39日(土)レゾリュート 曇り(低い地吹雪を伴う) -26.4

20130309 どうして北極での活動に犬ぞりを利用しているのか?とよく質問を受ける。北極の自然環境をテーマにしているのも一つの理由で、その本人がスノーモービルなどを利用して、排気ガスをまき散らしながら活動するのでは説得力がない、ということもあるけれど、それ以上に、20歳を過ぎてから北極に通い続けるようになり、最初の頃こそは冒険的な記録を目指すような心構えだったが、エスキモー民族の「犬ぞり」というスタイルをずっと眺めているうちに、北極では凄く利にかなった移動手段だと感じるようになった。この極寒地を何千年と犬ぞりと共に生活し生き抜いてきたエスキモー民族に尊敬の念を抱くようになり、彼ら(グリーンランド北西部エスキモー)からエスキモー型の犬ぞり技術を伝承してもらった。アラスカ~カナダ北極圏~グリーンランドと広域にわたり居住しているエスキモー民族だが、アラスカ、カナダ北極圏ではエスキモー文化の衰退が著しく、すでに犬ぞりは必要とされなくなってしまった。唯一伝統的に生活の中に残されているのが、グリーンランド北西部地域だけとなっている。僕の北極活動において掲げているテーマ(目標)の一つに「エスキモー文化の継承」がある。犬ぞりを始めとする彼らの文化を少なからずとも引き継いだ以上、彼ら民族の中でもどんどん廃れていく「犬ぞり」という移動手段はこれからもこだわっていきたいし、次の世代にも繋げていきたい(これは犬ぞりという個人的な部分で、大きく観測調査をするにあたっては、臨機応変にスノーモビル等も含む色々な手段を取り入れないといけないです・・)。

エスキモースタイルの「犬ぞり(扇型)」で活動を共にするバディ(相棒)をずっと探しているが、なかなか見つからない。次の世代に繋げる、という意味でも、誰か勢いのある若い人がいてくれればいいし、2チームでの活動は効率も良くなり、幅も広がるのだけど。時間と根気と維持費もままならないから、飛び込んでくるにはハードルが高すぎるのか・・。

 

写真:犬ぞりの風景。氷河登攀と氷河末端の海氷上にて(いずれもグリーンランドにて)。

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