位置は、Google Map
を参照してください。黄色の犬マークは往路のキャンプ地、青の旗マークが復路のキャンプ地です。
●2009/03/11 (DAY15) -37.0度 晴れ 風速3.9m/s
P10を出発
P11にて行動終了
本日の移動距離約45km
夕べは終に白クマはテントまで来なかったが、一晩、眠れぬ夜を過ごした。朝の気温は-43.1度。寒い。太陽高度は日に日に高くなっているが、天気がいいから余計に冷え込むのだろう。南極の昭和基地より、ここの方が冷え込みがきついのではないだろうか。
これでもう少し暖かければ、一日に7-8時間行動できるのだが、毎日こう寒いと5,6時間も行動すると手はかじかむし、寒さで体内のエネルギーを使い果たし、今日はこれくらいで止めにしよう、と頭より体が指示を出す。犬たちも寒さで体力を消耗する。4月に入り、もう少し暖かくなれば(-10-20度くらい)、一日で70-80kmは進むようになるだろう。
●2009/03/12 (DAY16) -36度 地吹雪 風速4.5m/s
P11出発
P12東小屋にて行動終了
本日の移動距離約30km
低い地吹雪の中、海氷から陸に上がり、再び谷を上って東小屋まで戻ってきた。今は吹雪いており視界が悪い。明日は天気が回復すれば、レゾリュートに向けて出発する。
東小屋にデポしていた帰路用のドッグフードをソリに積み込む。ソリには氷を掘削するハンドオーガーが嵩張り、小屋にデポしてある全てのドッグフードを積むことができない。ソリに積み込みきれない分は、小屋に残していく。それでも明日のソリの重量は、この旅行で一番多い。ドッグフードは毎日食べて減っていくので、日が経つにつれ軽くなるが、最初が大変だ。犬たちは明日、このソリを引けるだろうか。
グリーンランドのイヌイットたちが狩猟にスノーモビルではなく犬ぞりを使うのは、犬は燃料がいらず、餌も採った獲物を与えるのでドッグフードを持っていく必要もないからだが、自分の場合、狩をして餌を確保しながらの旅行はできない。夏に海氷が溶け出し海が開き始める頃は、のんびり氷の淵で寝ているアザラシを見かけることもあり、それを銃で仕留めることもできるだろうが、氷の張っているこの季節、アザラシを捕ろうと思えば、アザラシの呼吸口である氷の穴の前で何時間も、時には何日も、いつかは呼吸口に呼吸しに上がって来るかもしれないアザラシを待ち続けないといけないのだ。短い日程の中で悠長にアザラシを待ってはいられないので、我がドッグチームは旅行中もドライのドッグフードを与えている。
犬ぞりを使うには、ドッグフードがいる。それでもスノーモビルを使うよりも安心だ。スノーモビルは燃料がいるし、バッテリーが上がった場合に備えて発電機もいる。そして何より壊れたときに素人では整備ができないからだ。
子犬のシンとコウは走るときだけでなく、キャンプサイトでも紐でつないでおらず自由にさせている。コウは食事時、他の犬のところまでドッグフードを食べに行くほど食い意地が張っている。コウはよく、走りながら吐いているが、吐き終えたらケロッとして走っている。きっと食べすぎなのだろう。食い意地が張っているところは、母犬のラッシそっくりだ。