犬ぞり案内人 山崎哲秀 ー北極圏をテツがゆくー

グリーンランド北西部地方に古来から住む、エスキモー民族から伝承を受けた犬ぞりを操り、“アバンナット北極プロジェクト”に取り組む、山崎 哲秀のブログです。 このブログでは、北極遠征中や日本滞在中の活動の様子を紹介します。 アバンナットプロジェクトの詳細は、山崎哲秀のホームページhttp://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/ をご覧下さい。山崎哲秀の連絡先は、同ホームページに記載しています。

2016年12月

12月31日(土)シオラパルク 晴れ -19.9℃

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昨日は面白いと強がって見せたけど・・。

最初にシオラパルクを訪れた時は、この村の人々はまだランプ生活をしていた。時代は移り変わりながら、今では電気も整備され、インターネットも出来る時代。便利になりました。

さて、シオラパルクも大晦日です。

写真:インターネットで、日本の家族と話をする。

12月30日(金)シオラパルク 晴れ -23.6℃

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 ブログ更新を怠ってしまった。クリスマスの後は、坦々と日課を繰り返す同じ毎日で、ネタ不足といったところ。極夜で、真っ暗で、何が面白いの?と言われそうだけど、面白いのだ(笑)。それなりにやることが多いので、日々があっという間です。

あと2日で2016年が終ろうとしている。

写真上:今日から6頭の犬たちで走らせる。海氷の凍り付きが遅いぶん、犬ぞりチームの調整は少し遅れ気味。

写真下:雪が全然積もらず、相変わらず海氷上はツルツルで光っている。

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12月25日(日)シオラパルク 晴れ -22.8℃

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 シオラパルクもクリスマスだ。今日は村で一番大きなファミリーの、ヌカッピアングア一家のクリスマスに声を掛けてもらった。

もともとエスキモー民族はシャーマニズムの世界だったが、キリスト教が浸透してからは、クリスマスは一大イベントになっている。

写真上:華やかなデコレーションの、ヌカッピアングア一家のクリスマス。

写真下:昔ながらの獲物の肉がズラリ。僕はやっぱりこれがお気に入り(笑)。イヒュワンナ(発酵肉)。マッタ(鯨の表皮)、トット(トナカイ)の生肉、アーベェ(セイウチ)の煮込み肉、イカルア(鱒)などなど。

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12月23日(金) シオラパルク 晴れ -21.3℃

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 この数日は、天気が安定していて冷え込んでいる。一昨日、シオラパルク村前の海氷で、白熊の足跡があるのを猟師が見つけた。2頭とのこと。

今日はヘリコプター定期便が予定通りやって来た。

写真:クリスマスの灯りか!?と思ってしまうけど、ヘリポートの灯りです。裏の丘に登っていたら、ちょうど定期便がやって来た。

12月21日(水)(その2) シオラパルク 晴れ 夕方-20.0℃

 夕方、東の空にボンヤリとオーロラが出た。

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12月21日(水)シオラパルク 晴れ 朝-19.3℃

20161221  冬至を迎えた。これで極夜も折り返し。日に日に明るい時間が増えていく。太陽が戻るのは2月17日前後だ。

写真上:シオラパルクの冬至。正午過ぎの南の空。実際の明るさがこんな感じです。西の方角(右)には、新氷が鏡となって、月(半月を過ぎた)を反射させている。

写真下:今日のシオラパルク前の海氷。表面が光っている部分は、この冬で一番新しい海氷。

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12月19日(火)シオラパルク 晴れ -18.5℃

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 久々の晴れ。10日ぶりに定期便のヘリコプターもやってきた。

この3~4日はマイナス15℃以下の気温が続いてくれ、海氷がそれなりに締まってくれた。先日のブリザードで海氷が流失して以来、この冬再び犬ぞりで、海氷上に乗り入れてみた。昨日厚さを測定してみると18cmほどあった。海氷面に雪が無くツルンとしていて、犬たちは走り辛そう。犬たちは走りながら雪を食べて水分補給をするので、まだいい条件とは言えない。ちなみに海氷上に雪が無い時に長距離を走る時は、橇に雪を積み込んで、途中で犬たちに雪を与えて水分補給させながら行くことがある。あるいはどこか雪が吹き溜まっているところを探して、そこで犬ぞりを止めて休憩したりする。

