2016年03月
カヤラングア
3月15日(火)シオラパルク 雪 -24.3℃
カヤラングアが、しょっちゅうコーヒーを飲みに遊びに来てくれる。すっかり歳をとってしまったが、シオラパルクに通い始めた25年ほど前からの知人だ。カヤラングアはケケッタ村の出身で、この冬は夫婦でシオラパルク村で過ごしている。若き頃は猟師としてバリバリに鳴らしていて、犬ぞりであちこちを走り回っているところを、よく行き交ったものだ(通い始めた当時の僕はまだ、ソリを自ら引っ張って歩いていた)。30年、40年前といったこの地域の昔話をよく聞かせてくれる。今では考えられないくらい海氷の凍り付きもよかったそうで、かなり沖合まで犬ぞりで走り回れていたそうだ。夢のようなその時代に、僕も犬ぞりで走り回ってみたかったものだ・・。
写真上:家に遊びに来て、コーヒーを飲むカヤラングア(右)。
写真下:25年ほど前?の、カヤラングアとの写真(右から3人目が若き日のカヤラングア)右から2人目が若き日の山崎(笑)(撮影:Susumu Tomizawa)
足の裏の毛をカット
3月12日(土)シオラパルク 薄曇り -18.9℃
全頭のワンコたちと出かけ、昨日村に戻って来た。フィヨルドを挟んで対岸のカギャ岬も、海氷が壊れて通行が出来ず、沿岸の定着氷を利用してその場所を通過する。隣り町のカナックへ行くのも、この冬はすでに簡単ではなくなってしまった。海氷の状態がやはり良くない。近年はシオラパルク村周辺では、気軽に犬ぞりが出来なくなってきた。どちらかというと犬ぞり上級者向きといったところか。自分が上級者というわけではないけれど・・。なにせワンコ一頭が、大人一人よりも馬力があるから、ちゃんと犬たちを扱いきれないと、怪我にも繋がるし、海に犬ぞりを落としてしまったりとか事故に繋がる。こちらが犬たちにいいようにされることなく、十数頭のワンコたちを、60歳くらいまでは上手く扱いたいと思っている。体力と俊敏性が必要です。
暖かくなり犬ぞり走行時に、犬たちの足の裏の伸びた毛に、雪が団子状になって付着するようになってきた。これまでだと4月くらいに入ってから、雪が団子状に固まって付着したものだが、近年はその時期が早まっている。付着した雪が氷玉となって、指と指の間に食い込み、皮膚を切って怪我をしてしまうので、防止の為に今日、全頭のワンコたちの足の裏の伸びた毛を、ハサミでカットしてやった。約50本分の足(笑)。これもエスキモーの猟師の人たちから、犬ぞりを始めた時に教わった。
写真:全頭で出かけてきた。
「ヒャカ」
3月8日(火)シオラパルク 雪~吹雪 -11.8℃
この3日ほど雪が降り続いていて、今日は風も強まり吹雪。明日あたりは回復しそうな予報。
隣り町のカナックへ行く通常の海氷ルート上で、ある地点ですでに氷が溶け始めていて、4月にカナックへ海氷観測サポートに行く時は、通行が危ない状態になっている可能性がある。その地点を回避する陸越えルート(遠回りになり、2日ほどカナックまでかかってしまう)の確認をしておかないと。天気が回復したら、泊りがけで偵察に出かける予定でいる。
今日のワンコは「ヒャカ」。今シーズンはナッホと兄弟げんかすることもなく、仲良くしている。ヒャカもナッホ同様にサボることなく、黙々と力強く橇を曳き続けてくれるので、安心してみていられる。
写真上:雪で視程が利かない状態が3日続いている。今日の吹雪のシオラパルク村。
写真下:吹雪の中の「ヒャカ」。
「ナッホ」
3月3日(木)シオラパルク 曇り -12.2℃
3月が何処かへ飛んでいってしまった?
2月まではそれなりにいい感じで冷え込んでいたが、この一週間ほどは気温がグンと高く、また内陸から吹き下ろすアバンナット(北からの強風)が続いて、シオラパルク沖合の海氷が一気に流失してしまった。雰囲気は4月の陽気だ。この冬は海氷が安定していると思っていたのだけど・・。おのずと犬ぞりでの活動範囲は、狭まってしまうなあ・・。
2月28日から3月1日にかけて、隣り町のカナックへ出かけてきた。4月に海氷観測支援の予定があり、カナック沖合いの海氷状況を確認するのに写真撮影と、探していた民具の受け取りなど、やることが何件かあった。
今日のワンコは「ナッホ」。特に大きな癖も、問題もなく、坦々と力強く橇を曳き続けるのは、今シーズンも変わらず。エサを前両脚で抱え込んで、丁寧に食べていくのは見ていて感心する(笑)。
写真上:カナックからの帰り道。午後の低い太陽が、背後のインナンミウ岬の影を作って、カギャ岬へと横断するイツッダ・フィヨルドを覆っている。
写真下:「ナッホ」。アウリッチッ(動くな)!と号令をかけても、普段はちょこまかと動き回るから、こんな感じで座って写真に納まるのは珍しい。