2011年4月12日(火) 地吹雪 -33.0℃
今シーズンは昨年11月から、カナダ北極圏レゾリュートをベースに滞在し、活動を続けてきました。間もなく、予定より1ヶ月早い帰国となります。
極夜が明けて、太陽が十分に高くなった2月22日に、犬ぞり長期旅行をスタートしましたが、今回はどうもいつもの自分のペースではなく回転が悪く、また嫌な感覚がまとわりついて離れなかったこともあり、体勢を立て直すべく、3月2日に一旦レゾリュートに引き返しました。今季はレゾリュート周辺の海氷状態が近年では最も悪いこともあり、地元のエスキモーの人たちからの「今シーズンの海氷はよくないから止めておけ」というアドバイスをもらいつつ、迷いながらも、乱氷帯への小刻みな補給は可能かどうか、その体制を持てるかどうか(特に予算面で膨らんでしまうので)を焦点に、とりあえず再スタートに向け準備を進めていた矢先に「東北地方太平洋沖地震」のニュースが北極にも伝わってきました。その被害の大きさが明らかになってきた段階で「今シーズンの3月~4月期の大々的な活動は止めよう」と踏ん切りがついた状況でした。足が前に進みませんでした。一番メインである、楽しみにしていた研究者の方との観測活動も中止し、すべてがまったく上手く回転しない犬ぞり旅行シーズン(2月下旬~4月)でしたが、悔いはなしです。失敗でもありません。まだまだこの先10年15年と、北極での活動は長いですから。こんなシーズンもあると思います。
応援していただいている皆様には、物足りないような、期待を裏切る形となったかもしれません。申しわけありませんでした。また来シーズンに向かいます。
「東北地方太平洋沖地震」につきまして。その狭間で心境は複雑で、深く思い詰めてしまいます。自分の生きてきた(これからも続く)「北極」というベースは崩すわけにはいきませんが、その中で何か一つでも、自分に出来る支援の形で参加していきたいと思います。
23年目の北極シーズンを終わります。
2011年4月12日
カナダ北極圏、レゾリュートにて
山崎 哲秀