犬ぞり案内人 山崎哲秀 ー北極圏をテツがゆくー

グリーンランド北西部地方に古来から住む、エスキモー民族から伝承を受けた犬ぞりを操り、“アバンナット北極プロジェクト”に取り組む、山崎 哲秀のブログです。 このブログでは、北極遠征中や日本滞在中の活動の様子を紹介します。 アバンナットプロジェクトの詳細は、山崎哲秀のホームページhttp://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/ をご覧下さい。山崎哲秀の連絡先は、同ホームページに記載しています。

2018年02月

2018227日(火) シオラパルク 雪 -14.9

 期限付きレンタル移籍で「アマウッ&ウーマ兄弟」オス1.5歳が、僕のチームにやって来ている。話の成り行きはこうだ。

1月末に、村の若いウーマが、犬の餌(越冬用の獲物の肉の餌)が尽きて賄えなくなり、僕のチーム事情が苦しいのを見て、オス犬2頭を4月下旬までの期限付きで、預かってくれないか?と打診してきた。その間、僕がワンコ2頭の餌を与えることで、自由に犬ぞりで使ってもらっていい、という条件。預かった直後は歩くのもしんどいくらい、ガリガリに痩せている2頭だったが、今は太って元気に一緒に走っている。

これで今シーズンの僕のチームはオスが12頭となり、なんとか4月の観測サポートでは機能してくれそう。メス犬2頭は暖かくなってくる季節で、発情期があったりするので、体調を見ながらチームに参加するか判断していくことになる。

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写真:「ウーマ(左)&アマウッ」兄弟犬。一頭に名前が付いていなかったので、とりあえず「ウーマ」としている。

2018年2月26日(月) シオラパルク 雪時々曇り -19.8℃
 24日は久々の快晴だったが、昨日からまた雪模様。このあとも数日雪が続く予報になっている。
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 チームに新しい仲間が増えた。「カッド」オス4歳。カガヤが犬をいらないかと声を掛けてくれ、譲り受けることに。自分が子犬から育てたワンコ以外にチームに加わるのは、随分と久しぶりのことになる。チーム事情が苦しいシーズンなので、補強としてOKとしよう。2月18日に僕のところにやってきた。まずは僕に懐いてもらうことから始め、チームのワンコたちともすでに一緒に走り始めている。大人しいワンコで、体つきはグリーンランド犬の中でも今のところ中くらい。5歳くらいでもう一回り体が大きくなるワンコが多いけど、カッド君もそうなるのか楽しみに見ていよう。
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写真上:一昨日の犬ぞりにて。Meehan氷河の2回目の偵察に行ってきた。
写真下:カッド。オス4歳。

2018年2月23日(金) シオラパルク 雪のち曇り -22.1℃
 不安定な天気が続く。2月はどちらかと言えば、寒いけど天気は安定してるイメージだけど、この冬は2月に入ってからスカッと晴れた日がわずかだ。
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今日のワンコは「タロ」オス1歳。チーム最年少だけど、すっかりソリ曳き犬に成長した。まだ若いだけに、落ち着きに欠けるけど(笑)、仔犬から育てたワンコたちは皆、成長の過程をみているのが凄く楽しい。

写真:「タロ」1歳。

2018年2月21日(水) シオラパルク 雪のち曇り -16.1℃
 今日のワンコは「ギンガ(銀河)」オス1.5歳。身体は今のところ、やや小柄だけど、リーダー犬のコテツ君の真後ろに配置して、サブリーダー犬としている。将来はコテツ君とツートップのリーダー犬に育ってくれたら。僕が行くと体当たりして飛びついてくるような人懐っこいワンコ。
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写真:「ギンガ(銀河)」1.5歳。

2018年2月20日(火) シオラパルク 雪一時曇り -19.2℃
 15日にインターネットが不通となり、グリーンランドの電話局に調べてもらっていたら、モデムの故障と判明。とりかえてもらい、今日になって復旧した。

 いや~、色々あった一週間だった。
 まずは、伝染病に感染した、仔犬の「オーブ」(オス)が残念ながら生きれず。13日に亡くなる。最後は痛々しく、見ていられなかった。残っている4匹の仔犬にも、感染してしまった可能性があり、経過を見ていたところ、もらわれて行く予定だったメスの仔犬1匹も、同様に生きれず。18日にいなくなってしまった。ブルーだ。なんとかこれで止まってくれますように、祈るしかない。

 15日に、4月に観測で登坂する予定の、Meehan氷河の偵察に。20年前に比べると、登行ルートが年々悪くなっている。この日は、海氷から氷河のサイドモレーンに取り付くところから、氷河の背に乗っかるまでのルートの偵察。目印旗を立てて、一つのルートは確認したが、あまり氷が良くない。次回は、もう一つの、上へ抜けていくルートを確認してみることにしよう。
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そうそう、氷河のサイドモレーンで、水が流れているのに出くわす。2月、寒い季節なのに凍り付かず、どこから湧いて出る水なのか?
この日、犬たちを歩いて誘導し、氷河を下りて来る時に、バランスを崩して変なふうに倒れ込んでしまい、左膝裏を痛めてしまった。打撲なのか、筋を伸ばしてしまったのか、翌朝は脚を引き摺って歩く状態。踏ん張れず、何日か動けずにいたが、回復の兆し。今日20日は、感覚を確かめるために犬ぞりを出した。犬たちの速い動きに煽られると、膝の裏側が響くが、そのうち治りそうだ。
 そしていいことも。極夜が終り、2月16日に4か月ぶりに太陽が顔を出した。このあとはいいことが続くだろう。
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写真上:2月15日に、氷河の偵察へ。
写真下:2月16日。シオラパルク村に、太陽が戻って来た!

