1月14日(土)シオラパルク 晴れ -20.2℃

20170114

 伝統的なエスキモースタイルの犬ぞり文化が残る、最後の聖域グリーンランド北西部地方も、その文化が廃れつつある。カナダ北極で5シーズンほど犬ぞりで活動を続けて、2013年にホームグラウンドであるここへ戻って来た時には、すでにその傾向が始まっていた。犬ぞりが生活に基づかなくなってきたからだ。30年ほど前からここに通うようになり、僕が犬ぞりをやりたいと思ったのは、以前は「エスキモー」と呼ばれる猟師の人たちがたくさんいて、10頭以上の犬たちを引き連れて、あちこちで犬ぞりが駆け回っていた姿に憧れたからだ。とにかく豪快で、迫力があった。現在は規模が小さくなり、10頭以上の犬で、犬ぞりで走る姿が見られなくなりつつある。温暖で海氷の状態が悪いからではない。現金収入という面で、生活に基づかないからだ。僕のように外から来て、お金に関係なく好きで続けているから、それで残っていく伝統文化もあると思う。今後僕が歳を重ねて、もし体力的に10頭以上の犬たちを操れなくなったら、犬ぞりを止める時だと思っているが、60歳までは最低続けていたい。その中で僕のように外から来て、お金に関係なく好きだから、グリーンランド北西部地方スタイルの犬ぞり文化を継承してくれる誰かもいるかもしれない。

写真上:13日は満月。今夜も月が明るく、今シーズン犬ぞりデビューをした「銀河」「レオ&タロ兄弟」のレッスン。他の5頭のワンコたちと走らせてきた。日付が変わってAM3:00頃、村に戻って来た。

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