3d8i9i2q 4月4日
アグチンギアたちとアウンナットから沿岸沿いに、スミス海峡の一番狭まっているアノイトまで行く。アノイトから見るスミス海峡は、乱氷がひどく、沖合は海が開いていた。カナダまで40〜50キロくらいなのだがひどく遠く感じる。アグチンギアたちは、これ以上、カナダ側には危なくて行かないという。自分も一人で越えられるとは思わない。風が吹いたらいつ流されるかわからない。アウンナットに戻り、再び海氷調査を続けることにする。

2008/04/04 21:03 アノイト
N78 33' 06.1" W72 08' 24.3""

4月5日 
夕べは夜12時頃アウンナットに戻った。アノイトまで往復12時間ほど走ったことになる。アグチンギアたちはシロクマ狩りに行った。10日ほどは帰ってこないだろう。彼らは捕えたものを食べるので、簡単な装備だけを持って身軽に動く。こちらは重装備なので身軽にとはいかない。
今日は橇の手直しをする。昨日走行した定着氷はガタガタすごかったが、我ながら、自分の作った橇はイヌイットたちのものよりも丈夫にできている。

アウンナットから見るスミス海峡も沖合は乱氷ばかりだ。かつてイヌイットたちがカナダとグリーンランドを犬ぞりで行き来することはよくあることだったけれど、スミス海峡を渡るのには条件がある。できて3,4日くらいの新しい氷が張ること。新しい平らな氷であれば、スミス海峡も4,5時間で一気に渡りきれる。しかしこの乱氷を越えて行くとなると、かなりの時間と体力を必要とするだろう。

※下の地図は、衛星からの解析画像。スミス海峡に大きな海水面が開く。