2018年2月12日(月) シオラパルク 晴れのち曇り -27.5℃
 今日のワンコは「コテツ」オス3歳。昨シーズンの途中から、チームのリーダー犬を務めるようになり、この冬はさらにそれらしく育ってきた。若いので経験を積むと、さらに良くなっていくと思う。頼りにしてますよ。「コテツ」君!
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写真:「コテツ」3歳。

2018年2月11日(日) シオラパルク 曇り -27.8℃
 シオラパルク村ではこの冬、1歳以下の若いワンコや仔犬が育たなく、かなりの数が病気に感染して、立て続けに死んでしまっている。
ここにきて生後2ヶ月半になる、僕の仔犬5匹のうちの1匹が、昨日の午後あたりから急に元気がなくなり、現在、家の中に入れて看病中。伝染病に感染してしまったか?治療と言っても、様子を見て、症状にあっていると思われる薬を与えてやるしかないのだが・・。ワンコが体調を崩した時は、いつももどかしい思いをしている。何とか回復をしてくれますように。他の4匹の仔犬にも感染してしまっただろうか?
20180211(ブログ用)

今日は犬ぞりで、海氷の厚さを測定しに行く予定だったが、キャンセルして、仔犬の世話をしながら、村での日課作業をしている。事務仕事もたくさん抱えているので、よしとしよう。

ここでは住んでいる住民の人たちのように、身内もいないので、ちょっとお願い、という分けにはいかず、頼れずに一人でやるしかないのはつらいなあ・・。気が折れてしまいそうになる時がある。

それにしても、次から次へと作業が増えていくなあ・・(苦笑)。

写真:家の中で看病中の「オーブ」オス。

2018年2月9日(金) シオラパルク 曇り -22.9℃
 2月に入ってから、もう一つ天気がスッキリせず。今日も気圧が下り、やや強めの北風が吹いている。曇り空。
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朝からフィヨルド奥のMeehan氷河下まで、偵察に行ってきた。太陽が戻って、もう少し明るくなったら、4月の内陸観測調査に向けて、犬ぞりで氷河を登るルート上に、目印の赤い旗が付いた竹竿を、立てていく作業をする。3月下旬頃までの作業の一つだ。今日は氷河へ取っ付く、入り口を確認してきた。

写真:Meehan氷河下まで偵察に。

2018年2月8日(木) シオラパルク 雪のち曇り -23.3℃
 いや~、強烈なブリザードだった。6日から7日午後にかけて、吹き荒れた。この冬一番の強い風。シオラパルク村から10kmほど離れた、フィヨルド外の沖合で、再凍結を始めた新氷が、また風で押し流された。シオラパルクのあるフィヨルド内は海氷が平均85cmを超えて、定着している。
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南の空の鮮やかさが日に日に綺麗で、太陽がすぐそこまで近づいてきているのがわかる。極夜が明けるまで、あと少し。この時期は面白くて、太陽は顔を出さないのだけど、AM9時くらいには南東の空が随分と明るくなり、午後2時頃が明るさのピークで、夕方6時を過ぎてもまだ南西の空に、薄明るさが残る。
1月中旬頃からの空の色が多彩で、僕としては3月上旬頃までが一年で一番好きな季節だ。
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  今日のワンコは「ガリッ」オス4歳。前回の「ワサビ」とは兄弟で、「リッカ」と合わせて3兄妹だ。ワサビよりはやや体が大きいけど、何故かワサビには頭が上がらない「ガリッ」。他のワンコたちと同じく、人懐っこい。飼い主によって、育て方も色々だけど、僕はかなり懐かせて育ててしまうほうだ。懐いていないワンコはいないなあ・・(笑)

写真上:ブリザード明けの午後の空。太陽がすぐそこに・・。
写真下:「ガリッ」4歳。

2018年2月4日(日) シオラパルク 地吹雪のち雪 -20.4℃
 2月に入って、天気が荒れ模様だ。内陸からの吹き下ろしの強風が1日の夕方から翌朝にかけてと、また昨日3日の夜から今日4日の午後まで吹き荒れ、10kmほど沖合の海氷が流失している。このあとの天気予報も波があるようで、今週は不安定な荒れ模様の天気になりそうな気配。
20180204(ブログ用)

  今日のワンコは「ワサビ」オス4歳。母犬のママットルが4年前に産んでから、ずっと見てきている。落ち着きがない、活動的なワンコ。それでも4歳になり、だいぶ大人になったかな(笑)。メチャクチャ懐いてくれている。ちなみに少し前に紹介した、メス犬の「リッカ」とは兄妹です。

写真:「ワサビ」4歳。

2018年1月31日(水) シオラパルク 雪のち晴れ -23.8℃
 今日で1月も終わり。月蝕が見れるかとカメラを持って期待したが、あいにくその時間帯は雪で空が見えず。残念!雪の中、犬ぞりで海氷測定に出かけてきた。
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 今日のワンコ近況は「ママットル」メス6歳。1歳の時に僕のところへやって来たママットルもすっかりベテランの歳になってしまった。名前は日本語に訳すと「美味しいもの」みたいな意味になるが、1歳の時と変わらず美味しいものには目がなく、食いしん坊のママットルだ。

写真:「ママットル」6歳。

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