。羽田に着いて、電話を入れ直した(苦笑)

翌11月1日に東京成田からコペンハーゲンへと移動。約11時間のフライト。搭乗してからは、しばらく眠り込んでしまったが、目が覚めてからは本を読んでいるうちにコペンハーゲン着。日本より8時間遅れの時差で、到着時刻は同日のPM4時前。すぐにコペンハーゲン中央駅そばの安宿へ移動し、チェックイン後はすぐに夕食。そのあとしばらくまた眠り込んでから夜中に目が覚め、ゴソゴソと作業をしている。このあと空港に行き、今日はグリーンランド・イルリサットまで移動する。

日本出国前はバタバタとしてしまい、皆さんに十分な挨拶をできないままとなってしまいました。申しわけありませんでした。失礼をお許しください。また今シーズンの北極での活動が始まります。ブログも更新していきたいと思います。

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