写真:雪が無いツルンとした海氷上にて。犬たちは動いてしまうので、ボヤけてます(笑)

12月18日(日)シオラパルク 曇りのち吹雪 -15.8℃

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 昨日、海氷上に何とか乗れるようになったのを確認したので、今日は天気が良ければ、海氷上でデータを記録しておきたいと思っていたが、昨夜から強めの風が内陸から吹き下ろしていて、シオラパルク前から外洋方面は海氷が流れてしまっている。フィヨルドの奥は、まだ海氷が残っている。流される可能性があるので、今日は海氷上には行かず、様子を見ている。

写真上:シオラパルク前から海氷が、外洋にかけて(写真右側)海が開いている。左側フィヨルド奥は、午後の時点ではまだ海氷が残っている。

写真下:8月生まれの「レオ」&「タロ」兄弟も、どんどん大きくなっていく。

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12月17日(土)シオラパルク 雪のち曇り  -14.0℃

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 日課を続ける毎日が坦々と過ぎていく。このところ天候が不安定で、今週も水、金曜日の定期ヘリコプター便がキャンセル。他の日に振り替えも組まれたが、ことごとく天気の影響でキャンセルとなっている。この2週間で先週の土曜日に一便飛んで来ただけ。

色々とやらないといけない事務仕事もたくさんあって、シオラパルク入りしてから、しばらく現実逃避していたが(笑)、ここにきて向き合い始めている。

朝、海氷上に乗ってみた。厚さは10cmほどあり、安心してとまではいかないが、なんとか歩ける状態になってきた。果たしてこのまま定着してくれるか?

写真上:犬ぞりトレーニングにて(16日の写真)。

写真下:どんどん身体が大きくなる、5月生まれの「銀河」。

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12月16日(金)シオラパルク 曇り一時晴れ  -14.2℃

こんな話題がある。

→ https://www.theguardian.com/world/2016/sep/27/receding-icecap-top-secret-us-nuclear-project-greenland-camp-century-project-iceworm

→ http://business.newsln.jp/news/201608052250070000.html

 

残置物に関して、デンマーク政府は、グリーンランド国内のことだから、グリーンランドで解決せよ、というような姿勢が大きいらしく、カナック出身の議員が声を上げ、グリーンランド側とデンマーク側の議論が始まった。解決には時間がかかる問題と思うが注目していたい。

12月14日(水)シオラパルク 曇り 一時 晴、霧 -8.9℃

 暖かい。この冬一度、マイナス20℃前後の気温を体感しているだけに、マイナス一桁台の気温が暖かく感じて、野外で少し動いただけで大汗を掻いてしまう。

 今日は満月で潮汐も大きく、朝早くの干潮時に潮がひいた場所から海氷に乗れるか確認しに出かけたところ、10cmほどの厚さはあるけど、暖かいぶん氷に締まりがなく脆い。まだ脚を踏み抜きそうだ。海氷に乗るのは今日は断念。

お昼過ぎの満潮時には海氷が動いて、裏の丘から見渡すとクラックがあちこちに。その開水部からは蒸気雲がモクモク。

写真:お昼過ぎの海の様子。南~南西~西にかけての開水部からは、蒸気が立ち上っている。

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12月13日(火)シオラパルク 雪のち曇り -8.7℃

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 空には雲がかかって雪がチラホラ。でも月が雲を通して、極夜を明るくしてくれた。

明日14日は満月。今日は潮が海岸に上がってビチョビチョになる前に、朝の7時前から犬ぞりを出した。海岸沿いを走り、コーヒーを飲んで帰ってきた。犬たちもそうだけど、僕も屋内作業ばかりしていても運動不足になるのと、気が滅入るので、毎日の犬たちのトレーニングはちょうどいい。

写真:月夜の朝。アチキャットにて。右側の山の斜面の茶色い土砂と、手前の茶色い土砂は、夏に地滑りを起こした箇所。ここにあったサマーキャンプの小屋が一軒、この土砂の下に埋もれてしまった。左側は再凍結を始めた海。

12月11日(日)シオラパルク 晴れ -18.4℃

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 銀河、レオに続いて仔犬紹介のラストは、レオの兄弟犬であるオスの仔犬。名前が最後まで決まっていなくて、“キナチ”(エスキモー語で、あなたは誰ですか?の意味)と呼んでいた。誰かに命名してもらおうかと思っていたが、「タロ」と僕が命名した。先日、日本のわが家のワンコ、タロ君が老衰で亡くなり、その生まれ変わりと思って・・。

「ショウヤ(醤油)」「ワサビ」「ガリッ」という名前のワンコがチームにいて、今回は偶然なんだけれど、「銀河」「レオ」「タロ」と、ウルトラマンシリーズになってしまったような・・(笑)ウルトラマンは確かタロウだっけ?

