犬ぞり案内人 山崎哲秀 ー北極圏をテツがゆくー

グリーンランド北西部地方に古来から住む、エスキモー民族から伝承を受けた犬ぞりを操り、“アバンナット北極プロジェクト”に取り組む、山崎 哲秀のブログです。 このブログでは、北極遠征中や日本滞在中の活動の様子を紹介します。 アバンナットプロジェクトの詳細は、山崎哲秀のホームページhttp://www.eonet.ne.jp/~avangnaq/ をご覧下さい。山崎哲秀の連絡先は、同ホームページに記載しています。

2020年02月

2020年2月19日(水) シオラパルク 晴れ マイナス23.2℃
 快晴!太陽が戻って来た。北緯77度47分に位置するシオラパルクは、10月中旬頃から、延々と極夜が続く。4ヶ月ぶりに太陽が顔を出した。

写真:戻って来た太陽。
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2020年2月17日(月) シオラパルク 晴れのち曇り マイナス20.5℃
 2月13日から14日にかけて、強烈なブリザードが吹き荒れ、シオラパルク村から沖合い15~20kmほどで、海氷が流失した。そのあとさらに、波のうねりが海氷を崩壊させて、15~16日にかけては、村から沖合い5kmほどまで海氷が流失。
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 今日17日、対岸のカギャ岬まで犬ぞりを走らせて、海氷の偵察に行ってきた。
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 開水の影響か、どんよりとした雲が、海上空には広がっている。ほんとなら今日、極夜が明けて、久々の太陽が顔を出すはずだったのに・・。残念。
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写真上:シオラパルクの裏山からカギャ岬を望む。黒く海水部が見える。
写真中と下:カギャ岬にて。

2020年2月9日(日) シオラパルク 曇りのち晴れ マイナス28.0℃
 このところ、マイナス30℃以下の気温が続いていたので、今日は暖かく感じた。

 今シーズンは0.5歳から1.5歳のワンコたちが全部で7頭いて、5頭がオス犬、2頭がメス犬。夏期の留守中に、3頭の働き盛りのオス犬を死なされてしまったので、殆どNewチームといった感じだ。
 1.5歳を過ぎたナノッ&クマ兄弟は、昨シーズン生後6ヶ月目頃から、橇を曳くのは覚えさせていた。だからすんなりと今シーズン、本格的な犬ぞりデビューとなった。
 1歳を過ぎたガイ♂は昨シーズン、生後3ヶ月を過ぎた頃から母犬と一緒に、橇には繋がず、走ることだけは訓練していたので、今回犬ぞりを繰り返すうちに、すっかり橇を曳けるようになった。今や堂々たる橇曳き犬だ。
 夏に生まれたハッサク&ミカン兄弟は、生後6ヶ月からの犬ぞり訓練となり、最初はかなり戸惑っていたが、年が明けてから反復するうちに、どうやら最近になって、犬橇のパターンを覚え、いい感じでチームに加わってくれた。あとはみんな、長距離を走らせ、体力をつけていくことになる。
 ガイと兄妹のミラン、ハッサク&ミカンの兄妹のコナツは、まだ犬ぞり訓練を始めていないが、メス犬は意外とすんなり溶け込んでくれるので、心配していない。
僕の感覚では、生後3ヶ月を過ぎた頃から犬ぞりレッスンを始めるのが、一番スムーズだ。
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 新しいワンコたちを合わせ、今日ようやく全13頭のオス犬で走ることができた。極夜明け前を目標にしていた。やっぱり十数頭での犬ぞりは、爽快だ!若い時に僕が、犬ぞりをやりたい、と思ったきっかけは、当時エスキモー猟師が十頭以上で走らせる、犬ぞりのダイナミックさに感動したからだった。あちこちでそんな犬ぞりが走っていた。時代と共に今は、犬ぞりの規模が縮小される一方だ。寂しい。エスキモーと呼べる人たちも、もういなくなってきた。
 僕の一世代後では、角ちゃん(角幡唯介さん)がエスキモースタイルの犬ぞりを始めてくれたので、もう一世代、若い世代で誰か日本から犬ぞりを始めてくれないか、と待っている。植村直己さん、大島育雄さんの時代から、なんとか続いている伝統だ。
満月が空に転がる中、気持ちよく走ってきた。あと一週間ほどで極夜が明け、太陽が戻って来る。
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写真:今日の犬橇にて。

2020年2月4日(火) シオラパルク 晴れ マイナス33.9℃
 今年に入って、時間の合間に製作していた「ニオガヤ」(エスキモーのアザラシの毛皮の防寒靴)が、ようやく完成。昨シーズン製作しようと思っていたけど、手が間に合わなかった。
靴底は通常、アザラシの厚い革を使うが、擦り減りやすいので、長持ちするように、市販されている極地用防寒靴の、耐寒樹脂ソールを切り取って縫い合わせた。
今日さっそく犬ぞりで使った。いい感じ。
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 2020年2月3日(月) シオラパルク 晴れ マイナス30.3℃
 地元で応援して頂いているサッチンさんを通じて、童画家・徳治昭さんから、犬ぞりの絵が、自宅に届いたそうだ。原画は日本に帰国してから目にすることになるけど、写真がメールで届いた。
うわ~、いいなあ!徳さん、そのうちぜひジョイントを!

徳治昭さん→ https://ja-jp.facebook.com/tokudougakan
サッチンさん→ http://diary2.fc2.com/cgi-sys/ed.cgi/pound_cake/
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2020年2月2日(日) シオラパルク 晴れ マイナス31.8℃
 ブログがまたまた滞ってしまった。元気でやっています。
 クリスマスに海氷上に犬ぞりを乗り入れてから、9地点設置した海氷観測点を、1月中に2順目を終わらせるように、その他の作業と合わせて取り組んでいたが、1月31日に予定通り2順目が終了。極夜の環境下、いいペースだと思う。少し気分的に余裕が出来たが、3順目、4順目・・と続けていく。これからは明るくなるので、作業もしやすくなる。シオラパルク村からは近場だが、ワンコたちのいいトレーニングにもなっている。
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 今日は自分の時間で、10頭のワンコたちを連れて、50kmほど走り込んできた。生後半年~1歳半のワンコたちも、繰り返し犬ぞりのパターンを練習し続けて、ようやくいい感じで走れるようになってきた。

暖冬の日本を横目に、こちらは12月下旬以降、それなりに冷えこんでいて、この数日はマイナス30℃前後が続いている。暖かいじゃん、と言われそうだが、この地域は暖流の影響で、大陸性の気候の北極よりは比較的に暖かいのだ。太陽が戻ってくる2月が、一年の厳冬期になる。

写真:あと10日ほどで太陽が戻って来る。今日の犬橇にて。

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