20100929 先日の下関講演後、アンケートで犬たちの質問をしてくださった方がいます。ブログ上でも返答させて頂きますね。S.Kさんからの質問は以下です。返答が少し長くなってしまいましたが・・。

Q1:犬の去勢はされていない様ですが、1~2頭のメス犬に複数のオスがかかって生まれてくる犬がいるのではないですか?イヌイット(エスキモー)犬しかいないのですか?純血種は守られていますか?

Q2:(犬たちがソリを)扇状に引っぱると、左右の犬の引く力は片方に片寄りますが、筋肉・骨格に無理はかからないのでしょうか?左右の入れ替えはありますか?

A1(Q1の答え):ドックチームはたいていは13~15頭の犬たちで編成していて、その中メス犬は1~2頭にとどめています。力がやはり、オス犬のほうが優れているのと、メス犬は発情期があるのや、妊娠中と仔犬を産んでからしばらくは走れないなどの理由からです。チームでは歳をとってリタイアしていく犬たちもいるので、新たに生まれて来る仔犬たちは、成犬になるとチームに加わります(なんと3ヶ月を過ぎた頃からレッスンを開始します)。メス犬が発情した際には、なるべくまずは強い犬(リーダー犬やボス犬、ソリをよく引く犬など)と交配をさせるようにしています。

犬ぞりで長期旅行に出ている際に発情したら、もうチームはメチャクチャになります(走行中にもオス犬が奪い合うので(笑))。そういった場合は複数のオス犬と交配してしまうこともあります。僕の犬たちは純粋なエスキモー犬で、グリーンランド犬です。アラスカとカナダ北極圏では、エスキモーの人たちの犬ぞり文化がすでに崩壊してしまい、雑種化が進んでしまいました(ハスキー犬も別の血と掛け合わせて目が青くなったと聞きます)。唯一純粋なエスキモー犬が残っているのが、他国から犬の持込を禁止しているグリーンランドと言っていいと思います。また同じチーム内でだけ交配させていると血が濃くなりすぎるので、他から犬を入れたりなど、血がなるべく遠いように交配させるようにも考えていますよ。

A2:(Q2の答え)扇状のスタイルと、縦一列につなぐ犬ぞりスタイルは、それぞれ不利、有利な点があると思いますが、扇形の場合は犬たちは走りながら左右に入れ替わったりするので、それぞれの犬とソリを繋ぐ曳き綱が絡まっていきます。1~2時間毎に休憩も兼ねて曳き綱をほぐしてやる必要があります(写真)。走りながら左右入れ替わったりするのは、犬たちも体のバランスをとっているのかもしれないですね。

写真:絡まった曳き綱をほぐす様子。

※ 久しぶりのブログ上でのQ&Aです。北極のこと犬ぞりのことetc.・・・。聞いてみたいことがありましたら、なんでも、いつでも ⇒

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