 今日は「銀河」が犬ぞりデビュー。まだスタートする時とか、犬ぞりのパターンが分からないので手こずったけど、走るのは大丈夫だ。しっかり走れていた。まだ身体も大きくなりきっていないので、少しずつレッスンを続けよう。

写真上:最後に名前が付いた「タロ」君。

写真下:犬ぞりデビューの「銀河」君(黄色の矢印)

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12月10日(土)シオラパルク 晴れ -17.9℃

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 仔犬の紹介が続きます。

 今日は「レオ」。夏の間にメス犬のママットルが、4匹の仔犬を産んでくれていた。メス一匹とオス三匹。ママットルはイラングアに預かってもらってて、オスとメス一匹はイラングアが欲しいとのことで、イラングアのところへ、そしてオス2匹が僕のところへやってきた。そうちの一匹は、在住の大阪・高槻市で応援をしてくれている、犬好きのSACHIYOさんに命名してもいらい、ジャングル大帝のレオのように勇敢でありますように、とのことで「レオ」に決定!最初は近寄ろうかどうか迷ってたみたいだけど、今は遠慮が無くなってきて懐いている。

明日はもう一匹の仔犬を紹介します。

 数日前に海氷が流失してしまい、また海岸での犬ぞりトレーニングに逆戻り。でも何も出来ないわけではない。新しい仔犬もいるので、6ヶ月の「銀河」がレッスンを始めるのにはちょうどいいかな。明日あたりから仔犬のレッスンを始めよう。

写真上:8月生まれの「レオ」君。オス。

写真下:今日のシオラパルク前の海。日課で裏の丘から、全体の写真を毎日撮影している。今日は少し強めの風が吹いている影響で、再凍結し始めた海水面は、見渡せる全体の50%ほどが、表面が開水となっている。

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12月8日(木)シオラパルク ブリザードのち晴れ -21.5℃

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 6日からの地吹雪は、7日未明には強烈なブリザードとなり、今日(8日)の午前中まで続いた。昨夜は3~4時間ごとに、ワンコたちが埋もれていないか見回りをしてた。昨冬は強烈なブリザードが無かったが、久々にシオラパルクらしいブリザードだった。フィヨルド内の海氷が全部流失した模様。村の前の海岸には打ち寄せる波しぶきが上がっている。隣り町のカナックでも、珍しく同じくらいのブリザードだったようで、町の前の海氷が動いたとのこと。カナックは地吹雪はそれなりに吹くが、どちらかというとブリザードと呼べるような強烈な風は少ない場所。

 さてワンコたちを応援して頂いている皆さま!まだまだワンコ紹介は続きます。今日紹介するのは「銀河(ぎんが)」オス、6ヶ月。実は今シーズン、シオラパルク村に入って間もなく、ユーソッフィ爺さんから、この夏5月に生まれたオスの仔犬を譲ってもらった。夏にボートで、カナックから連れてきた仔犬の一匹とのことで、血縁も離れているので、僕の犬ぞりチームに加入させた。昨冬は、僕がこちらに滞在中に仔犬が生まれず、最年少のコテツ(2歳)の下の世代が空いてしまったので、なんとか新たに加入させたいと思っていた。日本で留守番中の勇希君に、「なんていう名前にする?」と聞いたところ「あのね、“ぎんが”にして!」ということで名前が決定。どうやらウルトラマンに「銀河」がいるんですか??日本の家にはテレビが無いので、僕はよく分かってないのだけど・・(笑)顔がウルトラマンに見えたのだろうか?

写真上:海氷が流失したシオラパルク前のフィヨルド。

写真下:「銀河」オス6ヶ月。日に日に体格が良くなっていきます。

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12月7日(水)シオラパルク ブリザード -21.0℃

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 「アーベェ」オス、9歳。わがドックチームの最年長。名前の意味は“セイウチ”。ハードなソリ曳き犬の世界では、もういつ引退してもおかしくない年齢だ。たいていは7~8歳でリタイヤしてしまう。チームのリーダー犬でもあるアーベェ。少しでも長く走ってくれますように・・。

 昨日の夕方から地吹雪となり、未明にはさらに勢力がアップして、強烈に吹き荒れている。風速は20m/sを越えている。視程は殆どゼロ。これで海氷は、おそらく流失しただろう。こういう時は犬たちが雪に埋もれて、窒息してしまうケースがよくある。定期的に見回りに行って、埋もれそうな犬は雪の上に出してやっている。

写真上:チーム最年長の「アーベェ」。

写真下:窓から見た、村の電灯。地吹雪で霞む。

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12月6日(火) その2

 日本でもうちは犬一家。ゴールデンレトリバーが最大3頭いたこともある。家族が増えて、今は一頭だけ一緒に住んでいた「タロ」12歳が、亡くなったと先ほど連絡があった。老衰。僕が日本を出発する少し前から腰が立ちにくくなっていたが、12月に入り立ち上がることが出来なくなり、有佐がずっと世話をしていた。勇希&多華が生まれてからは、二人の良い遊び相手でもあった。

タロくんは2歳の時に、元の飼い主の方が飼えなくなり、うちにやって来た。タロくん、10年間ありがとう。

写真:元気な頃の「タロ」くん。

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12月6日(火)シオラパルク 晴れのち地吹雪 -18.0℃ 

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 「ショウヤ」オス、4歳。こちらでは醤油が人気のある調味料の一つで、一歳を前に僕のところに来た時、何故か元の飼い主が「ショウヤ(醤油)」と名前を付けていた。

 昨日は一日地吹雪が続いた。今日は朝から小康状態だけど、もうひと風吹き荒れそうな気配。

ワンコたちに、5種ワクチンの予防接種をしてやる。

写真上:「ショウヤ」。

写真下:犬たちに予防接種をした。

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12月4日(日)シオラパルク 晴れ -18.1℃

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 「リッカ」、メス。1月には3歳になる。ワサビ&ガリッとは兄妹。名前は京都の知人が命名してくれ、漢字では「六花」。

今日はこの冬一番の冷え込み。

写真:相変わらず僕が行くと抱きついてきて、離してくれない懐っこい「リッカ」。

12月3日(土)シオラパルク 晴れ -16.4℃ 

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 「ヒャカ」。オス、6歳。昨日のナッホとは兄弟です。今日は兄弟揃って、犬ぞりで走ってきました。

写真上:ナッホと兄弟の「ヒャカ」。

写真下:今日から5頭に増やして走行(右端がヒャカ。左端がナッホ)。

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12月2日(金)シオラパルク 曇りのち雪 -10.1℃ 

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 「ナッホ」オス。6歳。3歳の時に兄弟で僕のところへやってきて、今はすっかりベテランです。名前の由来は、こちらでは兄弟犬を同じ名前で呼ぶことがよくあり、兄弟のヒャカと合わせて「ヒャカンナッホ」(太陽が昇るの意味)と名前が付けられていたが、ややこしいので二つに分けて「ヒャカ」「ナッホ」と名前を分けた。

 朝早くに雪がちらつき始め、夕方になっても降り続いている。まとまった雪になった。

写真:今日の「ナッホ」。毛並が黒いので、極夜では夜に溶け込んでしまいそう。

12月1日(木)シオラパルク 曇りのち晴れ -13.8℃ 

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 「ママットル」メス。5歳。実は!この夏8月に仔犬を産んでくれてました!

仔犬たちの紹介はまた別の日に・・。仔犬の話題、他にもあります!

シオラパルク村も師走を迎えた。今日はこの冬初めて、犬ぞりで海氷上に乗り入れた。スイスイ走行できるので、気分いい~!(笑)このまま定着してくれるか?

写真上:「ママットル」母さんと、2匹の仔犬。

写真下:今日の午後の南の空。雲との雰囲気が綺麗だった。

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